【下剋上球児 第1話・ネタバレあり】王道…では終わらない、登場人物たちが抱える『事情』
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ブログやSNSでドラマの感想や情報を発信して人気を博している、蓮花茶(@lotusteajikkyou)さん。
2023年10月スタートのテレビドラマ『下剋上球児』(TBS系)の見どころを連載していきます。
なんといっても鈴木亮平である。日本のドラマで困り事といえば、鈴木亮平が全部解決してくれる。
世界の危機から、難病の病人まで、誰であっても助けてくれる、そんなヒーローとしての強い信頼感がある。
彼なら弱小野球部でも甲子園に連れて行ってくれるのは見るからに明らかなのだ。
このドラマは、2018年に弱小野球部だった三重県の白山高校が甲子園出場した実話からインスピレーションを受けて脚色した物語である。
ドラマ冒頭ではすでに越山高校野球部が三重県大会の決勝戦に出場していた。私達はすでに結末を知っているのだ。
それに、廃部の危機にある弱小チームが個性豊かな部員たちを集め、苦難を乗り越えながら栄冠を掴む物語は過去から数え切れないほどある。
何度も何度も語られた物語であるにも関わらず、それでも私達は小さくて弱いものが大きく強いものを倒す奇跡の瞬間を何度でも見たいと思ってしまう。
何度でも見たいと思わせる物語、それは『王道』と呼ばれる。
鈴木亮平は『王道』を背負うに足る器の持ち主である。彼が導くであろう小さくて弱いものたちの奇跡の物語が三重県の美しい風景の中で始まったのだ。
物語は越山高校の社会科教師である南雲脩司(鈴木亮平)が、校長の丹羽慎吾(小泉孝太郎)と定年を迎えた野球部顧問の横田宗典(生瀬勝久)から、野球部の監督に打診されているところから始まる。
越山の野球部は活動しているのが新三年生の日沖誠(菅生新樹)一人で、あとは幽霊部員という弱小チームだ。
横浜から地元にUターンで赴任してきて、野球部顧問になる家庭科教諭の山住香南子(黒木華)からも熱心に勧誘されるが南雲は頑なに固辞していた。
越山では、地元の有力者の犬塚樹生(小日向文世)が名門チームのエースだった孫の翔(中沢元紀)の入学をきっかけに、勝手に野球のグラウンドを作ってしまう。
グラウンドの完成祝いの日に、三重県内の強豪校星葉高校野球部の監督、賀門英助(松平健)がチームを連れて見学にやってくる。
かつての教え子である南雲に気づいて懐かしそうに話しかける賀門に対し、ぎこちない様子の南雲だったが…。
このドラマは開始早々、南雲の話を誰も聞こうとしないのである。
野球部の顧問になりたくないと言っているのに、丹羽も横田も引き受ける前提でしか話していない。
山住も、かつて南雲が自分が好きだった静岡第一の高校球児だったことを知るやいなや、南雲がその話をしたくなさそうなのにも関わらず、家に押しかけてきて一方的に話しまくる。
そして『人の話を聞かない王選手権』第一位が犬塚である。
勝手にグラウンドを作り(シーン自体は『フィールド・オブ・ドリームス』のオマージュと思われる)、勝手に練習試合の予定を組んでくる。いざとなったら金でものを言わせようとする。
さらに南雲の妻である美香(井川遥)まで謎の男からの電話で、彼女が断っているにも関わらず話を聞いてもらえてないようだった。南雲夫妻の話をみんな全然聞こうとしない。
それにしても、南雲脩司には秘密が多い。
特に高校球児時代、賀門の手段を選ばない野球の方針に決勝で逆らった話を山住にしたが、賀門はそのことを気にしている様子もなく気さくに話しかけている。
わだかまりがあるのは南雲だけのようだが、野球から一切関わりたくなくなったのはなぜなのか…。
越山野球部の復活だけでなく南雲もまた心の下剋上をしなくてはならないのかもしれない。
山住が言っていたように、生徒たちもまたそれぞれ事情を抱えているようだ。
山住はどこまで「それぞれ家庭に事情がある」ことを本当に理解しているのだろう。
南雲とのやり取りを見る限り不穏さを感じるのだが、彼女の行動力と野球愛がどこまで通じるか。
それにしても越山相手の草野球チーム、ピッチャーが元プロ野球選手(鳥谷敬)なのは、いくらなんでも弱小チームには大きな試練過ぎて笑ってしまった。
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