ムショ帰りの神父と天才外科医 真逆の2人が見つけた人生の宝物とは? By - grape編集部 公開:2016-08-11 更新:2016-11-01 Share Post LINE はてな コメント イラスト:山田裕司 ストーリー 優秀な心臓外科医のトンマーゾ。しかし家族関係は上手くいっておらず、長女ビアンカは冴えない男と結婚し、妻カルラとの仲は冷え気味。 頼みの綱である長男アンドレアが医師の道へ進んでくれることを願っていた矢先、突然”神父になりたい”と宣言。 その決断を受け入れられないトンマーゾはなんとか息子を我が道に戻そうと奮闘していくが…。 率直な感想としては、主人公はあくまで外科医のトンマーゾであり、神父のピエトロは彼の人生が上手くいくように見えないところで間接的にサポートする、まるで神のような存在だということ。 立場や価値観が一切真逆の人間がお互いに成長していくというよりは、全てを受け入れることのできる広い心を持つ神父との交流により傲慢な性格のトンマーゾが他人を思いやることのできる人間へと成長させられていくような印象を持った。 出典:GAGA 主人公の価値観を180度劇的に変えるような助言やドラマティックな行動を起こすわけではなく、それどころか本職の外科医の仕事に影響を及ぼすような余計な仕事を増やし、完璧だった仕事がスムーズにこなせなくなっていくような始末。 しかしそれが結果として主人公の家族や同僚らとのこじれた人間関係を良い方向へと修復していってくれることになる。 仕事以外は何もできない、不器用で利己的なトンマーゾが徐々に変わっていく様は、見ていて微笑ましくなる。そして、周りの人間には容赦なく本音をぶつけるくせに溺愛する長男にだけは嫌われたくないせいか終始本音を言えないあたりは、ちょっとかわいくて、妙にリアルで面白い。 出典:GAGA そしてコメディ映画としての完成度も高く、宗教という難しいテーマが絡んでいるものの陽気で人間味のあるジョークが多く、アメリカ映画のようにブラックユーモアで溢れていないのでどこか心の底が温まるような雰囲気がある。日本人とイタリア人の笑いのツボは意外と似ているのかもしれない。 しかしラストでは突如この陽気な雰囲気が打ち消されるような出来事が起こるのだが…。 正解を欲しがる日本人には不向きな形で幕を閉じるが、それはここで終わりというわけではなく、狂った歯車が徐々に是正されていく、これからが本当の始まりではないのかという意味が含まれている気がする。 出典:GAGA 崩れ気味だった人間関係も、もしかしたら神父と出会わなくても時間が解決してくれるような些細な問題だったかもしれない。しかしトンマーゾが神父と出会っていなければ見えるものだけを信じ、すべてを受け入れる心の余裕が生まれることはなかっただろう。 主人公の仕事に対する姿勢や家族との関係に親身になって考え徐々に正しい方向へ進んでいくように導いてくれる、まさに神様の思し召しというタイトルにぴったりの内容だったように思う。 神様の思し召し 2016年8月27日(土)新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー ©Wildside 2015 テキスト・イラスト:山田裕司 1985年鎌倉市生まれ。自転車レース・アスリート・映画作品を中心に制作。オーストリアの出版社、LURZER’S ARCHIVEが選出する世界中200名のイラストレーターのうちの一人として掲載される。他にアメリカのイラストレーションコンペ「3×3 Professional Show」「American Illustration」などで入選。他に雑誌挿絵、書籍掲載など多数。 三谷幸喜は打ち上げに行かない、なぜなら… 「理由を聞いて納得」「感心した」打ち上げが嫌いですぐに帰る三谷幸喜さん。その理由に納得の声が上がりました。 これはリピ確定! ギャル曽根が教えるトーストアレンジが簡単なのに超おいしいギャル曽根さんがトーストのアレンジを紹介!これでマンネリ化している人も卒業できますよ。 出典 神様の思し召し Share Post LINE はてな コメント
ストーリー
優秀な心臓外科医のトンマーゾ。しかし家族関係は上手くいっておらず、長女ビアンカは冴えない男と結婚し、妻カルラとの仲は冷え気味。
頼みの綱である長男アンドレアが医師の道へ進んでくれることを願っていた矢先、突然”神父になりたい”と宣言。
その決断を受け入れられないトンマーゾはなんとか息子を我が道に戻そうと奮闘していくが…。
率直な感想としては、主人公はあくまで外科医のトンマーゾであり、神父のピエトロは彼の人生が上手くいくように見えないところで間接的にサポートする、まるで神のような存在だということ。
立場や価値観が一切真逆の人間がお互いに成長していくというよりは、全てを受け入れることのできる広い心を持つ神父との交流により傲慢な性格のトンマーゾが他人を思いやることのできる人間へと成長させられていくような印象を持った。
出典:GAGA
主人公の価値観を180度劇的に変えるような助言やドラマティックな行動を起こすわけではなく、それどころか本職の外科医の仕事に影響を及ぼすような余計な仕事を増やし、完璧だった仕事がスムーズにこなせなくなっていくような始末。
しかしそれが結果として主人公の家族や同僚らとのこじれた人間関係を良い方向へと修復していってくれることになる。
仕事以外は何もできない、不器用で利己的なトンマーゾが徐々に変わっていく様は、見ていて微笑ましくなる。そして、周りの人間には容赦なく本音をぶつけるくせに溺愛する長男にだけは嫌われたくないせいか終始本音を言えないあたりは、ちょっとかわいくて、妙にリアルで面白い。
出典:GAGA
そしてコメディ映画としての完成度も高く、宗教という難しいテーマが絡んでいるものの陽気で人間味のあるジョークが多く、アメリカ映画のようにブラックユーモアで溢れていないのでどこか心の底が温まるような雰囲気がある。日本人とイタリア人の笑いのツボは意外と似ているのかもしれない。
しかしラストでは突如この陽気な雰囲気が打ち消されるような出来事が起こるのだが…。
正解を欲しがる日本人には不向きな形で幕を閉じるが、それはここで終わりというわけではなく、狂った歯車が徐々に是正されていく、これからが本当の始まりではないのかという意味が含まれている気がする。
出典:GAGA
崩れ気味だった人間関係も、もしかしたら神父と出会わなくても時間が解決してくれるような些細な問題だったかもしれない。しかしトンマーゾが神父と出会っていなければ見えるものだけを信じ、すべてを受け入れる心の余裕が生まれることはなかっただろう。
主人公の仕事に対する姿勢や家族との関係に親身になって考え徐々に正しい方向へ進んでいくように導いてくれる、まさに神様の思し召しというタイトルにぴったりの内容だったように思う。
神様の思し召し
2016年8月27日(土)新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー
©Wildside 2015
テキスト・イラスト:山田裕司
1985年鎌倉市生まれ。自転車レース・アスリート・映画作品を中心に制作。オーストリアの出版社、LURZER’S ARCHIVEが選出する世界中200名のイラストレーターのうちの一人として掲載される。他にアメリカのイラストレーションコンペ「3×3 Professional Show」「American Illustration」などで入選。他に雑誌挿絵、書籍掲載など多数。