【『正直不動産』第7話感想・考察】視聴者を沼らせる山下智久の演技の魅力!セリフのない”あのシーン”に注目
公開: 更新:
快挙を成し遂げた狩野英孝、帰国便の搭乗券をよく見ると… 「さすがJAL」の声ホノルルマラソンから帰国する狩野英孝さんに、JALが用意したサプライズとは…。
ロケで出会う人を「お母さん」と呼ぶのは気になる ウイカが決めている呼び方とは?タレントがロケで街中の人を呼ぶ時の「お母さん」「お父さん」に違和感…。ファーストサマーウイカさんが実践している呼び方とは。
- 出典
- 正直不動産
ドラマ好きなイラストレーター、ゆう。(@yamapyou)さんによるドラマコラム。
2022年4月スタートのテレビドラマ『正直不動産』(NHK)の見どころや考察を連載していきます。
「自業自得」「身から出た錆(さび)」といった言葉が古くからあるように、過去の自分の行いは必ずブーメランとなって自分の元へ返ってくる。
悪いことをすれば悪いように帰ってくるし、いいことをすれば同様にいいように返ってくるのだが、そうやって過去の自分が蒔いた種は、思いもよらないタイミングで芽を出すことがある。
『正直不動産』第7話は、そんな自分の日頃の行い、過去の行いを改めて考えさせられる回となった。
「悪いことをすればバチが当たるよ」と子供に優しく教えるように、このドラマでは主人公・永瀬(山下智久)がそれをコミカルに体現してくれている。
永瀬を見ながら、過去の自分を思い浮かべた時、反省しなければならない行いも思い浮かぶかもしれない。
しかし、しっぺ返しにあった時、相手とどう向き合うのか、今後どのように振る舞っていくのか、このドラマを見ればきっと答えがわかるだろう。
そんな教訓がいっぱいに詰まった良作だ。
ついに明らかとなった永瀬の過去
課長代理に就任した永瀬は、自身の業務と並行して課長業務に追われていた。
そんな多忙な時に限って、過去に物件を売った客がやって来たのである。
以前に永瀬が物件のメリットだけを伝え、成約させたことで、「こんなはずじゃなかった」と今になってクレームになってしまったのだ。
つくづく嘘ばかりついていた過去の自分が嫌になる永瀬。
しかし、この出来事は、そもそも自分が「どうして不動産屋になったのか」「どんな不動産屋になりたかったのか」を見つめ直すきっかけとなった。
永瀬は大学生のころ、悪徳不動産に騙されそうになったところを今の社長である登坂(草刈正雄) に助けてもらったのだ。
登坂が家を正規の価格で売ってくれたおかげで、永瀬は両親の借金返済と引っ越し代を賄うことができたのである。
深々とお礼をする永瀬に登坂は「一番儲かったのは私」と笑顔で答えた。
これをきっかけに永瀬は不動産屋になることを決意。
営業成績で1位を取るため、誰よりも努力してきた結果、永瀬が忘れてしまっていたこと…。
それは「お客に感謝される」ことだったのである。
営業トップになる前、トップと自分の違いはなんだろうと考えた。
そうして辿り着いた答えが「お客を人と思わないこと」であった。
永瀬はお客を人と思わないことで情で動かされることなくセールスができるようになり、見事、営業でトップの成績を取ることができた。
そんな過去を振り返りながら、永瀬は目標を追うがゆえ、目的を忘れてしまっていたことに気づく。
祟(たた)りにあって嘘がつけなくなってからは、成績は落ちたものの、正直にお客と向き合い、「感謝される」ことが増えたのだ。
感謝される気持ちは、仕事にやりがいや達成感をもたらしてくれる。
彼が祟りにあったのはこの大切な感情を取り戻させるためだったのかもしれない。
自分を見つめ直した永瀬は、過去の自分が蒔いた種にも、これからは真摯に向き合うことを決意した。
人生はいつだってやり直せる、ドラマはそう伝えてくれたようにも思えた。
視聴者を沼らせる山下智久の演技の魅力
第7話で大学生役をもこなしてみせた山下智久。
回想シーンでは、ハリツヤ溢れる肌と生き生きとした瞳、いつもと違った前髪のあるセットで一瞬にして時を14年前に戻してくれた。
今回、自宅の売買を考えている定年夫婦の元へメインバンクの融資課・榎本美波(泉里香)と訪問。
キラキラとした学生姿から一変、商談をスマートに進め、頼もしく大人な永瀬のギャップにまた視聴者はやられてしまうのである。
ここではてっきり家を売るために同席させられたのかと思いきや、榎本は、永瀬の不動産の説明のあと、自らの金融商品を案内し始めた。
「待て待て、聞いてないぞ」という表情を浮かべる永瀬は、リバースモーゲージ(自宅を担保に融資を受けられるシステム)の説明が終わるまでの間、「やられた…」と言わんばかりに眉を潜めながら遠くを見つめている。
最後には少し口を尖らせ、いじけたような顔を見せた。その姿はなんとも愛おしい。
ドラマから山下智久のファンになった方も多いだろう(筆者もその一人である)が、彼がファンを魅了するのは、このようなさりげないシーンにも彼の魅力が詰まっているからだと思う。
セリフがないシーンだからといって手を抜かない。
俳優としての彼のストイックさも垣間見える中、表情はとてもお茶目でキュートなのである。
大学生からエリート営業マンまでさまざまな一面を見せてくれるこのドラマで、彼が更なるファンを獲得していることは言うまでもないだろう。
是非、この山下智久の沼にハマってしまった方は「このシーンが良かった!」「この演技が魅力的だった!」とあれば、Twitterで記事を引用して教えていただけるとありがたい。
山下智久の引き込まれる演技と、素敵なメッセージが詰まった『正直不動産』。
残り3話となったがここからの展開がさらに楽しみである。
[文・構成/grape編集部]