【婚姻届に判を捺しただけですが 9話】不毛へ突き進む百瀬と頑張る当て馬たち・ネタバレあり
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Twitterやブログでドラマの感想をつづり人気を博している、あずきごはん(@komadorama)さんによる、新連載。
TBSで始まった2021年秋の新ドラマ『婚姻届に判を捺しただけですが』の見どころを、あずきごはんさん独自の視点でご紹介します。
心のシャッターを降ろした明葉(清野菜名)と自ら不毛へと突き進む百瀬(坂口健太郎)。2人は両思いなのにすれ違ってうまくいかない。
第9話ではそんな偽装夫婦のために、唯斗(高杉真宙)と麻宮(深川麻衣)が大活躍した。
『ハンオシ』第9話、麻宮が残した金言
突然、離婚を切り出した百瀬。
その理由は「好きな人に正直な気持ちを伝えたい」というものだった。
明葉はショックを受けながらも離婚に応じる。明葉は百瀬の『好きな人』を美晴(倉科カナ)だと解釈しているが、百瀬が本当に好きなのは明葉だ。
このすれ違いの主な原因は百瀬にある。
「(離婚するなら)なんでハグしたんですか?」と問いかける明葉に「自分の気持ちを確認するためです」と答える百瀬。
明葉はそもそも『美晴への不毛な恋の隠れみの』である偽装妻だ。また、キスをされた際に理由を聞いても「分からない」と返されるなど、百瀬には散々振り回されてきた。
そんな彼女が今回の百瀬の返しを「明葉への想いを恋かと思っていたけど、ハグしてみたらやっぱり違った」という風に解釈するのは自然なことである。
気持ちを伝える前に離婚なんてしたら、こじれて当然なのだ。
「誠実に向き合うために関係をリセットする」「僕たちはこれから始まるんだ」なんてウキウキする百瀬のポンコツ鈍感っぷりに、頭を抱えた視聴者も多かったのではないだろうか。
なお、百瀬の話を聞いた麻宮はこんな金言を残している。
「明葉さんがずっと自分のこと好きでいてくれるなんて思わないほうがいいってことです。人の気持ちが冷めるのなんて一瞬ですから」
恋愛は両想いだから必ず成就するというものではない。
一瞬のズレや何気ない一言で終わってしまうことも珍しくないのだ。
実際、作中では離婚後に明葉と接触しようとして冷たくあしらわれる百瀬の姿が繰り返し描かれている。
一方、明葉は唯斗に「もう疲れちゃった。全部終わりにしたい」と本音を漏らす。
それを受けた唯斗は、百瀬に告白しなかった理由を問い詰める。
「遠くから思い続けているだけで良い」という百瀬に痺れを切らした唯斗は、彼らしい言葉ではっぱをかける。
「ビビって告白できない言い訳でしょ」
「一生不毛な恋してろ、バーカ」
都市を一瞬で崩壊させるほどの破壊力を持つ高杉真宙の「バーカ」に悶えつつ、すっかり当て馬ムーブが板についてしまった唯斗に一抹の寂しさも感じる。
高杉真宙好きの視聴者としては「もっと好き勝手に振る舞っても良いんだよ…」という気持ちになるが、この台詞は百瀬の本質を理解している唯斗だからこそ言えるものでもある。
唯斗が言うように、百瀬は告白をする勇気が持てず『不毛な恋』に逃げ込んでいるだけなのだろう。
人の気持ちを推し量ることが苦手な百瀬が、告白を恐れる気持ちも理解できる。
でも、その『尊大な恐怖心』こそが明葉の心に深い傷をつけてしまったことに気づかなければならない。
恐怖に打ち勝って一歩を踏み出さなければ、何も伝わらずにすれ違うだけなのだ。
明葉の心を溶かした百瀬の行動
その後、明葉がコンペで煮詰まっていることを知った百瀬は、仕事の資料やお弁当など様々なものを差し入れる。
最初は冷たく接していたものの、徐々にほだされていく明葉。
そしてついに、百瀬は明葉からのメールを受け取ることに成功する。
明葉はLINEではなく仕事用のメールを使って百瀬に連絡しており、2人の間には明確な距離が存在することが分かる。
それでも、好きな人からのメッセージは嬉しいもの。
喜びと愛おしさが混ざったような表情を浮かべる百瀬に、テレビ画面を飛び越えて「良かったね」と声をかけたくなってしまった。
そしてコンペの発表日。
明葉は残念な結果に打ちひしがれていた。職場でお疲れさま会をやっていると、そこに明葉の憧れの作家・丸園ふみ(西尾まり)が現れる。
コンペの審査員でもあった彼女は「(明葉の作品を)ちゃんと見て良かったわ」と賛辞を贈る。
実はコンペは出来レースであり、丸園も当初は明葉の作品を見ていなかった。
そのことを知った百瀬が頼み込んだ結果、作品を見るに至ったと言う。
この百瀬の行動が明葉の心を溶かすきっかけになったのだが、2人がよりを戻す上での決定的な一手を指したのは唯斗と麻宮である。
「しんどいって好きだからなんだね」「あっきーが泣きたくなったら俺、いつでも付き合うからさ」と『友達』の立場から背中を押す唯斗。
2人を強引に再会させ、『密室で2人っきり』という状況を作り上げた麻宮。
合コンであおったり弁当をたかったりしていた2人が、作中屈指のアシストキャラになる。
現実ではなかなか起こらないようなことだが、これもドラマの醍醐味である。
坂口健太郎演じる、百瀬の衝撃的な告白台詞
そして百瀬がついに告白をする。その際のセリフは百瀬らしいとともに、衝撃的でもあった。
「僕は明葉さんをラブです」
坂口健太郎はかつて、月9ドラマのかっこよすぎる口説き文句で一世を風靡した俳優だ。
そんな彼が日本語覚えたてみたいな告白をするなんて誰が想像しただろうか。
坂口健太郎の役幅の広さには驚かされるばかりである。
ようやく気持ちが通じあった2人はどのような未来を選ぶのか。次回はついに最終回だ。
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婚姻届に判を捺しただけですが/TBS系で毎週火曜・夜10時~放送
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[文・構成/grape編集部]