不機嫌な人の目的は「不幸な私に気を使ってほしい」から By - 吉元 由美 公開:2019-02-03 更新:2019-02-03 エッセイ吉元由美 Share Post LINE はてな コメント 吉元由美の『ひと・もの・こと』 作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。 たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。 上機嫌のすすめ 「いつも上機嫌でいきましょう」 『銀座まるかん』の斎藤一人社長のお弟子さんである柴村恵美子社長がおっしゃった言葉です。 『上機嫌』、この言葉を口にするだけでも何だかうれしくなります。『ご機嫌』とはまた違って、わくわくしている感じが伝わってくるような。ご機嫌がその人の中で完結している状態だとすると、上機嫌はまわりへエネルギーを発しているような…そんなイメージです。 また、上機嫌な人は、「今日は上機嫌、明日は不機嫌」…など、機嫌にムラがあるのではなく、常に上機嫌であるという印象があります。上機嫌は単発ではなく、継続的な状態。つまり、心の持ち方そのもの、生き方そのものが『上機嫌』なのでしょう。いいことがあったから上機嫌なのではなく、上機嫌だからいいことが起こる。ここの境界線を心したいものです。 フランスの哲学者アランは著書『幸福論』の中で上機嫌についてこう述べています。 「上機嫌というのは実に気前のいい奴なのだ。上機嫌は、何かをもらうというのではなく、むしろ人に与えている。なるほど、われわれは他人の幸福を考えねばならない。その通りだ。 しかし、われわれが自分を愛する人たちのためになすことができる最善のことは、自分が幸福になることである。このことに人はまだあまり気づいていない」 上機嫌というのは、広い意味での幸福感であり、そうあることで幸福をさらに感じやすくなる。すると、そんな上機嫌はまわりの人へ広がり、つられてうれしくなるのです。幸福を伝播していく心の状態なのですね。ですから、上機嫌とは気分ではなく、意志を持って自分をそういう状態にすることなのです。 反対に『不機嫌』はどうでしょう?嫌なことがあり、八つ当たりしたくなる。悶々としてしまい、それを隠すことなく態度に出す。例えば、ドアをバンッと乱暴に閉めたり、つっけんどんな言い方をしたり。(私、機嫌が悪いんですけど)ということをアピールするような態度に出ることはないでしょうか。 心理学者のアドラーは、不機嫌は惰性である、と言います。アドラー心理学では、感情には何らかの目的があると考えます。不機嫌の目的は、「不幸な私に気を使ってほしい」「優しくしてほしい」というまわりへのアピールがあります。不機嫌な態度によって支配しようとするわけです。まわりの人はハラハラし、気を使って事を荒立てないようにするでしょう。でも、それは相手の問題であって関わらなければいいのです。 また、たとえこちらのせいで相手が不機嫌になったとしても、それは本人の問題で、分けて考えるべきだとアドラーは言います。これもなかなかむずかしいことですが、何かあった時に「これは誰の問題か」とクールに考えることで、思考も感情も整理されるのです。 さて、上機嫌。いい言葉ですね。どんなことがあっても糧にする。ピンチは新しい扉を開くためにある。必要なことが、必要なタイミングで起こる。天はどんな時も味方なのだと信じられると、上機嫌が『活性化』しそうです。信じられなくても、意識して上機嫌でいきましょう。 作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー [文・構成/吉元由美] 吉元由美 作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。 ⇒ 吉元由美オフィシャルサイト ⇒ 吉元由美Facebookページ ⇒ 単行本「大人の結婚」 快挙を成し遂げた狩野英孝、帰国便の搭乗券をよく見ると… 「さすがJAL」の声ホノルルマラソンから帰国する狩野英孝さんに、JALが用意したサプライズとは…。 ロケで出会う人を「お母さん」と呼ぶのは気になる ウイカが決めている呼び方とは?タレントがロケで街中の人を呼ぶ時の「お母さん」「お父さん」に違和感…。ファーストサマーウイカさんが実践している呼び方とは。 Share Post LINE はてな コメント
吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
上機嫌のすすめ
「いつも上機嫌でいきましょう」
『銀座まるかん』の斎藤一人社長のお弟子さんである柴村恵美子社長がおっしゃった言葉です。
『上機嫌』、この言葉を口にするだけでも何だかうれしくなります。『ご機嫌』とはまた違って、わくわくしている感じが伝わってくるような。ご機嫌がその人の中で完結している状態だとすると、上機嫌はまわりへエネルギーを発しているような…そんなイメージです。
また、上機嫌な人は、「今日は上機嫌、明日は不機嫌」…など、機嫌にムラがあるのではなく、常に上機嫌であるという印象があります。上機嫌は単発ではなく、継続的な状態。つまり、心の持ち方そのもの、生き方そのものが『上機嫌』なのでしょう。いいことがあったから上機嫌なのではなく、上機嫌だからいいことが起こる。ここの境界線を心したいものです。
フランスの哲学者アランは著書『幸福論』の中で上機嫌についてこう述べています。
「上機嫌というのは実に気前のいい奴なのだ。上機嫌は、何かをもらうというのではなく、むしろ人に与えている。なるほど、われわれは他人の幸福を考えねばならない。その通りだ。
しかし、われわれが自分を愛する人たちのためになすことができる最善のことは、自分が幸福になることである。このことに人はまだあまり気づいていない」
上機嫌というのは、広い意味での幸福感であり、そうあることで幸福をさらに感じやすくなる。すると、そんな上機嫌はまわりの人へ広がり、つられてうれしくなるのです。幸福を伝播していく心の状態なのですね。ですから、上機嫌とは気分ではなく、意志を持って自分をそういう状態にすることなのです。
反対に『不機嫌』はどうでしょう?
嫌なことがあり、八つ当たりしたくなる。悶々としてしまい、それを隠すことなく態度に出す。例えば、ドアをバンッと乱暴に閉めたり、つっけんどんな言い方をしたり。(私、機嫌が悪いんですけど)ということをアピールするような態度に出ることはないでしょうか。
心理学者のアドラーは、不機嫌は惰性である、と言います。アドラー心理学では、感情には何らかの目的があると考えます。不機嫌の目的は、「不幸な私に気を使ってほしい」「優しくしてほしい」というまわりへのアピールがあります。不機嫌な態度によって支配しようとするわけです。まわりの人はハラハラし、気を使って事を荒立てないようにするでしょう。でも、それは相手の問題であって関わらなければいいのです。
また、たとえこちらのせいで相手が不機嫌になったとしても、それは本人の問題で、分けて考えるべきだとアドラーは言います。これもなかなかむずかしいことですが、何かあった時に「これは誰の問題か」とクールに考えることで、思考も感情も整理されるのです。
さて、上機嫌。いい言葉ですね。どんなことがあっても糧にする。ピンチは新しい扉を開くためにある。必要なことが、必要なタイミングで起こる。天はどんな時も味方なのだと信じられると、上機嫌が『活性化』しそうです。信じられなくても、意識して上機嫌でいきましょう。
作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
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⇒ 単行本「大人の結婚」