阿部寛が見せる、世代を繋ぐ父と息子のプライド 『キャスター』第9話
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SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。
2025年4月スタートのテレビドラマ『キャスター』(TBS系)の見どころを連載していきます。以下、ネタバレが含まれます。
かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。
実在する人物や、実際に起きた事件をほうふつとさせる展開で、これまで視聴者を沸かせてきたテレビドラマ『キャスター』(TBS系)。
主人公・進藤壮一(阿部寛)に最後に立ちはだかるJBS会長、国定(高橋英樹)も、思い浮かべる人物がいる。
個人的に、日曜劇場は義理と人情、そして勧善懲悪という要素から、現代版の時代劇だと思っている。
だからこそ、昭和時代劇の大スターが堂々と悪役を張ってくれると、心底わくわくする。
今作は何せ高橋英樹である。
昭和の時代劇に燦然(さんぜん)と輝く「三つ、醜い浮世の鬼を、退治てくれよう、桃太郎」の名口上、桃太郎侍だ。
ヒーロー相手に最後に立ちはだかるラスボスには、悪の艶やかさと同じくらい品が必須だと思っている。
きっとぞくぞくするような悪役ぶりを見せてくれるだろう。
そして10年20年の先、平成・令和を代表する俳優となった阿部寛が老境に入り、迫力のあるラスボスや主人公に立ちはだかる壁として敵役を演じる日もあるのかもしれない。
そんな日曜劇場を見られる日が来たらいいなと思う。
視聴率低下に悩む老舗ニュース番組、ニュースゲートが、テコ入れとしてメインキャスターに据えたのは、一匹狼で型破りなキャスター・進藤壮一。
進藤はコンプライアンスなどものともしない取材で、番組のスタッフや取材相手を困惑させながらも、次々とスクープを勝ち取っていく。
スタッフの面々も進藤と連携し、番組が盛り上がっていく中、使用済み核燃料の再処理施設の近くで山林火災が発生する。
その山は、進藤と43年前に自死した父親、松原哲(山口馬木也)にとっても因縁の地だった。
そして取材の最中、進藤が官房機密費を取材の口止めとして受け取ったというスキャンダルが持ち上がり、進藤はメインキャスターとしての進退を問われることになってしまう。
やはりこのドラマは、昭和・平成・令和の三世代を生きつつ、谷間に滑り落ちたように沈黙して生きているロスジェネ世代へのエールであり、同時に檄(げき)だと思う。
印象深いのは、進藤と山井(音尾琢真)が山井の父の日記を前に、それぞれに自分の父親の名誉を守ろうとする会話だ。
疎遠だったり、早くに死に別れていたり、改めて自慢するということはないにせよ、父親の名誉というものが、中年になった息子にとってどれほど大切なものか、よく分かるやりとりだった。
山井が進藤に会おうとして代わりに殺害された契機もまた、あなたの父親は立派なひとであったと、何としても知らせたいと願ったゆえだった。
そして、今回驚いたのは、テレビ局の編成担当・滝本(加藤晴彦)の活躍である。
滝本の前回までの怪しい挙動に、これは黒幕のスパイだと半ば確信していたところ、実はスポンサーの大企業の懐に入り込んで内偵していたという想定外の展開だった。
加藤晴彦といえば、俳優であるのと同時に、多くの人にとっては『あいのり』(フジテレビ系)のMCとして、平成バラエティ全盛期の象徴ではないかと思う。
そしてやはり、彼もまたロスジェネ世代なのである。
その加藤晴彦が、役柄として中間管理職となり、信念でスポンサーよりも報道の正義を淡々と選びとる姿に、世代の変遷と成長の重みを感じて胸が熱くなった。
果たして山火事によって明るみに出た放射性物質の横流しと、官房機密費の行方は解決したものの、43年前の自衛隊の輸送機墜落事故と、そこで何が起きたのかは以前闇の中にある。
過去に何が起きたのか、進藤が追うロゴマークの団体とそれらはどう繋がるのか。
最終回はノンストップの展開になるに違いない。
思えば、最初から進藤壮一は、官房機密費をめぐって撮れと言わんばかりに本橋(道枝駿佑)の視線の先で金を受け取り、崎久保(永野芽郁)の疑念と録音を承知の上で官房機密費という単語を会話の中で引き出していた。
若いふたりのジャーナリストとしての能力を、態度の上では軽視しながらも、きちんと信じていたのである。
これまでに何度か進藤が口にした、「最後に人を突き動かすのは、金でも権力でもない」という信念。
何が最後に人を突き動かすのか、きっと最後に我々は見届けるだろう。
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[文・構成/grape編集部]
かな
SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。
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