【感想】なぜここまで社長に尽くす? 展開に胃が痛くなりそう『ザ・ロイヤルファミリー』第5話
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【考察】ディーン・フジオカの浮世離れした魅力を満喫する『ちょっとだけエスパー』第3話大泉洋さん主演のドラマ『ちょっとだけエスパー』第3話の感想と考察を紹介。今回のキーパーソンは、触れるだけで花を咲かせる桜介役のディーン・フジオカさん。彼の「浮世離れした高潔さ」が、単純で哀しいエスパーという役にリアリティを与える理由を解説します。そして、社長・兆のミッションに隠された「世界のかたち」とは?

【考察】謎の男・目黒蓮の登場によって… 『ザ・ロイヤルファミリー』第4話目黒蓮さんの登場で明かされた耕造社長の「隠し子」の秘密。強引だが温かいと見られていた社長への好感が、家族を傷つけることで一気にぐらつき始めます。妻・京子の武装の意味、そして「ロイヤルファミリー」と山王家、2つのファミリーの崩壊の危機に、栗須はどう立ち向かうのか? 物語の多面性を深掘りします。
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SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、イラストレーターの渡辺裕子(@satohi11)さん。
2025年10月スタートのテレビドラマ『ザ・ロイヤルファミリー』(TBSテレビ)の見どころを連載していきます。以下、ネタバレが含まれます。
渡辺裕子さんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。
山王耕造社長(佐藤浩市)が購入したロイヤルホープがデビュー戦で勝利。
秘書の栗須栄治(妻夫木聡)たちが大喜びする中、社長に隠し子がいるという記事が週刊誌に載る。
何も語ろうとしない耕造を栗須は問い詰め、銀座のホステスだった中条美紀子(中嶋朋子)という女性の存在を知る。
彼女との間に息子・耕一(目黒蓮)が生まれたことを、この20年耕造は知らされていなかったのだ。
すべてを自分ひとりでなんとかしようとする耕造に栗須は怒りをぶつけ、入院中の美紀子の世話を自分が引き受けると宣言する。
前橋の病院まで何度も通ううちに栗須は美紀子から信頼され、彼女からあることを頼まれる。
一方、耕造の妻・京子(黒木瞳)が、美紀子の病室を訪ねてくる。
そして、ホープは日本ダービーへ…。
1話の中でおこなわれた3つの『人VS人』
ロイヤルの馬が勝つのかライバルが勝つのか、毎回のレースシーンで本気のドキドキハラハラを味わっているこのドラマ。
しかし今週はいつもと違い、『馬VS馬』よりも『人VS人』の対決に、心臓がバクバクしてしまった人が多かったのでは。
それも、『社長VS社長』『妻VS愛人』そして『父VS息子』と、なんと3回も繰り返されたビリビリした空気に、感情がジェットコースターのようにアップダウンさせられた第5話。
そしてこの3つの対決ほぼすべてに、立ち会うことになってしまった栗須が胃を悪くしていないかとても心配。
社長2人がにらみ合う会食の席で冷や汗をかき、密かに通っていた病院の通路で社長夫人とばったりあってカバンを落とし、葬儀の席で社長を押しとどめる。
「秘書ってここまでやらないといけないんですか?」と、栗須の代わりに社長に問いただしたい。
あの高級時計をもらったくらいでは、労働量と心痛の量の多さが割に合わないのでは。
そもそも、耕造社長が昔浮気をしたり、ライバル社の社長にわざわざ会食を持ちかけたりしなければ、起こらなかったはずのこれらの対決。
しかし彼を取り巻くチームロイヤルは、全員社長の味方。
確かに耕造は面倒見が良くて魅力的な人物で、彼らが慕う気持ちもわかるけれど。
だから野崎加奈子(松本若菜)が、こう言い放ってくれて、ちょっとスッキリした。
「社長はダメだよ。ホントクソ」
「私が奥さんなら、馬で後ろからひき殺してるよ」
京子が妻のプライドを見せ、美紀子も彼女に対して一歩も引かなかった病室のシーン。
あの、ものすごい緊張感もよかった。
どうしてもゆずれないもののために、怒るべき時にはちゃんと怒る女たち、かっこいい。
対決に見応えがあった週だったのだが、人と人はぶつかり合うばかりではなく、もっとやわらかく優しいふれあいになることもある。
栗須の言葉をはぐらかすように冗談で返した加奈子は、栗須のことをどう思っているんだろう。
日本ダービーで駆け抜けるホープの名を叫びながらお互いに握り合った手。
けれどレース後、ふたりともそれを離してしまった。
人はいつ、会えなくなるかわからない。
冗談を言ってふざけ合い、いたわり合い、好きな競馬の中継を一緒に聞いていた美紀子と耕一の親子には、もうそんな日々は訪れない。
だから、今会えているこの時間を、栗須と加奈子には手放さないでほしいと思ってしまうのだけれど。
そして最後に、とうとう出会った耕造と耕一の親子。
耕造からのびっくりするくらい分厚い香典袋を受け取らず、突き返した耕一。
馬が大好きなところも、意志が強くて頑固なところも、やはり耕一は耕造に似ている。
母が栗須に託した思いを受けとめ、耕一が耕造を父として受け入れる日は来るのだろうか。
粘り強くて誠実な栗須は、いつかきっと耕一の心をゆるめるだろうと思うけれど、社長はもう少し秘書を大事に扱ってあげてほしい。
しかし、次週予告ではまた耕造が一波乱起こしそうで…栗須の胃がさらに心配。
[文/渡辺裕子 構成/grape編集部]
渡辺裕子
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