【『正直不動産』第10話感想・考察】山下智久の魅力が作り上げた主人公・永瀬財地、正直不動産が本当に伝えたかったこと
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ドラマ好きなイラストレーター、ゆう。(@yamapyou)さんによるドラマコラム。
2022年4月スタートのテレビドラマ『正直不動産』(NHK)の見どころや考察を連載していきます。
自分が『大切にしたいもの』に捧げられることは何だろう。
お金を使う、時間を作る、情報を与える…そうやって物理的に支えることの前に、もっと重要なことがある。このドラマが3か月という時間をかけて伝えてくれたもの。
それは真摯に向き合うということだ。
大切なもの、大切な人にこそ私たちは真摯に、そして誠実に向き合わなければならない。『正直に生きる』とはそういうことなのだ。
山下智久の魅力が作り上げた主人公・永瀬財地
2022年6月7日に感無量の最終回を迎えた正直不動産。
ついに因縁の相手、ミネルヴァ不動産との戦いは最終局面を迎える。
会社のピンチを救わなければならない永瀬(山下智久)は、一人、神社を訪れていた。
すがる思いで神頼みをすると、突然妙な風が吹き始める。
強い風は後ろから永瀬を襲い、その衝撃と共に長く彼を苦しめていた祟(たた)りがついに遥か彼方へと消えた。
再び嘘がつけるようになった永瀬は、ついにこの日が来たと言わんばかりに、さっそく上手い言葉で上司をよいしょし、職場の女性に甘い言葉をかける。
改めて思うが、山下智久は本当に美しい。
あの甘いマスクと、鼻にかかる声で壁ドンをされた日には恋に落ちない女性はいないだろう。
仕事のできる営業マン、失敗を踏みまくるドジな一面、女性を口説く二枚目な姿。
山下智久のどの演技もこれ以上にないほど、今回の役柄に華麗にマッチしていた。
ただのイケメンじゃドジな役は務まらないし、コミカルすぎても仕事ができるスマートな雰囲気や女性を虜にする妖艶さを出すのは難しい。
どの武器も兼ね揃えている山下智久の素晴らしさに、このドラマを通して少しは気付いていただけただろうか。
嘘はつくし、客は騙すし、だけど憎めないキャラクターに永瀬財地を仕上げることが出来たのは山下智久が持つ魅力なしでは不可能だったと思う。
このドラマが成功したのは、主人公がみんなに好かれるキャラクターであったからに違いない。
最終話で改めて永瀬財地が山下智久で本当によかったと感じた。
壮大な伏線回収とそのメッセージ
管理委託を巡るミネルヴァとの最終対決では、『正直』な姿勢を貫き、契約続行に結びつけることができた。
後押しとなったのは山崎努演じる和菓子職人・石田努(山崎努)。初回ぶりの山崎努の共演に胸が熱くなった視聴者も多いはず。
それに加えて私は正直不動産からの粋なメッセージに感動した。
第7話のコラムにて、「過去の自分の行いは必ずブーメランとなって自分の元へ帰ってくる」という話をしていたのだが、これはこのドラマが私たちに教えてくれたメッセージだ。
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過去の行いが悪いと悪いように返ってくるし、その逆も然り。
永瀬はこの伏線を見事に回収して見せた。初回で『正直』営業をしたブーメランがまさに最終回で返ってきたのである。
永瀬の報われた姿を見てほっこりした人も多いだろう。
これで視聴者に「自分も明日から良い行いをしようかな」と思わせることが出来たのなら、このドラマの勝ちだ。
私はこのような気付きを得るためにドラマを見ているのだが、なかなかこのようなメッセージが届きにくい作品も多い。
正直不動産はド直球で投げてきてくれたからこそ、多くの人に感動を与えることが出来たのだと思う。
みなさんも人生をより良い方向へ導いてくれる作品に出会えて幸せだったと思ってほしい。
ついに『誕生』した正直不動産
最終回の章タイトルは『正直不動産、誕生』。
ここでハッとさせられたのが、最終回でようやく正直不動産が誕生したことである。
これまで私たちは祟(たた)りに振り回される主人公・永瀬を見てきた。
しかし、このタイトルで悟った。正直不動産はまだ始まったばかりなのである。
祟りに頼らない永瀬の正直人生はこれからスタートするのだ。
つくづく、このドラマのキャラクターは『真摯に向き合うこと』を貫いてきた。
カスタマーファーストを最後まで貫き営業成績1位を勝ち取った月下(福原遥)も、最後は奥さんに薔薇の花束を買いに行った大河部長(長谷川忍)も、仕事に全力を注ぎ成功した桐山(市原隼人)も、みな自分が大切に思うものに真摯に向き合っていた。
家の数だけ人生があるということ、その人たちの数だけ大切なものがあるということ。
それらに向き合うには正直でなければならない。家族、結婚、仕事、大切にしたいものは何だっていい。でも『真摯に向き合う』ことは何に対しても欠かせない。
そのことに気付いた永瀬はきっとこれから多くの人々を不動産を通して幸せにしていくだろう。
彼と共に成長できたこの3か月は、私たち視聴者にとってもかけがえのない時間となった。
素敵な作品に出会えた春に感謝します。
コラム連載に最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
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[文・構成/grape編集部]