広瀬すずの『生硬で真っ直ぐに私たちを射る目』 ドラマファンが見る『クジャクのダンス、誰が見た?』初回
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SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。
2025年1月スタートのテレビドラマ『クジャクのダンス、誰が見た?』(TBS系)の見どころを連載していきます。以下、ネタバレが含まれます。
かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。
広瀬すずの演技の奥には、固い芯があると思う。
感情がこぼれ落ちる大きな瞳、きゅっと結び、時に震えながら言葉を紡ぐ唇。
その動きの狭間に、安易な理解や共感を拒もうとする彼女の固い芯がある。
「前を向くかどうかは、わたしが決めます」
強く、清冽(せいれつ)な広瀬すずの姿を借りて、ヒロインの心麦(こむぎ)が無神経な親戚相手に気丈に言いきったその時、私の心はこのドラマ、『クジャクのダンス、誰が見た?』(TBS系)にがっちりと掴まれてしまった。
母を早くに病死で失って、肩を寄せ合うように暮らす警察官の父・山下春生(リリー・フランキー)とその娘の山下心麦(広瀬すず)。
親子の仲睦まじい平穏な日々は、クリスマスイブの夜、春生が殺されたことによって突然終わりを告げる。
ほどなく父を殺したと思われる容疑者が逮捕され、癒えない悲しみを抱えて独りで暮らしはじめた心麦に、生前に書かれた父の手紙が手渡される。
手紙には、今逮捕されている容疑者は冤罪であること、その冤罪を晴らすために、とある弁護士を雇ってほしいという奇妙な依頼が書かれており、更に弁護費用として300万が添えられていた。
300万円を持って弁護士を訪ねた心麦は、それを契機に父の事件と二十年前に起きた一家殺人事件をめぐる問題に巻き込まれることになる。
このドラマの原作は浅見理都のコミックで、現在も講談社の『Kiss』で連載中である。
単行本は6巻まで刊行済みで、その巻末にて2025年春に刊行予定の7巻で完結と告知されている。なお、6巻巻末の時点でも犯人は不明だ。
つまり、現時点では未完だが、ドラマの最終回の前後で原作も完結する可能性が高い。
原作はクライムサスペンスとしてももちろん極上だが、刑事手続きのあり方と冤罪をめぐる倫理的な側面を描くリーガルドラマとしても、非常に見応えのある作品である。
『クジャクのダンス、誰が見た?』は、「ジャングルの中で踊る、クジャクのダンスを誰が見たか」というインド哲学の一節からとったタイトル。
初回でとりわけ印象に残ったのは、弁護士・松風義輝(松山ケンイチ)が心麦に告げる「真犯人を取り逃がす不正義と、冤罪者を処罰する不正義は質が違う」という言葉だった。
心麦とともに事件を追う弁護士の松風を演じるのは、連続テレビ小説『虎に翼』(NHK)でも仏頂面で無二の甘党の法曹・桂場等一郎判事を好演した松山ケンイチ。
今作でも理屈っぽく疑り深く面倒くさく、でも心根は温かい弁護士を、松山ケンイチ特有の軽やかさを隠し味にして表現している。
他にも父・春生のかつての同僚・赤沢を藤本隆宏、赤沢の妻・京子を西田尚美、春生を殺したとされる容疑者・遠藤友哉を成田凌、事件をしつこく追う週刊誌の記者・神井を磯村勇斗と、脇を固める俳優もそれぞれの世代での実力派・曲者揃いである。
だがやはり、このドラマ化の成否を握るのは、広瀬すずの生硬で真っ直ぐに私たちを射る目なのだろうと思う。
ヒロインの心麦は、初回から何度も無情な周囲に対して迷い、怒り、疑いながらも、父への愛と思い出を支えにして、世界は善なるものだと信じようとして立ち上がる。
ヒロインの名前、『麦』は過酷に踏まれることでより強く根を張り育つ。
その名前に込められたヒロインのありようと、広瀬すずの持つ『固い芯』が重なり合うとき、それでもこの世界で善を信じるだけの価値があるか、物語の中で見えてくるのではないかと思う。
その行く末をしっかりと見届けたい。
『クジャクのダンス、誰が見た?』第2話あらすじ
最愛の父を殺された心麦(広瀬すず)は父の遺した手紙に名前のあった弁護士・松風(松山ケンイチ)と一緒に事件の真相を追うことに。
2人の前に週刊誌記者・神井(磯村勇斗)が現れ、「心麦は春生(リリー・フランキー)の娘ではないのでは?」と衝撃のひと言を突きつける。
一方、春生殺害の容疑者・友哉(成田凌)は松風にあるノートを渡す。そこには事件に繋がる鍵が。死刑囚の息子でもある友哉の脳裏には壮絶な過去が蘇り…。
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[文・構成/grape編集部]
かな
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