思いを綴る、情景を言葉で表現することで、写真では語りきれないものが残る『旅日記』のすすめ
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吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
旅日記のすすめ
引き出しを整理していたら、昔々の旅日記が数冊出てきました。パリに着いてから買ったノートの表紙には、お気に入りのシェーファーのカリグラフィーの万年筆で『PARIS DIARY』とタイトルを入れました。
1988年12月、3週間の滞在。自動書記のような文字、ブルーブラックのインクが綴るのは、ただただ湧き上がる思いで、そこには何のジャッジも、表現の工夫などありません。
ひとりの旅先ですから、その内容についてはちょっと気恥ずかしくもなるのですが、20代の頃の自分と再会するような感じがしました。
旅の記録も今では大きく様変わりです。自分ひとりの記録であったものは、今ではSNSを通して世界発信。
知らない人の旅の記録を目にする不思議。他人の旅の記録はガイドブックのような『情報』になりました。
SNSの影響でしょうか、近所の住宅地の真ん中で携帯を片手に歩いている外国人観光客をよく見かけます。
広いお寺があるのですが、どうやらそこを目指しているらしく。楽しんでもらえたらいいのですが、がっかりしないかちょっと気になります。
活字離れが進んでいると言われます。本を読むことばかりでなく、文章、それも自分のための文章を書くことからも離れているような気がしてなりません。
思いを綴る、情景を言葉で表現することで、写真では語りきれないものが残ります。また「書く」ことで、『旅』が深まる。そういう意味でも旅日記をお勧めするのです。
文章に写真を添えても、イラストを添えても素敵です。私の日記のような『自動書記風』もまた、自由でおもしろいのです。
伝えたいと思ったときに、言葉が生まれます。旅の途中で思ったこと、思い出したこと、感動したことを文章にしてみる。
すると、思いがけない自分の感情に出会うことがあります。感情が揺さぶられることもあります。自分の中にある感情に恐れを抱かず、正直さを心がける。
知らない街を歩く。見たこともない光景が目に飛び込んでくる。そのときの自分のフレッシュな思い、感受性の記録は、写真以上のリアリティがあるかもしれません。
30数年前の何冊かのノートには、すっかり忘れていた出来事も綴られていました。どれもひとり旅。それは自分自身との対話だったのですね。
今も旅をするときには、ブルーブラックのインクと馴染みのいいノートをバッグに入れています。どこへ行き、何を見たか。誰と会ったか。レストランの名前、お料理についてなど、記録するように書いています。
もちろん自分との対話も。忘れてしまうにはもったいないことばかり。旅日記は、人生という旅の記録でもあるのです。
いのちを紡ぐ言葉たち かけがえのないこの世界で
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※記事中の写真はすべてイメージ
作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」