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【恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜 8話】「障害者のユキコ」ではなく「恋人のユキコ」を支える・ネタバレあり

By - grape編集部  公開:  更新:

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ブログ『現実逃避は前向きに。』で注目ドラマの感想をつづる、malcoさんによる新連載。水曜ドラマ『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜』の見どころを紹介していきます。

基本的に、森生(杉野遥亮)は自己肯定感が低いと感じていました。

「俺なんか」と自らを卑下するような言葉を使ったり、何かにつけて遠慮がちな言動をすることがあり、気になっていました。

「母親に捨てられた」という意識がそうさせているのかもしれません。

第8話では、そんな森生の前にユキコ(杉咲花)の幼馴染で初恋の相手でもある緋山(小関裕太)が現れます。

ライバルの出現に敵意を燃やす森生でしたが、あまりにもデキる男・緋山のハイスペック攻撃に、コテンパンにされてしまうのでした。

森生の自信喪失

盲学校の職業支援の講師としてユキコと再会した緋山は、笑顔を見せるたびに『キラーン』と効果音が入るほどの爽やかさ。

いつもどんな人にでも優しく、気配り上手で、周囲の女性たちを虜にしていきます。

さらに、障害者支援を仕事にしているだけあって視覚障害者の事情に詳しく、ユキコたちへのフォローも完璧。森生は緋山を敵視します。

そんな中、ユキコは地域で開催されるクリスマスマーケットに出店する茜(ファーストサマーウイカ)の手伝いをすることになります。

緋山も参加すると聞き、手伝いを名乗り出る森生。

このクリスマスマーケットの手伝いで、森生は緋山と張り合おうと頑張りますが、全く敵いません。

料理では緋山の手際の良さを見せつけられ、森生が荷物を運ぼうとすれば、荷台を用意していた緋山が全て運んでしまい、森生がユキコたちにカイロを渡せば、緋山がストーブを持って来てみんなを喜ばせ…そんな具合に、緋山のスマートさを見せつけられてばかり。

空回り、引け目を感じていく森生の表情のひとつひとつが、切なくてたまりませんでした。

だからこそ、そんな彼に筆者は言ってあげたい。

確かに緋山はデキる男ですが、人間の長所というのは「何かが出来る、出来ない」ということだけで決まるのではありません。森生には森生の良さがあるのだと。

何より、森生という男は愛されキャラなのです。

逆に、緋山のような完璧な人が、森生のような可愛らしい愛されキャラになるのは難しいでしょう。

何ひとつ、森生が負けたことにはならないと思うのですが…。

しかし、森生は勝手に焦りを感じ、それに追い討ちをかけるように緋山は高圧的な宣戦布告をするのでした。

ユキコと森生が与え合うもの

「黒川くんとユキコ、合わないんじゃないかな。ユキコは普通の人を選んだ方がいい」と、緋山は、森生を非難しました。

自分の意思で不良の道を歩んだ森生は、自分のせいで目が悪くなったわけではないユキコとは、生きづらさの意味が違うと言うのです。

続けて緋山は、自らがユキコを幸せにしたいと森生に宣戦布告をします。

このシーンの緋山は、これまで視聴者に与えてきた印象とは異なり、いささか尊大な態度に見えました。

これまでのユキコと森生を見守ってきた視聴者からすれば、緋山の『普通』という言葉の使い方には反発を覚えます。

森生を「普通ではない」と一蹴する緋山は、色眼鏡で他人を見る人間なのではないかと、そんな不安も抱きました。

緋山の辛辣な批判に落ち込んだ森生でしたが、最終的にユキコの言葉によって救われます。

緋山に負けじと、免許を取り、勉強をしてユキコの役に立ちたいと言い出した森生を、ユキコは自宅に招き、森生がクリスマスマーケットで食べ損ねたと言っていたメニュー『ナポリタンドッグ』を振る舞います。

そして、森生への想いを語りました。

一人でバスにも乗れなかったし、洋服も買いに行けなかったし、アルバイトなんてできるわけないと思っていた自分が、それらをできるようになったのは、森生がいたからなのだと。

今の森生が好きなのだとユキコに伝えられたことで、森生は自信を取り戻し、前向きになれたようでした。

森生の一生懸命さと真摯さは、人の勇気に火を灯す力があると思います。

視聴者は、森生に背中を押されて前を向くユキコをずっと見て来ました。

今回も、食に関する仕事を諦めていたというユキコに森生がエールを送り、改めて彼はユキコにとって必要な存在なのだと示されました気がします。

「俺なんか」であった森生には、弱視というハンデにも負けず様々なことに挑戦するユキコが、自分よりも強い人間に見えるのでしょう。

だからこそ尊敬し、恋人になった今でも『さん』付けをして敬語で話してしまう。

しかしこのところ、森生は自分を卑下するような言動が減ったと、筆者は思っていました。

そして、この第8話では、緋山からどんなに差を見せつけられて自信を失っても、森生は「俺なんか」と言いませんでした。

これは森生がユキコと付き合っていく中で、彼女の言葉や思いを受けて、着実に自己肯定感が高まっているからではないでしょうか。

森生というのは、非常によく考えられた一貫性のあるキャラクターだと感じます。

弱視のユキコが積極的に社会と関わるためには、緋山のようなサポートももちろん必要でしょう。

しかし、森生が支えているのは『障害者のユキコ』ではなく『恋人のユキコ』。

森生だからこそできる『励まし』が、彼女の原動力になっているのは明白です。

ユキコの背中を押して勇気や強さを与える森生と、森生の良さを認めて自信を与えるユキコ。

お互いに支え合い、二人でいるから成長できる関係が、微笑ましく、羨ましくも映りました。

今回のことを乗り越えて、これからも並んで歩く二人の未来を信じたいところですが…。

次回以降も、ユキコの就職に向けてまだまだ緋山が活躍しそうな予感がします。

また、ラストでは青野が駅のホームで転落事故を起こしたような描写もあり、彼の安否も気になるところ。第9話も絶対に見逃せません。

恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜/日本テレビ系で毎週水曜・夜10時~放送


[文・構成/grape編集部]

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