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「とにかく歌いあげてほしいと」西川貴教が明かす『サムシング・ロッテン!』出演秘話

By - grape編集部  公開:  更新:

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ブロードウェイで話題をさらったコメディミュージカル『サムシング・ロッテン!』

16世紀のロンドンを舞台に、ヒット作に恵まれない兄弟演劇作家のニックとナイジェルがウィリアム・シェイクスピアと競いながら成功を目指す様子が描かれています。

作中には『コーラスライン』『アニー』『レ・ミゼラブル』などの名作や、シェイクスピア作品を彷彿とさせるシーンが随所にちりばめられ、舞台・ミュージカルファンの心をくすぐる人気の作品です。

その『サムシング・ロッテン!』の日本語版上映が決定しました!

日本語版の演出・監督を務めるのは、人気放送作家の福田雄一さん。これまで数多くの高視聴率番組を手がけ、最近では映画『銀魂』の演出・監督など、ドラマ、映画、舞台と幅広いジャンルで活躍中です。

メインキャストには、西川貴教さん、中川晃教さんら日本の音楽界、ミュージカル界を牽引する豪華俳優たちが集結。その歌声にも注目が集まっています。

公演を前にシェイクスピア役を演じる西川貴教さんにインタビュー。出演の経緯や作品について語っていただく中で、これまでのミュージカルキャリアを振り返った『深イイ話』もたくさん飛び出しました。

『サムシング・ロッテン!』出演までの経緯

―西川貴教さんと福田雄一監督のコラボレーションが話題になっています。出演の経緯をおしえていただけますか。

福田さんとの出会いは、たまたま湾岸スタジオに収録で伺っているときに、別のスタジオに福田さんも収録で来ていて、楽屋に僕の名前が貼られているのを見つけて会いに来てくれました。

実は以前レギュラー出演していた『堂本兄弟』の作家を福田さんがやられていて、間接的な接点はあったのですが、直接ご一緒したことはありませんでした。

後で聞いたところ、以前から福田さんの作品のキャストに何度か僕の名前が挙がったと伺って、気にかけてくださっていたんだなと。

ずいぶん長いこと前から福田さんは『サムシング・ロッテン!』をやりたくて、キャスティングに関しては吟味されていたそうです。 特にシェイクスピアに関しては、なかなか納得のいく方が見つからなくて、僕のところに話を持ってきてくれました。

―その時点で出演を即決されたのですか。

福田さんのお気持ちは嬉しかったし、熱意も感じて、真摯にありがたく思いました。

ただ、舞台は稽古や準備の期間が長く取られるので、これまでは1年から2年おきのペースにしていました。この話がくる前に『地球ゴージャス』の舞台で半年間は埋まることが決まっていて、 音楽の仕事もリリースが滞らないようにしないといけないし、というスケジュールの部分で悩みましたね。

なので、いろいろとスケジュールをご相談していただきながら、出演を決めました。

福田雄一監督の印象

―実際に福田雄一監督に会ってみて、どんな印象を持ちましたか。

舞台をお好きだとは思っていたし、映画も拝見して、福田作品に出ている後輩も知っていたので、作品への熱量は存じていました。 でも実際に会って、こんなにもミュージカルに対して真摯に取り組まれている方なんだというのを知って新鮮でした。

今でこそやっとミュージカル俳優に少しスポットライトがあたっていますけど、僕が初めてミュージカル、『リトルショップ・オブ・ホラーズ』を任された90年代後半なんかは、 ミュージカル俳優は特殊な存在で注目される機会も少なかった。

だからこそ、作家として色々作品に関われたりしても、ミュージカルにすごく興味を持たれて、愛情持って接してらっしゃる姿が印象的でした。

―現時点で、福田雄一監督から役どころのイメージなどレクチャーはありましたか。

最初に、僕のキャラクターを熱を持って説明してくださった時に、『Will Power』というシェイクスピアが歌うメインナンバーを歌える人を探していると。

サウンドトラックを僕も聞かせていただきましたが、ニックとノストラダムスの要素のつまったシーンで、キーとなる曲になるので、とにかく歌い上げてほしいといわれました。

この声を必要としてくださっている感じでしたね。

ミュージカル『サムシング・ロッテン!』の見どころ

―キャストの顔ぶれが、ミュージカル出身の中川晃教さんや宝塚出身の瀬奈じゅんさんなど、バックグラウンドがそれぞれ違って、異種格闘技戦のようなところも作品の魅力といわれていますね。

中川さんと共演するということで、興味を持ってくださる人が多くて、びっくりしています。

発表されたキャスティングの方は初対面の人ばかり。とはいえ、みなさん歌の部分で注目されている方ばかりで、違った歌の表現をされると思います。

そこで個性がないと作品のピースとして機能しないと思うので、他のみなさんが歌でどんな表現をされるのかすごく楽しみです。

―『サムシング・ロッテン!』はコメディであり、レ・ミゼラブルなどのオマージュも含まれているとか。現時点で、この作品についてどんな印象を持っていますか。

そうですね。レントからハムレットから、いろんなミュージカルの要素が入っていて、ミュージカル好きにはたまらない、ミュージカルリテラシーの高い人でこそ楽しめる作品かと。 コメディだけど、観る側のミュージカル愛や興味の度合いを相当試される作品になっています。

もちろん通だけでなく、初めての人も、この作品をきっかけにミュージカルやパフォーミングアートに興味をもってもらえるんじゃないかと。 僕も本をいただいてまだ数日ですが、これまでの古典的なシェイクスピア作品をもっともっと見たくなりました。

―シェイクスピア役を演じられますが、どんな役どころだと思いますか。

シェイクスピア作品に出ることはあっても、自分がシェイクスピアをやる人ってあんまりいないんじゃないかな。

僕はあんまりこのキャラクターのようなぐいぐいタイプではないんですけどね。逆にこの作品では僕が見てきた『苦手な人』をモチーフにしていけたらなと。

この作品では僕は唯一のヒールなので、そういった役柄もはじめて。中川さん(ニック)の立場でキャスティングされることが多かったので、今までやったことのないタイプのキャラクターですね。

ミュージカルキャリア20年を振り返って

―今年でミュージカルキャリア20年を迎えられますね。最初の舞台、『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』からいま現在までを振り返り、心境の変化はありますか。

初めのころは、本当に僕でいいのかなという思いでずっとやっていました。舞台を目指してやってきた人間とは違う人間が、ひょいと主役を与えられて、というのはどうなのかなと申し訳ない気持ちもありました。

でも2006年の『ハウ・トゥー・サクシード 』で、「キャスティングしたお前らができるって言ったんだから責任とれよ。その代わり僕も一生懸命やるから」くらいのテンションで腹をくくって舞台に向き合ったら、 全然違った結果が生まれた。

そこからどんどんいろいろな作品のお話をいただくようになって、意識がずいぶん変わりました。

今回、この作品にもモチーフで出てくる『ハウ・トゥー・サクシード 』と『ミュージックマン』などのブロードウェイ作品の古典に出演して、きちんと勉強させていただいたことで、 いろいろなものを受け入れられるようになりました。

基礎から勉強してミュージカルに挑むことができたので、振り返ってみると、いい意味でじっくり時間をかけて、いい作品と出会うことができたのかなと。

―これまで演じた作品がすべてつながっているという、そういう意味で『サムシング・ロッテン!』は20年間のミュージカル俳優としてのキャリアが詰まっている作品になりますね。

そうですね。これでまた自分的にも一皮むけるといいなあと思います。

音楽、舞台、TVにとさまざまなジャンルで活躍し続ける西川貴教さん。ラジオでも、ニッポン放送の『オールナイトニッポン』のパーソナリティを長年勤めていました。

1997年から2005年の間に放送された『西川貴教のオールナイトニッポン』は、ハガキやメールを通して、毎夜なんでもないような話題で盛り上がるというスタイルで、多くのリスナーの共感を呼びました。

番組終了後も人気は根強く、現在、毎週火曜日~金曜日の夜21時40分から10分間オンエアーで、『西川貴教のちょこっとナイトニッポン』が放送中。

『サムシング・ロッテン!』公演期間中の12月24日はニッポン放送が会場を貸し切る『ニッポン放送デー』ということで、リスナーに向けたメッセージを語ってくれました。

舞台って、ラジオの生放送と割と近い感じがしていて、舞台もラジオも観る側、リスナー側の想像力にすごいゆだねられている。

オールナイトニッポンで2時間、長いときは4時間やらせてもらっていましたけど、生放送だから何が起きても始まったら終わるまで止まらない。

舞台でもハプニングが起きたら困るけど、起きてしまったらそれは舞台の中のものになるんですよね。そんなところもラジオと似ているなあと感じています。

そういった意味でも、リスナーが初めてミュージカルを観る作品としても選んでもらったら嬉しいです。

西川貴教さんが出演するミュージカル『サムシング・ロッテン!』は稽古が始まったばかり。

福田雄一監督の世界観に、西川貴教さんをはじめ、個性的なキャストたちのコラボレーションがどのように昇華するか、いまから楽しみです!

一般券は9月8日から発売スタート。かなりの人気が予想されますので、興味のある人はお早めにチェックしてみてくださいね。

『サムシング・ロッテン!』公演情報

【東京公演】

日程:2018年12月17日(月)~12月30日(日)全19公演
※12月24日(月・祝)ニッポン放送スペシャルデー
(ニッポン放送スペシャルデー チケット受付はこちら
※12月20日(木)・25日(火)は休演

会場:東京国際フォーラム ホールC
(〒100-0005 東京都千代田区丸の内3丁目5-1)

【大阪公演】

日程:2019年1月11日(金)~1月14日(月・祝)全6公演

会場:オリックス劇場
(〒550-0013 大阪府大阪市西区新町1-14-15)

チケット情報

2018年9月8日(土)一般券発売開始


[文・構成/grape編集部]

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