【恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜 9話】 交錯する想いの果てに・ネタバレあり
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人生の選択に迫られた時、迷い、悩んで、後ろ髪を引かれるような思いで決断をする。そんな時が誰にでもあると思います。
クライマックスを迎えた第9話。ユキコ(杉咲花)と森生(杉野遥亮)の人生のターニングポイントが描かれました。
それぞれの想い
アルバイトでの働きを評価され、正社員になるチャンスが訪れた森生でしたが、赴任先として告げられたのは鹿児島県。
鹿児島県まで、飛行機で2時間。車で17時間。
その距離は、ユキコと森生にとってあまりに遠いと感じられました。
弱視のユキコが鹿児島県まで行くのは簡単なことではないと、ここまで本作を見てきた視聴者には想像に難くないでしょう。
しかし2人ならば、どうにか乗り越えられるのではないかと思ったのですが…。
この距離に耐えられなかったのは、森生の方でした。
獅子王(鈴木伸之)から正社員登用の話を聞き、考える猶予をもらったにも関わらず、すぐに「行かない」という答えを出してしまいました。
理由は、ユキコの側にいたいから。
ユキコは、森生の気持ちを嬉しいと思う反面、「いつか後悔するのではないか」「自分が重荷になっているのではないか」と不安を抱えてしまいます。
そんな中、ユキコにも転機が。
緋山(小関裕太)から連絡が入り、飲食関係の会社に見学に行けることになりました。
しかし、会社見学で仕事内容が事務職になると聞き、気を落としてしまいます。
「広い意味では食に携われる。必要とされるのは幸せなこと」だと緋山からアドバイス受け、自分を納得させようとするユキコ。
そして「誰かに必要とされる幸せを、森生にも味わって欲しい」と考えるようになります。
そんな時に、ユキコはアルバイト先の『BBバーガー』で茶尾(古川雄大)がアルバイトから正社員に抜擢されたと聞きます。
店長として働いて、この仕事が天職だと思えるようになったという茶尾の話に、ユキコは森生を重ねずにはいれらなかったでしょう。
悩んでいる時ほど誰かの何気ない話やアドバイスが、一種のお告げのように聞こえてしまうことはあるもの。
緋山と茶尾の言葉が、ユキコには「森生の背中を押せ」と言っているように感じられたのかもしれません。
一方、森生から正社員の話を断られた獅子王もまた、悩んでいました。
森生が心のどこかで「行きたいと思っているのではないか」と感じていた獅子王でしたが、森生の背中を押してやることができません。
何故なら、森生が遠くへ行ってしまうと、側で見守れなくなってしまうから。
しかし森生がいつか後悔するのではと、ユキコと同様に複雑な思いの獅子王。
それぞれに悩みと不安を抱える中、ユキコと森生はさらにすれ違っていくのでした。
ユキコの決断
森生の気持ちは終始一貫していました。『ユキコの側にいたい』ただそれだけです。
しかし、ユキコの気持ちは複雑でした。
どうするのが最善の道なのか、森生の幸せのために多くのことを考え、悩んだに違いありません。
そんなユキコに「俺のことなんてどうだっていいんスよ。ユキコさんの人生の方が大事なんで」と話す森生。
森生のことを大切に思っているからこそ、ユキコはこの言葉に大きく動揺したようでした。
一方の森生が気になっていたのは緋山の存在。
調理に携わる仕事を諦めると決めたユキコが、緋山の影響を受けていると感じていました。
2人で雪の話をしながら、互いのモノローグが交互に入るシーンが切なかったです。
どうしてそれを、ちゃんと言葉にしないのか。お互いが想い合っているのに。
そんな、もどかしい気持ちで見ていた視聴者も多かったのではないでしょうか。
目が見えても見えなくても、結局人は他人の心の中を見ることは出来ないのだと、痛感させられるシーンでした。
互いの気持ちが分からず、心に距離を感じ始めたユキコと森生。
そんなある日、森生に最大のピンチが訪れます。
緋山がユキコを抱きしめ、好きだと告げたのです。
ユキコが緋山に影響されていると感じていた最中、この場面を見てしまった森生。
何というタイミング!
筆者としては、なぜ森生が昼間のオフィス街をフラついているのかと、口惜しい気持ちでした。
そこで「俺のユキコさんに触るな!」とでも言って、2人の間に割って入ってくれればいいものを、森生は目を逸らしてその場を立ち去りました。
この行動に、森生の自信のなさと戸惑いが感じられました。
「もしかして…」ユキコにそんな疑念を抱いてしまったのかもしれません。
ユキコは緋山の告白をすぐに断り、同時に「もし、この先どうなったとしても、私は黒川が好きなんだ」と、不穏な言葉を残しました。
この時にはもう決断していたのでしょうか。
この直後、ユキコは森生に電話をして2人は会うことに。
「私たち、別れよう」
ユキコの別れの言葉は虚しいほどにそっけないものでした。
緋山との関係を勘繰る森生に、何も語ろうとせず立ち去るユキコ。
それは彼女の強い決意の現れだったのか、それとも、話をすれば涙が出てしまいそうだったからなのか。
森生と別れたあと、ユキコは泣き崩れました。
決断をしたユキコ自身、苦しくて堪らなかったでしょう。後悔も迷いも残っていたかもしれません。
様々な人の想いが交錯し、悩み、疑い、思い遣り、そのひとつひとつがパズルのピースのように組み合わさり、ユキコはこの決断に至ったのだと感じました。
それがどんな未来につながるのかまだ解らないけれど、必ず意味があると筆者は思っています。
そして、森生が彼自身の人生を、自分の足で立って生きるために、必要な何かを得てくれることを期待しています。
泣いても笑っても、次が最終回。
これまで多くの幸せと笑いを与えてくれた本作だけに、きっと最後は笑顔で終わらせてくれると信じて、希望を胸に待ちたいと思います。
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恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜/日本テレビ系で毎週水曜・夜10時~放送
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[文・構成/grape編集部]