【『正直不動産』第8話感想・考察】物語が生み出す正直不動産の心地よさ 人を信じるということ By - grape編集部 公開:2022-05-30 更新:2022-05-30 ドラマコラム山下智久市原隼人正直不動産福原遥草刈正雄 Share Post LINE はてな コメント ドラマ好きなイラストレーター、ゆう。(@yamapyou)さんによるドラマコラム。 2022年4月スタートのテレビドラマ『正直不動産』(NHK)の見どころや考察を連載していきます。 仕事において相手が信用できるかどうかは最も大切なことだろう。 『正直不動産』第8話では、信じることについて描かれた。 誰かに仕事を任せるとき、多少金額は上がっても、多少時間はかかったとしても、信用できる人に任せたいと思うのは当然だろう。 またその額が大きくなればなるほど、取引は慎重になり、本当に信じることができる人に頼みたいと思う。 今回、永瀬財地(山下智久)と月下咲良(福原遥)は、300坪・5億円の土地売買を扱うことになった。 大型案件なだけに、まずはこの話を持ってきた人物の信用度が問われる。 しかし、今回は永瀬の知り合いが紹介してくれたということでその点はクリアした。 登坂不動産の社長(草刈正雄)は「永瀬を信じる」との一言で、後の判断はすべて永瀬に託されることに。 永瀬と月下が交渉を進める中、ミネルヴァ不動産の横槍が入るも、なんとか契約を勝ち取ることができた。 しかし、なんだか様子がおかしい。 永瀬は一人、悶々としていた。 なぜなら、取引相手の交渉術が、かつて嘘をついていた自分と重なったからだ。 もしかしたら、『地面師』ではないのか。永瀬の脳内に不安が過ぎる。 地面師とは土地の所有者になりすまして売却をもちかけ、多額の代金をだまし取る詐欺師のこと。 そこで永瀬は信頼できる元同僚・桐山(市原隼人)に相談をすることに。 桐山は、相変わらずの素っ気なさだったが、自分は過去にその相手と交渉をしたが、すぐに手を引いたと言っていた。 理由は「似合わないスーツを着た人と仕事をしたくない」から。 「スーツに着られている」なんてことを時々言うが、今回の取引相手は、思い返せばサイズの合っていないスーツを着用していた。 普段からスーツを着ている人なら、自分に合うサイズや身の丈にあったブランドに精通していくだろう。 この状況において、桐山の判断は正しいのだと悟った。ブカブカのスーツはおそらく取り急ぎで用意したのではないか。 もしそうでなかったとしても、桐山の言葉を聞いたビジネスマンは、身だしなみで取引が判断されるという事実を痛感させられたであろう。 あなたも良い取引をしたければ、身だしなみは整えよう。上級な相手ほど、そういったところまで見られているということである。 相手は怪しいが決定的な証拠がないため、永瀬と月下は再び取引相手の事務所を訪れた。 しかし、ここで永瀬の祟りが発動! 「あなたたち、本当は地面師なんでしょ」と言い放つ。もはや冗談では片付かない状況に困り果てる月下。 相手を激怒させてしまったため、一度帰社し、再びお詫びの品を持っていくと事務所はもぬけの殻に。 永瀬の不安は的中した。やはり相手は『地面師』だったのである。 危機一髪のところで地面師の被害から免れることができた登坂不動産。これまで不動産屋で成果を出してきた永瀬の勘や経験は確かだった。 登坂は、会社員時代、地面師に騙された過去があった。 永瀬の「『あなたたち、本当は地面師なんでしょ』という言葉をあの時、自分も言えていたならば…」そう言って悔んでいた。 信頼していたからこそ、永瀬にすべてを任せた社長の判断は間違っていなかった。 もし、永瀬が地面師に引っかかっていたとしても、それは永瀬を信じた自分の責任である、そう語る登坂は結果がどうあれ永瀬を守ってくれていたに違いない。 今回の件で、永瀬と登坂社長の信頼関係はさらに強固なものになっただろう。 やはり経験はものを言うし、不安な時は信頼できる誰かに相談することが大切だ。 また身だしなみも見られているし、取引で相手を信用して任せたのならそれは自分の責任だ。 今回の正直不動産も教訓がたくさん詰まっていた。 生きる上、仕事をする上で大切なことを物語にして分かりやすく教えてくれる。 こんな奥深いドラマはめったにない。 また山下智久が永瀬を演じることで、仕事のできる営業マンな一面、正直に言葉を放ってしまう危なっかしい一面、元同僚や後輩に対しても情に厚い一面、といったメリハリの効いた様々な永瀬を楽しむことができる。 そして純粋で新人目線でものを言う月下は視聴者代表と言ってもいいだろう。 無知な彼女が我々の疑問を代弁してくれるし、我々の思いをツッコミとして入れてくれる。この塩梅もちょうどいい。 正直不動産の心地よさは物語の構成とキャストの演技、そして存在感のある小田和正によるエンディングテーマソング『so far so good』による相乗効果が起こっているように思える。 いよいよ残り2話となったが、このドラマは最終回まで安心して見ることができるとあえて言い切ろう。 なぜなら、ここまでの8話分において圧倒的な『信頼』があるからだ。 [文・構成/grape編集部] Share Post LINE はてな コメント
ドラマ好きなイラストレーター、ゆう。(@yamapyou)さんによるドラマコラム。
2022年4月スタートのテレビドラマ『正直不動産』(NHK)の見どころや考察を連載していきます。
仕事において相手が信用できるかどうかは最も大切なことだろう。
『正直不動産』第8話では、信じることについて描かれた。
誰かに仕事を任せるとき、多少金額は上がっても、多少時間はかかったとしても、信用できる人に任せたいと思うのは当然だろう。
またその額が大きくなればなるほど、取引は慎重になり、本当に信じることができる人に頼みたいと思う。
今回、永瀬財地(山下智久)と月下咲良(福原遥)は、300坪・5億円の土地売買を扱うことになった。
大型案件なだけに、まずはこの話を持ってきた人物の信用度が問われる。
しかし、今回は永瀬の知り合いが紹介してくれたということでその点はクリアした。
登坂不動産の社長(草刈正雄)は「永瀬を信じる」との一言で、後の判断はすべて永瀬に託されることに。
永瀬と月下が交渉を進める中、ミネルヴァ不動産の横槍が入るも、なんとか契約を勝ち取ることができた。
しかし、なんだか様子がおかしい。
永瀬は一人、悶々としていた。
なぜなら、取引相手の交渉術が、かつて嘘をついていた自分と重なったからだ。
もしかしたら、『地面師』ではないのか。永瀬の脳内に不安が過ぎる。
地面師とは土地の所有者になりすまして売却をもちかけ、多額の代金をだまし取る詐欺師のこと。
そこで永瀬は信頼できる元同僚・桐山(市原隼人)に相談をすることに。
桐山は、相変わらずの素っ気なさだったが、自分は過去にその相手と交渉をしたが、すぐに手を引いたと言っていた。
理由は「似合わないスーツを着た人と仕事をしたくない」から。
「スーツに着られている」なんてことを時々言うが、今回の取引相手は、思い返せばサイズの合っていないスーツを着用していた。
普段からスーツを着ている人なら、自分に合うサイズや身の丈にあったブランドに精通していくだろう。
この状況において、桐山の判断は正しいのだと悟った。ブカブカのスーツはおそらく取り急ぎで用意したのではないか。
もしそうでなかったとしても、桐山の言葉を聞いたビジネスマンは、身だしなみで取引が判断されるという事実を痛感させられたであろう。
あなたも良い取引をしたければ、身だしなみは整えよう。上級な相手ほど、そういったところまで見られているということである。
相手は怪しいが決定的な証拠がないため、永瀬と月下は再び取引相手の事務所を訪れた。
しかし、ここで永瀬の祟りが発動!
「あなたたち、本当は地面師なんでしょ」と言い放つ。もはや冗談では片付かない状況に困り果てる月下。
相手を激怒させてしまったため、一度帰社し、再びお詫びの品を持っていくと事務所はもぬけの殻に。
永瀬の不安は的中した。やはり相手は『地面師』だったのである。
危機一髪のところで地面師の被害から免れることができた登坂不動産。これまで不動産屋で成果を出してきた永瀬の勘や経験は確かだった。
登坂は、会社員時代、地面師に騙された過去があった。
永瀬の「『あなたたち、本当は地面師なんでしょ』という言葉をあの時、自分も言えていたならば…」そう言って悔んでいた。
信頼していたからこそ、永瀬にすべてを任せた社長の判断は間違っていなかった。
もし、永瀬が地面師に引っかかっていたとしても、それは永瀬を信じた自分の責任である、そう語る登坂は結果がどうあれ永瀬を守ってくれていたに違いない。
今回の件で、永瀬と登坂社長の信頼関係はさらに強固なものになっただろう。
やはり経験はものを言うし、不安な時は信頼できる誰かに相談することが大切だ。
また身だしなみも見られているし、取引で相手を信用して任せたのならそれは自分の責任だ。
今回の正直不動産も教訓がたくさん詰まっていた。
生きる上、仕事をする上で大切なことを物語にして分かりやすく教えてくれる。
こんな奥深いドラマはめったにない。
また山下智久が永瀬を演じることで、仕事のできる営業マンな一面、正直に言葉を放ってしまう危なっかしい一面、元同僚や後輩に対しても情に厚い一面、といったメリハリの効いた様々な永瀬を楽しむことができる。
そして純粋で新人目線でものを言う月下は視聴者代表と言ってもいいだろう。
無知な彼女が我々の疑問を代弁してくれるし、我々の思いをツッコミとして入れてくれる。この塩梅もちょうどいい。
正直不動産の心地よさは物語の構成とキャストの演技、そして存在感のある小田和正によるエンディングテーマソング『so far so good』による相乗効果が起こっているように思える。
いよいよ残り2話となったが、このドラマは最終回まで安心して見ることができるとあえて言い切ろう。
なぜなら、ここまでの8話分において圧倒的な『信頼』があるからだ。
[文・構成/grape編集部]