「ホラー漫画家はみんな怖がりだと思います」伊藤潤二が明かす”怖いもの”に、オダウエダ植田も共感
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植田紫帆
お笑いコンビ『オダウエダ』でコント師として活躍。NTV『THE W 2021』優勝。
子供の時から続けていることが漫画を読むこと。テレビ番組の企画で漫画紹介を行うほか、YouTubeやラジオを通して『マンガ愛』を熱弁している。grapeでは漫画コラムを連載。

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ホラー漫画界の重鎮、ネタがひらめく瞬間明かす
植田:
伊藤先生はどういう時にネタを思いつきはるんですか?
伊藤:
ラジオの話がヒントになることもあります。歯科技工士を兼業でやっていた頃に職場でラジオがかかっていて、そこから情報を得て、情報をそのままではなく連想ゲームのように発展させていくみたいな…。
気に掛かる情報が耳に入ったら、それを頭の中で「ああでもない、こうでもない」とこねくり回しているうちに、面白いネタが生まれることはよくありましたね。
植田:
歯科技工士というお仕事的に、ちょっと手を動かしながらというのがむしろいいんですかね?
伊藤:
そうですね。毎回似たような作業で、手を動かすことに頭を使わないので、脳がフリーになっている感覚はありました。
あとはお風呂に入ってシャワーを浴びる時、水の音しか聞こえなくて脳がすごく自由になるんですよ。「登場人物の次の行動がどうしても思いつかない」と息詰まった時に、諦めてお風呂に入りシャワーを浴びているうちに、「あっ!」とひらめくこともあります。
お風呂で思いついたアイディアはこれまでにすごくたくさんあるので、お風呂がなかったら、漫画家を続けてなかったと思います(笑)。
植田:
私のほうから「お風呂の関係者の方、ありがとうございます」と言いたいです(笑)。
撮影:grape編集部
ネタを思いつくきっかけはホラーもお笑いも同じ?
伊藤:
植田さんはどういうシチュエーションで思いつきますか?
植田:
私もたまに、お風呂でアイディアを思いつくことがありますね。
あとは先生がおっしゃっていた「単純作業をしながら」というのは、身に覚えがあるシチュエーションです。単純なパズルゲームをやっている時に「あのボケ、こうしよう」や「ネタの原案をこう広げよう」と思いつくことがありますね。
あとは散歩している時も結構頭が整理されます。でもその時は「あそこのくだり、どうしようかな」とか、もともとあるものを整理することが多いです。
結局『ネタの種』を思いつくタイミングは、さっき先生が言ってはったように、ふとした瞬間だと思います。
伊藤:
ホラーもお笑いも同じなんですね(笑)。
植田:
思いつくきっかけは本当に近いですね(笑)。
伊藤潤二とオダウエダ植田が『潰談』を読み解く
伊藤:
やっぱり面白いネタを思いついた時は笑っちゃいますか。
植田:
笑っちゃいますね。人が死んでるオチなのに、内容がぶっ飛びすぎていてめちゃくちゃ笑ってまうことはよくあります。
伊藤:
死んでも笑っちゃうというのは不思議ですよね。
植田:
ですよね…。「なんかちょっと笑ってまう」みたいな感覚は、先生の作品からもすごく感じるといいますか。
書評を書かせていただいた『伊藤潤二傑作集11 潰談』でいえば、『地縛者』ですかね。なんか笑っちゃいますよね。これは『死』とはまた違った意味での命の終わり方が表現されてますけど。
伊藤:
そうですね。なんでこんなの描いたんだろう(笑)。
たまに『潰談』『グリセリド』とか調子いい話もあるんですけど、この11巻を描いていた時はちょっと精神状態がよくなかったです(笑)。『死刑囚の呼鈴』とか…。
植田:
『死刑囚の呼鈴』は本当に嫌な話ですよね。確かにこれは、先生の様子がおかしくないと描けないかなと(笑)。
初めて読んだ担当編集さんもびっくりしたでしょうね。
撮影:grape編集部
――『グリセリド』の名が挙がりましたが、この話を思いついたきっかけはなんでしょう?
伊藤:
中学生くらいの時、ニキビができやすくて、潰して遊んでいたんですよね。潰すとチュルチュルと螺旋を描くなど、出方がいろいろあって(笑)。そういうのを漫画にしたいなぁって思って描きました。
植田:
先生の作品はどこかかわいげがありますよね。
「どうだ…俺の活火山から…吹き出す脂は…」というセリフも大好きです。ページを捲ったら1ページ丸ごとデカい活火山…!悪夢ですよね。
伊藤:
これは完全に笑わせようとしてますね(笑)。歯科技工士学校に通っていた時に、お坊さんをしていた校長先生のつてで、三重県のお寺で修行体験をする旅行をしたんです。
暑い夏の夜に、油で固まったようなギットギトの布団で寝たんですよ。その時に「油って気持ち悪いな」と思って。
植田:
『グリセリド』の舞台は焼肉屋さんでしたよね。家に溜まった油の嫌な感じが、実際に経験されてないと描けないだろうなと思っていたので納得です。
伊藤:
生まれ育った家も、柱が真っ黒になっているような本当に古い建物で、料理による油もこびりついていて。
植田:
そうなんですね…。私の祖母の家も『ザ・和風』な家で、煤(すす)系の黒い感じがこびりついていて、じとっとした雰囲気をすごく思い出します。小さい時に裸足で歩いていたら、足の裏が真っ黒になることもありましたからね(笑)。
©ジェイアイ/朝日新聞出版
異色な2名の意外な共通点は『ゴミ屋敷』!?
植田:
あと、弟と母親の3人で暮らしていた実家がゴミ屋敷だったんです。ゴミの奥に母親がいたり、ゴミの真ん中で弟とゲームをしたり(笑)。
伊藤:
私の仕事場もゴミ屋敷です。取材が来る時は前日に片付けて、終わるとまた元通り。
なんでゴミ屋敷になるのか不思議なんですけど、ゴミ屋敷ってなんか楽しいんですよね(笑)。
植田:
ワクワクしますよね、落ち着くといいますか(笑)。今の一人暮らしの家は結構きれいにしているんですけど。
伊藤:
部屋をきれいにするコツは何かあるんですか?
植田:
親を反面教師にして、ちょっとでもゴミが出たらすぐに捨てるようになりました。恐怖症とは違うんですけど、今は「アカン、ゴミを1個でも放置してたらゴミ屋敷だな」という観念があります。
伊藤:
『ゴミが出たらすぐに捨てる』というのがコツなんですね。植田さんのYouTubeを拝見したら、冷蔵庫とかも、手の届くところにすべて置いて座椅子に座ってらっしゃいましたね。
植田:
ゴミ屋敷に見慣れている方はすぐに気づくような、物ぐさが出てますよね(笑)。
撮影:grape編集部