『稲』は、なぜ『イネ』と名付けられた? 言葉の向こう側に広がる世界
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吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
言葉のエネルギーを大切に
名前には、親の願いがこもっている。おそらく、私の親も「自由で美しい人になってほしい」という願いをこめて、由美と名付けたのだと思います。そこには愛があり、希望があり、親としての覚悟もこめられているかもしれません。名前は親からの最初のギフトであり、エネルギーそのものです。
いにしえの日本人は、言葉にはそれを現実化する霊力、言霊が宿っていると考えていました。その意味のエネルギーが宿っている。森羅万象の一部としての自分たちであると考えていた私たちの祖先は、言葉、音と自然はつながっている、一体であると捉えていたようです。
たとえば、「あ」という音を発音すると、口を大きく開けて音を発します。外に開いていくような音です。ですから、『開ける』『明ける』『明るい』『明日』『朝』『天(あま)』といった、開けていくようなイメージの言葉が作られました。また『あ(吾)』とは、『私』という意味です。このように、五十音一つひとつにも音霊があると考えられてきたのです。
『稲』は、なぜ『イネ』と名付けられたのか。古代の日本にとって稲は最も大切なものでした。『命の根』であるということから『イネ』と名付けられたのです。
このように、日本の言葉にはその背景があります。その背景を知ることによって、意識が変わります。ご飯を食べるときに、ただ食欲を満たすものとして食べるのと、このご飯は命をつないでくれるものだと思って食べるのとでは、栄養の吸収率が違うのではないかと思います。すべての言葉の由来を知ることは難しいですが、言葉の向こう側にも世界が広がっていることを意識するだけで、言葉の使い方が変わるのではないでしょうか。
日本語は、母音からできている言語です。発音するときの感覚を味わってみてください。口を開けて発音する「あ」、喉の奥に軽く力が入る「い」、内に引っ込む「う」、更に下奥に舌を引く「え」、口を丸めるように発音する「お」。母音は、声帯の振動をそのまま伝える自然な音であり、この母音主体の言語は日本語とポリネシア語です。日本語とポリネシア語は、母音を言語脳がある左脳で聞きます。それ以外の言語は音響障害(雑音)として右脳で聞きます。日本人とポリネシア人は、自然に存在する音を言語として捉えることができ、自然との同化や融合をしやすい。自然の音を言語で表現することができる。
「風がさーっと吹く」「ミーンミーンと蝉がなく」
日頃使っている私たちは意識しませんが、日本語は実に豊かな言語表現をできる言語なのです。
私たちの名前にもこめられている豊かな意味を、今一度意識してはどうでしょうか。こめられた祈りや願いを生きているか。私でしたら、私にとって自由とは、美しくあるとはどういうことか。意識することでより深く自分とつながり、可能性が拓けていくのです。
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作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」