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【持続可能な恋ですか? 第9話 感想】林太郎が杏花に告げた家族の秘密

By - grape編集部  公開:  更新:

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Twitterで人気ドラマの感想をつづり注目を集める、まっち棒(@ma_dr__817125)さんのドラマコラム。

2022年4月スタートのテレビドラマ『持続可能な恋ですか?〜父と娘の結婚行進曲〜』(TBS系)の見どころや考察を連載していきます。

『普通』や『生きる』という言葉に自分ならどんな語釈をつけるだろう。

第9話ではこの作品で何度も出てきた『普通の幸せ』とは何かが描かれてる。

そして、親子に隠された秘密が明かされる。

明里への気持ちを抑える、林太郎の優しさ

「もう終わりにしましょう」

結婚して、良い妻、母親になれるように頑張りたい…。そんな杏花(上野樹里)が悩んだ末に出した答えに、晴太(田中圭)は「無理だ」と否定するだけで、杏花の気持ちは聞こうともしなかった。

だが、虹朗(鈴木楽)という守るべき存在がある以上、結婚すれば杏花にかかる負担も大きなものになる。

杏花なりの生き方を邪魔してしまうのだ。

そしてお互いに複雑な思いを抱えたまま、別れてしまう。

同じくして、林太郎(松重豊)は明里(井川遥)からの交際の申し込みを断っていた。

「あなたは普通に幸せになれる人です」

林太郎は想いを寄せながらも、自分と再婚することで明里が背負う不利益を考えてしまうと、どうしても一歩が踏み出せなかった。

明里への精一杯の優しさゆえに、『普通の幸せ』を願ってしまうのだ。

親子でダブル婚活を始めた杏花と林太郎は、父娘揃って失恋してしまった。

杏花と晴太が別れたことを知った颯が、猛アプローチ

そして杏花と晴太が別れてしまったことを、杏花から聞かされた颯(磯村勇斗)。

全然平気だと仕事の話をしながらずっと笑う杏花を見て、颯は優しく抱きしめる。

「いつも笑ってなくて大丈夫」

これは、杏花の第3話での言葉だ。颯はそのまま伝え返す。ただの幼馴染だからと、杏花には気持ちをはぐらかされてばかりだが、伝えたい気持ちは一つだった。

そしてとある夜、策士な颯は二人きりになる口実を作って、杏花に「おやすみ」とキスをする。

颯は大好きな杏花と共に歩む将来を考えていた。

一方の明里は職場で倒れて入院してしまう。杏花から話を聞き、急いで林太郎は病院へ駆けつける。

大切な人が倒れたという事実、林太郎は居ても立っても居られなかった。

もし明里がいなくなったら自分は、耐えられない…。林太郎はこの思いに素直になることを決意し、前言を撤回し、交際を申し込むのだった。

「生きて行きたいんです。日向さんの生きる世界に、自分も生きることができたら、私は幸せなんです」

「そうなったら、私も幸せです。普通に幸せです」

辞書編纂者である林太郎が伝える「好き」という想いは、そんな簡単な二文字では収まらない、何があっても共に生きていきたいという強い思いが詰まった告白だった。

明里が欲しかった、優しさや理性を超えた想いそのものだ。二人はようやく、結ばれる。

「普通に幸せって何?」と、前はそう聞き返していた明里が、「うん、幸せ」とすぐ答える。

幸せを近くに感じているからこその答え。

それこそが『普通の幸せ』なのかもしれない。

交際を始めた林太郎を気遣い、実家を出て、一生結婚せずに一人で生きていくと決心する杏花に、林太郎は言う。

「決めつけなくていいんじゃないか?生きているということは、変化していくということだ」

結婚して幸せになって欲しいという一心のもと、半ば強引に親子で婚活を始めたわけだが、人生の選択は結婚することだけじゃないとわかっていた。

それでも、普通の幸せを願うのには理由があった。

普通であっても、色々な語釈を考えられるはずの林太郎が曖昧なものにすがってしまった訳。

そこにずっと秘密にしてきた家族の34年の物語があった。

杏花、林太郎、家族の『秘密』

杏花は、林太郎から隠された真実を告げられる。

妻の陽子(八木亜希子)とは元々親しい仲ではなかった。というのも、以前は人と関わらず、ただ本を読んで過ごすだけの日々を送っていた。

そしてある日、林太郎の世界が広がる瞬間が訪れる。

「言葉というのは、書物の中だけではなく、人と人との営みの中で生きているものです」

世話になった教授に言われ、ハッとする。

今でこそ、生きた言葉を探しているが、この時は人との繋がりの中で生きづく言葉を見ることもなかった。

『生きている』という語釈は、『呼吸』や『生存』だけじゃない。生きるとは、変化していくこと。

その帰りに、林太郎は陽子と運命的な再会を果たした。

妊娠し、お腹を痛めている陽子に、何かできることあるかと手を差し伸べる。

そんな林太郎に陽子が「結婚してくれますか」とプロポーズをしたのだった。

林太郎は「はい」と答える。かけがえのない34年間の物語がここから始まった。

陽子の最期の手紙の一文、「あの日、プロポーズを受けてくれてありがとう」の意味がここで明かされる。

陽子は一人で産もうとしていたが、何かあった時に託せる人が欲しかった。

お腹の中にいたその子どもが、杏花なのだ。林太郎と杏花には血の繋がりはなかった。

「がっかりしたろ?」と哀しげに言う林太郎に、杏花から返す言葉は「びっくりした」とだけ。しかし、杏花はこうも語る。

「お父さん、ありがとう。結婚してくれて」

結婚の意味はまだ分からない…林太郎はずっと思い続けてきた。

初めは、結婚という言葉の意味を知りたいだけだった。そこに陽子と杏花への思いはなかっただろ。

だが振りかえると、思いがけない幸せに沢山出会えた。そして杏花という、何ものにも変えられない宝物に出会えたのだ。

34年という長い時間の中で芽生えた愛情、そして杏花が変わらず「お父さん」と呼んでくれる事実…。

共に生きてきた全てが、二人が血のつながりを超えた家族だということを証明しているように感じた。

林太郎は、結婚の意味を、生きるという意味を今やっと見つけることができた。

「父親になれて、『普通に』幸せだった」

普通とは、特に変わることなく、ごくありふれたものという意味が一般的な語釈である。

しかし、本当は何もないわけではない。変わっていないように見えて、自分の側に確かに幸せを感じる状態こそ、普通と呼ぶものなのではないだろうか。

杏花が言う通り、永遠に変わらないものは存在しない。

だが、幸せを変わらず感じるために、人は変わっていく。それが生きるということなのだ。

『普通の幸せ』は、気がつけばそこにあるもので、いつだって自分の中にあるということを彼らが教えてくれたように思う。

杏花のもとへ走り出す晴太と颯だったが…?

そして晴太も林太郎から親子の真実を伝えられていた。

「杏花を信じてほしい」そう言われ、晴太はようやく自分で勝手に区切りをつけてしまったことに気がつくのだ。

そして晴太と颯の二人は、自分の気持ちを伝えるため、満月の夜、杏花のもとへ走り出す。

先に杏花の名前を呼ぶのは、颯だった。

「俺と本当の家族になろう」

足を震わせながら、子どもの頃からずっと想ってきた杏花に、やっと本気が伝わるのだ。

「ただいま」「おかえり」その言葉が聞きたい。杏花は何も変わらず、笑ってくれてればそれでいい…。

出遅れてしまった晴太は、ただ立ち去ることしか出来なかった。前へ進み出そうとする3人を、ピンク色の満月の光が照らしていた。

次回はついに最終話。杏花と晴太、颯、そして林太郎と明里、それぞれが決断、そして彼らが見つける持続可能な恋の行方とは…。

持続可能な恋ですか?〜父と娘の結婚行進曲〜/TBS系で毎週火曜・夜10時~放送

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[文・構成/grape編集部]

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