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誰にも知られたくない思い出に「もういい、さよなら」 本当に大切なものとは?

By - 吉元 由美  公開:  更新:

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女性の写真

吉元由美の『ひと・もの・こと』

作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。

たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。

思い出は自分だけのもの、だからすべて持っていく

段ボールを開けるのが苦手です。

使用済みの段ボールをPPテープでまとめて縛るのも苦手です。

段ボールにはGの卵が産み付けられていることがある…という記事を読んだら、ますます苦手になりました。

ダンボールの写真

父の住んでいたマンションの一室に、私の荷物を置かせてもらっていました。

山と積まれた段ボール、著書やCD、掲載紙のファイル、会社関係の書類などが入っているのですが、中には20年近く開けたことのない箱もあります。

父が施設に入りマンションを引き払うために、私の荷物をストレージ移動することになったのです。

箱を開けて中身を確認し、処分するものは処分する。

仕分け作業をし、新たに衣装ケースにきれいに詰め直す作業。

仕事の合間にやっていたのですが、1ヶ月以上かかりました。

重いものを持ったり運んだりしていたからか、右の肩、腕が痛くて上がらない。

今、五十肩のようになってしまいました。

書類の写真

古い段ボール箱を開けると、中にはバラバラの写真やら、書きかけのノートや、資料などが無秩序…に入っています。

ほとんど処分なのですが、その中に15年ほど前に書いた小説の原稿がありました。

出版社の依頼で書いたもので、「これまでの吉元由美の作品とは違った世界観で」という要望があり書いたものです。

パリ、マリブ、ハワイを舞台にした一人の女性の物語。

主人公のモデルとなったのは、30代の初めに旅先で会った女性で、夜中まで語り明かしたのをよく覚えています。

それきり会うことも、連絡を取り合うこともなかったのですが、美しい影を湛えたようなその女性のことが気になっていたのです。

女性の写真

この小説が出版されることはありませんでした。

編集者に渡してからフィードバックがあったかどうか忘れてしまいました。

何となくボツになり、手元にあった原稿はそのまま段ボールの中でひっそりと息を潜めていたというわけです。

夕日の写真

二度と読むことはないだろうと思っていた原稿が出てきた。

それはタイムカプセルを開けたような驚きでした。

そして少し読んで、出版されなくてよかったと、胸を撫で下ろしました。

少し手を加えたら良くなりそうな気もしますが、読み返して処分しようと思います。

もうこの頃の自分をとっておく必要はないのです。

ロウソクの写真

断捨離、終活、モノにあふれた家の片付け、そして事務手続きなどきちんとする時期がいつかやってきます。

昔の写真や日記、手紙、作品などかなり処分したとは言え、その何倍、何十倍ものモノが家の中にあふれています。

思い出のものがたくさん。

誰にも知られたくないものも、箱や引き出しの奥に。

思い出は、自分だけのもの。

共通の思い出にも、自分だけの思いがあります。

だから、いつか魂の故郷へ帰るときにはすべて持って行く。

足跡をそっと消していこうと、箱の中に眠っていた昔の自分を見て思ったのでした。

(もういい、さよなら)と言う心の声に耳を傾けて、本当に大切なものだけをしまっておきたい。

その大切なものたちは、きっと形のないモノなのかもしれません。

いのちを紡ぐ言葉たち かけがえのないこの世界で

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※記事中の写真はすべてイメージ


[文・構成/吉元由美]

吉元由美

作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
吉元由美オフィシャルサイト
吉元由美Facebookページ
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