【連載最終回】「ちいかわの世界は生半可ではない」オダウエダ植田が『ちいかわ』から学ぶ世の理とは
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撮影:grape編集部
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grapeでは、2025年9月からお笑いコンビ『オダウエダ』の植田紫帆さんとの書評連載企画を開始!。
漫画を愛してやまない植田さんによる選りすぐりの漫画を、毎月1作品ずつ紹介してもらいます。
第11回目となり、ついに最終回を迎える植田さんの書評連載企画。
イラストレーター・ナガノさんによるX発の漫画作品『ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ』の書評を届けてくれました。
撮影:grapeマンガ編集部
『ちいかわ』をオダウエダ植田紫帆が読み解く
みなさん一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
「なんか小さくてかわいいやつ」、通称「ちいかわ」。
ナガノ著『ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ(1)』(講談社)
白くて小さくてなんの動物かわからないキャラクターが最近街のいろんなところにいる。
この白いのがちいかわ。
正確には『ちいかわ』と言う作品に出てくる主人公ちいかわ。
これはこっちの我々の世界上で「この子はちいかわ」と定義してるだけで『ちいかわ』の世界では、ちいかわは「ちいかわ」と呼ばれてはいない。
元々ちいかわはTwitter(現:X)にて作者・ナガノさんのアカウントで「こんな生き物になりたいな」とイラストで描かれたキャラクターでして、そこから独立してナガノさんが専用のアカウントでSNS上に現在も漫画をあげ、莫大なヒットをぶち上げている作品である。
撮影:grapeマンガ編集部
この『ちいかわ』が爆売れしたのは全年齢に向けたかわいさだけではないからだ。
小動物たちがほのぼのファンタジーな世界でのんびりライフを過ごすだけではない。
確かに、生クリームが湧いていたり、おにぎりが降ってきたりはするけれど(私が好きなのはドミグラスの滝)、『ちいかわ』の世界は生半可ではない。
弱肉強食、弱きものはとって食われる殺伐とした世界。
言うなれば、『HUNTER×HUNTER』の暗黒大陸、SEKIROの葦名国、よしもと漫才劇場。
かわいい子たちがのんきには暮らせない、敵性生物と戦い、労働の義務を全うするのです。
愛するものからも裏切られることもある。
ある日、ちいかわたちが赤いスイッチを見つける。そのスイッチを押したら謎の洞窟出現。
そこで小さなカブトムシ(めちゃくちゃかわいい、この括弧内はそれの名称ではなくて、私の気持ち)を見つけ、拾い、ちいかわはそれに愛情を注ぎ育て始める。
撮影:grapeマンガ編集部
ただ、ちいかわに一抹の不安がよぎる。
もしかして今一緒にいるかわいいカブトムシは自分達に襲いかかるモンスターなのではないかと。
周りからも「それは擬態型じゃないか」と疑いの目を向けられる。
しかし、そんなわけない。信じたくないちいかわはカブトムシと一緒にかけ出す。
「この子はともだちだ」と言わんばかりに強く握る(ちいかわは基本的に「ウワァ…」「ヤダッ…」とかしか発しません)。
そんな時カブトムシがみんなにお茶とお茶菓子を振る舞う。本当です。
「やっぱりこの子は優しい子だ」
そう思った瞬間に、突如巨大化して襲いかかってきたりする。
あまりにも辛い。ハードボイルドである。
ナガノさんの別の作品を見ても多分ナガノさんはかわいいものをいじめたくなっちゃうのかなと見ていて思いますね。
キュートアグレッションですね。
ハードボイルド&キュートアグレッション。これが『ちいかわ』の魅力である。
ちいかわに襲いかかるのは生き物だけではない。『ちいかわ』の世界にも労働がある。
こんなかわいい世界でも金がなければ生きていけない。湧いた生クリームを舐めるしかない。
なので、ちいかわたちは草むしりなどの労働に勤しむ。
撮影:grapeマンガ編集部
ただ、草むしりは『ちいかわ』の世界では免許で報酬が変動する仕事らしく、免許の試験を受けに行くが全く受からない。
ここの描写があまりに生々しい。
友達は受かっているのに自分だけが何度も落ちる。
どんだけ勉強しても安心できない。また落ちる。
読者も次第に、ちいかわに苛立ってきて、ほのぼの日常回でもリプライ欄はちいかわに「遊ぶな、勉強しろ」の嵐。
見てられない。こんなにかわいいのに。
そして、長い時間をかけ、草むしり検定5級の合格を掴み取る回は是非とも読んでください。
ちいかわたちは懸命に生きているのだと分かります。
この夏、なんと『ちいかわ』のセイレーン編が映画化ということで是非ご覧ください。
とてつもないホラーですので。
撮影:grapeマンガ編集部
以上で、植田さんの書評連載は幕を閉じます。
ご愛読いただいた読者のみなさん、今まで本当にありがとうございました。
そして植田さん、素敵な書評の数々をありがとうございました!!
ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ(1)
ナガノ (著)
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[文/植田紫帆 構成/grapeマンガ編集部]