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【TOKYO MER感想 7話】境界をつくらないということ・ネタバレあり

By - かな  公開:  更新:

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Twitterを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。

2021年夏スタートのテレビドラマ『TOKYO MER』の見どころを連載していきます。

かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。

弱い立場になってみれば、分け隔てなく、あるいは惜しみなくケアをしてくれる人は本当に心の底から有難い。

医師、教師、コーチ、店員、なんにせよ人生の恩人だと思う。

でも、それが職場の同僚である場合や、その人と成果が連動する立場で働いてみると、実は案外と大変だったりする。

熱心すぎるあまり仕事の終わりが読めない、シワ寄せが周囲にくる。そして、時にそんな人々の熱意や愛情を利用しようとする悪意の人物が現れ、引き寄せられてくる。

ボーダーレスな熱意や愛情が全てを解決する世の中ならどんなにいいか。

『TOKYO MER』第7話、喜多見の『過去』が明らかに?

「待っているだけじゃ、救えない命がある」を掲げ、MER(モバイル・エマージェンシー・ルーム)という最新医療の大型車で、真っ先に災害・事故現場に駆け付けて患者の命を救う医療チームの活躍を描いたテレビドラマ『TOKYO MER』。第7話からは、いよいよ最終章に突入する。

ほのめかす程度で、これまで詳細が明かされてこなかったチーフの喜多見の『いわく付きの過去』が事件に連動して動き出す第7話は、外国人労働者が数人働いている工場での救急要請からスタートした。

雇い主のあからさまな差別と事実関係の隠蔽から、苦しむ外国人労働者たちの病状の原因がなかなか明らかにならない上に、現場は警察に管理されており、喜多見たちは救命活動をことあるごとに阻まれる。

事件の進展とともに、ビザのない外国人労働者たちが更に十数人も地下に閉じ込められていること、地下での有毒ガスの発生が事件の原因であることが明らかになる。

そして警察は、テロリストの爆破予告の阻止のために現場に来ており、外国人労働者の中にテロリストの内通者がいると推測して彼らの救急搬送を拒んでいたのだ。

博愛への信念をつらぬく『MER』チーム

今回のエピソードで終始貫かれているのは、「見捨ててもいい命なんて存在しない」という、喜多見とMERチームのボーダーレスな博愛への信念だ。

これまでも、どんな患者も救うという意思で危険を顧みず治療に当たったチームだが、テロの協力者である可能性を目の前にしても、救命したいと願う喜多見もチームも揺らがない。

そして、その医療者の信念に立ち塞がるのが、現場で指揮を取る公安警察の月島しずかである。クールで厳格な警察エリートを稲森いずみが好演している。

喜多見と対照的に、月島は明確な境界線を引くことで秩序と安全を守ろうと考えている。判断の速さ、部下への的確な指示。決して無能ではない。

月島は「テロなど、この国には存在しない。国民の安心を守るために誰にも知られず未然に防ぐ」と断言し、病状の癒えないままの外国人労働者を容赦なく追い詰めて取り調べる(後になってテロ予告がはったりであること、月島はそれを推測していたことも明かされる。はったりと感づいてなお取り調べを緩めない月島の、むごいほどの厳しさが際立つ)。

線を越えようとする者、線を厳しく引く者。相反する2つの価値観は、赤塚都知事の判断とMERチームの必死の訴えかけで何とか救命に舵を切る。

おりしも、現実の外国人労働者の数々の問題と引き合わせて考えた時、ドラマは理想であるとしても、そのギャップにため息が出る。

『TOKYO MER』第7話の手術シーンは特に魅力的

最終章スタートの今回、いかにもMERチームらしい滑らかな連携の手術シーンが素晴らしい。

手術の場面自体が医療ドラマでは見せ場だが、今作の手術シーンの魅力は常に群を抜いている。

手術前の声かけ、器械出しから「もらいました」と落ち着いた声で受け取って処置をする喜多見の手さばき、チームが有機的に連動していく美しさはTOKYO MERならではだと思う。

演者それぞれに、並々ならぬ事前の勉強があったであろうことは想像に難くない。

外国人労働者は無事に救出され、予告されたテロは結局起きることなく、物語は一見めでたしで終わったところ、首謀者たるテロリストの目的は別にあったことが判明する。

さらに、そのテロリストと、喜多見には何らかの友好的な繋がりがあるということも月島から示唆される。

区別なく救いたい者が、区別なく殺傷する者と因縁で繋がっている。強すぎる陽光で足元に色濃い影が生まれるように。

謎めいたテロリスト・椿を演じるのは城田優。凛とした公安警察の稲森いずみ演じる月島しずか、医療者としてブレない矜持を貫く鈴木亮平演じる喜多見幸太。

役者はそろった。クライマックス待ったなしである。

TOKYO MER/TBS系で毎週日曜・夜9時~放送

過去のTOKYO MERドラマコラムはコチラから


[文・構成/grape編集部]

かな

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