【妻、小学生になる。第3話 感想】圭介と麻衣には見えない、今の貴恵が抱える現実・ネタバレあり
公開: 更新:
快挙を成し遂げた狩野英孝、帰国便の搭乗券をよく見ると… 「さすがJAL」の声ホノルルマラソンから帰国する狩野英孝さんに、JALが用意したサプライズとは…。
ロバート馬場が教えるタルタルソースが超簡単! ゆで卵を作るよりも…?「今日の献立どうしよう…」と悩んだことはありませんか。 できるだけ簡単にできて、かつ食費も抑えられるといいですよね。 料理上手なお笑いトリオ『ロバート』の馬場裕之さんは、ちくわを使った簡単レシピを紹介しています。 ちくわ...
Twitterで人気ドラマの感想をつづり注目を集める、まっち棒(@ma_dr__817125)さんのドラマコラム。
2022年1月スタートのテレビドラマ『妻、小学生になる。』(TBS系)の見どころや考察を連載していきます。
「何か悩んでいるなら、何でも話して」そんな台詞をよく耳にする。大切な人の悩み事を知って、何か力になりたい、純粋な気持ちから出る言葉である。
しかし実際、どんなに大切な誰かだとしても、その人が抱える事情こそ一番わからないものだ。
第三話では、圭介(堤真一)と麻衣(蒔田彩珠)には見えない、今の貴恵(石田ゆり子)の『白石万理華(毎田暖乃)』としての現実が描かれている。
圭介が気付いた『現在』の妻の現実
前回、万理華の母・千嘉(吉田羊)に嘘をついて出かけたことがバレてしまい、万理華は思う様に連絡を取ることができないでいた。
一方、圭介は一向に返信が来ないため、メンヘラのごとくメッセージを送りまくる。大袈裟なのだが、圭介は貴恵がいなくなってしまうことがただ不安なだけなのである。
この一件で、圭介は今の妻には、他人の子供としての生活や現実があることにようやく気がつくのであった。
『万理華』としての家族環境
万理華がかかえる現実。
家に帰っても母親は家にいない、独りの生活。ご飯もご飯代が置いてあるだけ。一緒にご飯を食べる時も、お互いの顔が見えない離れた場所で言葉も交わすことはない。
部屋には洗濯物だけが積み上げられ、部屋に入る光も少なく、暗く、重たい。
綿飴を食べにいくという約束をした時には、母親としての愛情があることを感じたのだが、結局、千嘉が優先したのは電話の向こうの相手であった。
今の万理華が抱える現実は、冷え切ってしまった家族環境。親の愛情を感じられないまま日々を送り、万理華はずっと孤独だった。
白石家の現状を見ていると、貴恵が帰ってくる以前の『死んでしまった』ときの新島家の記憶が蘇ってくる。
しかし、「ここにママがいてくれたら…」という願いが叶ったことで、新島家は生き返り、今では笑顔のあたたかさが感じられるようになった。
同じように千嘉や万理華にも願いがあるのではないだろうか。
それは良い母親として関わりたい、お母さんともっと一緒にいたい、そんな小さな願いかもしれない。
しかし、お互いがそれを口に出せないまま時間だけが過ぎてしまったように思う。
久々の『家族』での外出
そんな中、圭介と麻衣は万理華を水族館に連れ出す。
冒頭では、道に迷うわ、ショーも見れないわ、アイスは食べられないわ、おまけにシャチに大量の水をかけられるわ…と散々な結果に終わった回想から始まったが、圭介はそんな過去をやり直すように奮闘する。
しかし、「やり直し成功!」と思った矢先、万理華が目の前からいなくなり、圭介達から笑顔が消えた。
圭介は万理華に父親がいないことも知らなかった。おまけに親子関係が良好だと思い込んでいる。
圭介が見ているのはあの頃のままの貴恵そのものであり、貴恵も、万理華自身が抱える現実を決して二人の前では口にしない。
圭介には幸せな今しか見ることができないのである。
家族としての毎日も大切にしたい一方、話されない限り知る由もない万理華の現実という高い壁が存在している。
やり直しもできたし、新しい思い出も増えた。しかし、上手くいかなかった前の方が笑えていたのである。
別れ際、お互い振り返っても目が合うことはなかった。
そんな描写からも、また家族に戻るということがどれほど現実的に難しいことであることを思い知らされた。
今の自分は社会的には小学生、そして自分がいることで大切な家族に余計な負担かけてしまうという不安。今の貴恵には二人の『自分』が存在するのだ。
古賀友利(神木隆之介)には「周りをポンコツにする」と言われてしまう。
二つの生活の狭間で貴恵は次第に自分は帰って来ない方がよかったのかと思うようになる。
自分のことを愛してくれ続ける存在の心強さ
そんな時、やはり手を差し伸べてくれるのは圭介と麻衣だった。
貴恵としての誕生日。慣れない料理を準備して待つ愛する家族。上手くいったとは思えないベルーガのケーキ。
でも、そんな失敗も笑い飛ばせる、それが新島家の温かさなのである。
自分のことをずっと愛してくれる誰かがいる。今も変わらずに家族と言ってくれる愛しい二人がいる。
二人には見えない場所で初めて流す涙が、万理華にもこうした家族の温かさが必要だったということを映しているように思えた。
万理華が貴恵の生まれ変わりである理由はここにあるのではないだろうか。
そして同時に、家族の前では太陽のように微笑むお母さんでいたいという気持ちが現れたように思う。
「日が暮れても一緒にいたい」
「寂しくなったら、またここに来てもいい?たまに甘えてもいい?」
そんな貴恵の言葉は、万理華が母親に伝えられずにいる、『小さな願い』なのではないだろうか。
『妻、小学生になる。』第3話、衝撃のラストシーン
「悩んでいることがあったら話して」
そんな言葉をかける必要もなかった。
二人の大切に想う気持ちこそが、『新島貴恵』と『白石万理華』の力になっていくことを感じさせる第三話だった。
しかし、万理華を自宅まで送ったところを見られた千嘉がタクシーのガラスを叩くという衝撃の場面で終わる。
圭介達は今の家族にどう向き合っていくのだろうか。
また、今回から既に大人気を予感させる麻衣の仕事先の会社員・愛川蓮司(杉野遥亮)も登場し、麻衣の恋路からも目が離せない。
この記事の画像(全13枚)
妻、小学生になる。/TBS系で毎週金曜・夜10時~放送
ドラマコラムの一覧はこちら
[文・構成/grape編集部]