恋に落ちる大泉洋はどうしてこんなにも魅力的なんだ… 『ちょっとだけエスパー』第4話
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【考察】ディーン・フジオカの浮世離れした魅力を満喫する『ちょっとだけエスパー』第3話大泉洋さん主演のドラマ『ちょっとだけエスパー』第3話の感想と考察を紹介。今回のキーパーソンは、触れるだけで花を咲かせる桜介役のディーン・フジオカさん。彼の「浮世離れした高潔さ」が、単純で哀しいエスパーという役にリアリティを与える理由を解説します。そして、社長・兆のミッションに隠された「世界のかたち」とは?
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SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。
2025年10月スタートのテレビドラマ『ちょっとだけエスパー』(テレビ朝日系)の見どころを連載していきます。以下、ネタバレが含まれます。
かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。
絵文字ひとつ、付けるか付けないか。
自分よりふた回り以上若い世代にSNSで連絡をするとき、指が止まった。
同世代とのやり取りならこれでいいけど、絵文字、言い回し、いわゆる「『おばさん構文』なんだろうなあ」と心配になる。
いや、まあ「実際におばさんだから仕方ない」と開き直って、絵文字はやめて文字だけで用件を伝える。
威圧的にならないように、くどくならないように。
私が傲慢で怖いもの知らずの若い小娘だった頃、目上の人たちもまた、こんなふうに年下の人間とのコミュニケーションに苦心していたんだろうかとふと思う。
いつだって世代の間の深い川を越えて、互いに真意を届けあうのは難しい。
『ちょっとだけエスパー』(テレビ朝日系)の4話、大学生の市松(北村匠海)と高校生の紫苑(新原泰佑)を見ながらそう思ってしまった。
横領で会社をクビになり、家族も家も失い自暴自棄に暮らしていた文太(大泉洋)は、兆(岡田将生)という男からノナマーレという名の会社に採用される。
採用の条件は、謎の薬を飲んでエスパーになってミッションを達成すること。
エスパーである正体は秘密にすること。
そして人を愛してはいけないということ。
不審に思いながらも文太は、名目上の夫婦として四季(宮﨑あおい)という女性と暮らし、仲間のエスパーたちとともに不思議なミッションをこなしていく。
抗いがたく咲く蓮の花のような恋
今週から北村匠海が本格的に登場している。
たこ焼き研究会に所属する大学生・市松役で、エスパーたちに興味を持つというキャラクターだが、どうやら穏便な人物ではなさそうだ。
文太たちに対するフレンドリーでそつのない態度、心地よい会話。
学業もきちんとこなし、友人達との関係も良好に見える。
しかし、ここから先は容易に他人を立ち入らせないと決めている強固な壁のようなものがある。
「おお、これは久々に北村匠海だなあ」と変に感動してしまう。
ついこの前まで連続テレビ小説『あんぱん』(NHK)で、逆転しない正義を探しつづけた真摯な作家・柳井嵩そのものだった彼が、一筋縄ではいかない今どきの青年として戻ってきた。
醒めた目と心に秘めた若者らしい大胆な傲慢さ。
こういった青年像は、俳優・北村匠海の真骨頂だと思っている。
その鮮やかな振り幅にやはりわくわくせずにはいられない。
しかし今週もっとも印象深かったのは、やはり文太と四季の愛情だろう。
いくら文太が四季への気持ちを同僚への思いやりだとか、ストーカーへの危機感だとか自分の中で誤魔化しても、プレゼントを選べずにショッピングモールの真ん中で立ち尽くす背中が全てを語ってしまう。
形式上の妻を相手に、万人受けしそうな無難なものをどうしても買えなかった時点で、それはもう恋であり愛の発端なのだ。
それにしても、恋に落ちる大泉洋はどうしてこんなにも魅力的に見えるのだろう。
文太として恋に落ちる大泉洋は、動揺し、困惑し、自分の至らなさに落胆している。
ときめきよりもむしろ途方に暮れ、苦虫をかみつぶしたような顔をしている。
そんな泥沼のようなネガティブの中でも、抗いがたく咲く蓮の花のような恋だからこそ、私たちの心に響く。
それを表現できるのは大泉洋しかいない。
文太と四季が言葉を重ねて互いの好きなものを確かめあうシーンは、心がふるえるような美しい一幕になった。
あなたの好きなことを知り、それを作り出す。あるいはその一部となる私でありたいという願いは確かに愛だ。
そして、この行為が相手にとって何になるのか理解しないままに、将棋の駒のように遂行するミッションとは対極の何かであることには違いない。
さて、今回のラストで、四季にもエスパーとしての能力が現れてしまう。
息で人や物を吹き飛ばすというあまりにも想定外の能力に思わず笑ってしまったが、触らなければ使えない文太の能力と、吹き飛ばして距離をつくる四季の能力は少々相性が悪そうだ。
そして薬で現れる能力が、3話で文太が考えたように飲んだ人物の無意識の願いを反映しているものだと仮定すれば、四季はどこかで何かを吹き飛ばしたかったということになる。
同じく3話で四季が見た、目の前で大怪我をしていた文太の夢の話も含め、これからの物語の大きなキーポイントになるのだろう。
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[文/かな 構成/grape編集部]
かな
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