まだ55歳の男性ファンが一人きりで亡くなる アイドルが自宅を突き止め、追悼
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- 出典
- 有坂愛海公式BLOG
ロリィタシンガーソングライターの有坂愛海(ありさか・えみ)さんが3月20日、「ファンを亡くした気持ち」と題してブログを更新。亡くなった1人のファンのために追悼ライブを開催することを発表しました。
追悼ライブ発表までの経緯
ファンの間で『おっきゃん』の愛称で知られていた55歳の男性は、有坂さんがアイドル駆け出しのころから、ほぼすべてのライブに来場していたそうです。
しかし、2017年に大動脈乖離の手術を受けることになり入院。その後、SNSの更新は止まり、ライブにも訪れなくなっていました。
心配した有坂さんは、行きすぎた行為とは思いながらも、安否確認のため『ファンに会いに行く』ことを決意。住所や電話番号などの連絡先は知りませんでしたが、本名を頼りに自宅を突き止めて訪問しました。その際、近所の住人から退院後に自宅で亡くなったと聞いたそうです。
しかもファンには家族がなく、お葬式も行われていませんでした。
ショックを受けた有坂さんは、「みんなで集まって故人の思い出を話す日がないと、さびしすぎるなと思って」と急きょお別れ会を開くことを決意。
追悼ライブは、東京・渋谷の『初台DOORS』で2018年4月11日に開催予定となっています。
ファンとアイドルの関係とは?
ブログの投稿は有坂さんのファンだけでなく、ニュースで初めて知った人からも多くの反響を呼びました。
読者のコメント
・ステキな関係性だと思いました。自分が消えてしまった時、探してくれる人は何人いるんだろうと考える時があります。 自分が一番大好きな人に探してもらったおっきゃんさんはとても幸せなかただと思いました。
・私の場合は逆なのですが、亡くなったあるアーティストのファンでした。有坂さんのこのブログの文章がとても心に響きました。そして、アーティストとファンの関係というものを考えさせられました。
・ファンとアイドルという関係を越えた、人と人のつながりを感じました。
ファンとアイドルの関係とは一体どうあるべきなのでしょうか。過熱するアイドルの『追っかけ』が社会問題化する一方で、アイドル側の行動も規制が厳しくなっています。有坂さんに現在の心境を聞きました。
私が地下アイドルかロリータシンガーソングライターなのかは一旦置いて、この話は、ファンと演者だけでなく『人と人との問題』かなと思います。お褒めいただく声も多く恐縮ですが、実際、自宅を調べて訪ねるというのはよっぽどの信頼関係がないと成り立たないことで、今回は特別なケースと思ってください。
『孤独死』はその通りなのですが、字面がやはりつらいですね…。亡くなった彼も病気ではありましたが、まだ旅立つには若すぎる年齢で誰も予想していませんでした。どんな人にも何があるかわかりません。彼は10年間、たくさん会いに来てくれて、若くして無念だったと思いますが、後悔はないように思います。
生きているうちに、「会いたい人に会いに行くこと」「本気なら会いに行けばいいんじゃない?」ということをこの記事をきっかけに少し考えていただけたら幸いです。
また有坂さんは、現代の希薄な人間関係についてもこう言及しました。
独身のかたは特にですが、どんな年齢でも、亡くなった時連絡してほしい人のリストやもしもの時のパスワード、住所などを友人、家族に教えておくといいかと思います。
年賀状や携帯電話でのやり取りが無理でも、LINEでもいいので交換してください。電話をかけて「現在使われておりません」となれば、察することもできるので。
お別れの機会もないというのは、残された人にとっては悲しすぎることです…。
大切な人にもしものことがあったら駆け付けたいと思うのは、人として当たり前の感情です。
アイドルだから、ファンだから――。そのような線引きも時には必要ですが、規制だらけの人間関係は少しさびしくもあります。
個人のプライバシーが声高に叫ばれるいま、有坂さんの行動は、適切でなかった面もあるかもしれません。しかし、心からファンを思うアイドルとしては、素晴らしい信念に基づいた勇気ある行動だったともいえるのではないでしょうか。
[文・構成/grape編集部]