120%堪能する大泉洋の不思議な魅力 『ちょっとだけエスパー』第1話
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耕造が贈った高級腕時計が示唆するのは… 『ザ・ロイヤルファミリー』第2話妻夫木聡さん演じる主人公の涙が、世界一の馬を誕生させる! 第2話で繰り広げられたあまりにも熱いレースシーンをイラストレーターが徹底解説。社長の妻が仕掛ける裏切りや、競馬初心者である主人公の「心から馬を愛する心」が広中調教師を動かす。しかし、社長から贈られた高級時計が鎖に見える真意とは。

ドラマ好きは日曜劇場の初回をどう見た魅力あふれる人と馬 『ザ・ロイヤルファミリー』第1話SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、イラストレーターの渡辺裕子(@satohi11)さん。 2025年10月スタートのテレビドラマ『ザ・ロイヤルファミリー』(TBS系)の見どころを連載して...
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- テレビ朝日
SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。
2025年10月スタートのテレビドラマ『ちょっとだけエスパー』(テレビ朝日系)の見どころを連載していきます。以下、ネタバレが含まれます。
かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。
その男は、ぬるりとこの国のエンタテインメントに滑り込んできて、いつのまにやら不可思議な根を張った。
『オオイズミヨウ』の名前を耳にし始めたのは、2000年あたりからではないかと思う。
サブカル好き、エンタメに感度の高い知人が教えてくれた。
その時、面白さを懸命に説明してくれたけれど、実際に自分で見るまでピンとこなかった。逆に言えば『見れば直感的にわかる』大泉洋の単純にカテゴライズ出来ない面白さを実感したことを覚えている。
あれから四半世紀、今や押しも押されぬ名優ではあるけれども、相変わらず大泉洋はどこかぬるぬるしている気がする。
自虐し、愚痴り、毒づき、振り回されている。こんな立ち位置の芸能人は他に類がない。
大樹というよりは、湿った蔓がじゃんじゃん伸びた日陰の木のようだ。
しかし、その日陰の枝葉から透かし見る世界が美しかったり優しかったりするのだ。
そんな無二の男・大泉洋が、いま最も鋭く面白い物語を書く脚本家・野木亜紀子の作品で主人公を演じるという。
しかもいまどき難しいジャンルの筆頭であるSFと聞けば、とことん見届けねばドラマ好きの名がすたるというものだろう。
かくして2025年の晩秋から年の暮れにかけての楽しみを、私は火曜21時の『ちょっとだけエスパー』(テレビ朝日系)に賭けることに決めた。
その男・文太(大泉洋)は、会社を首になり離婚の上、すっからかんの身一つで社会に放り出された。ネットカフェの片隅で絶望する文太のもとに、ノナマーレと名乗る会社から採用面接の連絡が入る。
面接で謎のカプセルを飲むように言われ、戸惑いながらも飲み干した文太に、社長の兆(岡田将生)は採用を告げ、エスパーとして仕事をするように指示を出す。
こうして文太は、妻を名乗る女・四季(宮﨑あおい)と共に暮らし、ノナマーレの他のエスパーとともに会社から出される奇妙なミッションを達成することになるのだった。
改めてこうしてイントロダクションを言葉にすると、なんだかよく分からない話である。
しかし、非常に面白い。そこには、なんでいきなりエスパーなんだとか、謎の会社のリアリティをものともしない、作り手の堅固な物語の構想がうっすらと透けてみえるからである。
脚本の野木亜紀子は、上梓する脚本すべてが名作と言っても過言ではない才能溢れる作家だが、その代表作のひとつが2020年の『MIU404』(TBS系)である。
その『MIU404』の第3話に、『分岐点』というサブタイトルの、高校生のいたずらが契機となる犯罪のエピソードがある。
『分岐点』は、最終的に人との出会いのタイミング、些細なすれ違いが犯人の高校生を更生から遠ざけ、更なる犯罪の闇に追いやってしまうというやるせないラストを迎える。
このエピソードの他にも、野木は『MIU404』で、繰り返し偶然の出会いや巡り合わせが積み重なって、人の人生を大きく揺り動かすさまを描いている。
今回の『ちょっとだけエスパー』の製作にあたり、野木は社会派ドラマではなく、コメディとして書いたとコメントしていたが、根底にあるのは『誰かの人生に起きる事象につらなる無数の分岐』の存在だと思う。
陰惨な事件だけでなく、誰かの小さな幸福もまた無数の分岐の結果であり、それがまた他の誰かの禍福の分岐となる。『ちょっとだけエスパー』は、その分岐の瞬間を追うドラマになるのではないだろうか。
それにしてもSF設定の宿命とはいえ、初回は疑問の連続で、しかもほぼそれらの答えは出ない。
視聴者にはかなり不安定な状態だが、それを支えるのが大泉洋の可笑しみであり、宮﨑あおいの愛おしさであり、岡田将生の美しさであり、宇野祥平の抜け感であり、ディーン・フジオカの好漢ぶりであり、高畑淳子の包容力である。
さらにラストには思いっきり怪しい北村匠海まで出てくる。
分からないことを分からないまま見続けるのは、視聴者としてはある意味我慢のいることだ。
だが、『分からない』を沢山抱えながら視聴を続けた先の「これだったのか!」には、きっとこれまで見たことのないカタルシスと、物語の未知の面白さがある。
その期待を、野木亜紀子と大泉洋は決して裏切らないはずだ。
大泉洋の爆笑トークは必見!
同年10月12日、初回放送に先駆けて、主要キャスト陣が集合して制作発表が行われました。
大泉さんのトークに、共演者たちは笑いが止まらない様子。
そんな大泉さんのボヤきも楽しめるトーク全文は、こちらからご覧ください!
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[文/かな 構成/grape編集部]
かな
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