磯村勇斗の演じ分けが素晴らしい 『クジャクのダンス、誰が見た?』第9話
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2025年1月スタートのテレビドラマ『クジャクのダンス、誰が見た?』(TBS系)の見どころを連載していきます。以下、ネタバレが含まれます。
かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。
人は親となったら何をもって、親としての自分に評価を下すのだろう。
『クジャクのダンス、誰が見た?』は、最初から徹底して父と子の物語だった。
9話目から原作にないドラマオリジナルの描写が一気に増えたが、それは原作から変わらず貫かれている。
山下春生(リリー・フランキー)、遠藤力郎(酒向芳)、染田進(酒井敏也)、久世正勝(篠井英介)、そして鳴川徹(間宮啓行)。
父親としての思いはこんなにも子に伝わりにくいものかと、もどかしさと哀しみに胸が詰まる。
父と子とはそういうものなのか、どこかに救いはあるのか。最終回直前の物語を見ながら考えずにはいられなかった。
クリスマスイブの夜に殺害された父は、娘の心麦(広瀬すず)に手紙を残した。
自分を殺した犯人として逮捕される遠藤友哉(成田凌)は、冤罪で他に犯人がいると書かれた手紙を信じ、弁護士の松風義輝(松山ケンイチ)とともに事件を調べ始めた心麦は、父の殺害に20年前の一家殺人事件が深く関わっていることを知る。
そして、その一家殺人事件には心麦自身の出生の秘密が隠されていた。
個人的に今回の白眉は、心麦たちと共闘することを決めた記者・神井(磯村勇斗)のシーンだと思う。
次々と重要な情報を繰り出す神井に、もっと早くそれを開示してくれればよかったのにと一瞬思うが、「命がけで信じてるんだよ!」と啖呵を切る神井の言葉に納得する。
信じるのに相当の時間はかかるが、一度信じたらとことんの覚悟をもって共に闘ってくれるのが神井という男なのだ。
舐めた口調は相変わらずだが、何かを一枚脱ぎ捨てたように相手を真っ直ぐに射る目線に、共闘を受け入れたという、磯村勇斗らしい職人肌の演じ分けを見た。
また、その覚悟を感じ取った心麦が、強気に「わたしは!とっくに覚悟してます!」と言い返すシーンは、2人ともに「らしさ」が溢れていて素晴らしかった。
ちなみに、神井がたびたび「つげ義春の初版くらい」「サンボ!」と会話の中でサブカル好きを披露してくるあたり、面倒くさくて鬱陶しくて、なんだか愛おしい。
ちょいちょいプリンを食べ、訪問先でもおやつを遠慮なくつまむ松風の甘党ぶりも愛おしい。
そういう絶妙な抜け感が、重苦しいストーリーを時折見やすく『粋に』緩めてくれたと思う。
今回のラストまでに、山下春生の殺害と、それに関連した現在の事件については概ね明らかになった。
印象深かったのは、過去の冤罪を明らかにする時に襲いかかる容赦ない力と、一つの冤罪をいざ償おうとしても、本当の意味では決して償うことのできない重苦しさである。
山下春生は手紙で「自分は殺されたとしてもやむをえない部分がありますが」と書き残した。それは冤罪を明らかにすることで降りかかる危険と、償いきれない重さを如実に表しているように思う。
鳴川もまた、遠藤力郎が冤罪と知った瞬間には良心の呵責と後悔にさいなまれながらも、娘の由紀(瀧内公美)のために隠蔽にはしって罪を重ねてしまう。
自分の良心一つだけでは、真実を明らかにすることができない難しさをまざまざと感じた一幕だった。
次回はいよいよ最終回。最後に残された謎は、20年前の東賀山事件にまつわる『誰が』と『なぜ』である。
登場人物ひとりひとりの人生を丁寧にすくい上げてきたこのドラマだからこそ、最終回は赤沢京子(西田尚美)と赤沢正(藤本隆宏)の、『なぜ』をじっくりと描いてくれるだろうと思う。
様々な父と子を描いてきた物語の、最後の扉を開ける鍵は母と娘になる。
心麦、松風、友哉。それぞれの『子』の人生に、救いの光がさす最後であってほしいと願う。
『クジャクのダンス、誰が見た?』最終回あらすじ
一連の犯行を告白した鳴川(間宮啓行)。
一方、心麦(広瀬すず)、松風(松山ケンイチ)、神井(磯村勇斗)は赤沢(藤本隆宏)のGPSを追いかけて林川家に辿り着く。扉を開けた先には、刺された赤沢と包丁を手にした妻の京子(西田尚美)がいた。ついに、心麦にとっての宿命のはじまりである東賀山事件の全貌が明らかになる。
そして、心麦たちそれぞれの宿命が終わり、心麦と春生(リリー・フランキー)に愛の奇跡が訪れる。
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[文・構成/grape編集部]
かな
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