【考察】予想外すぎて鳥肌が立った 有馬記念の約束『ザ・ロイヤルファミリー』第10話
公開: 更新:


新月10ドラマ『夫に間違いありません』新キャスト発表 5クール連続の連ドラに「すごい」驚異の5クール連続ドラマ出演!『夫に間違いありません』に安田顕さんの出演が決定。、家族の日常をむしばむサスペンス作品です。

宮﨑あおいが『相葉マナブSP』に登場! 相葉雅紀と過去最大自然薯に挑む『相葉マナブ2時間SP』を徹底解説!女優・宮﨑あおいが初の自然薯掘りで泥まみれに。相葉雅紀も「100点満点」と絶賛したロケの結末は?『Aぇ! group』末澤誠也との絶品とろろそば作り、自然薯の長さは過去最高154cmを超えたのかにも注目です。
- 協力
- TBS






SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、イラストレーターの渡辺裕子(@satohi11)さん。
2025年10月スタートのテレビドラマ『ザ・ロイヤルファミリー』(TBSテレビ)の見どころを連載していきます。以下、ネタバレが含まれます。
渡辺裕子さんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。
手術で失明の危機を脱したロイヤルファミリーだったが、その後なかなか勝てず、有馬記念に出られるかどうかあやぶまれる状況が続く。
それでも栗須(妻夫木聡)も耕一(目黒蓮)もチームも諦めずに努力を重ね、ジャパンカップで勝ち、とうとう有馬記念への切符を手にいれた。
しかし彼らの前にはライバルの馬たちが立ちはだかる。
果たして、ロイヤルチームとファミリーは、有馬で勝つという耕造(佐藤浩市)の夢を叶えることができるのか。
有馬記念で勝つのは、どの馬なのか。
普通に考えたら、ドラマと同じ名前を持つロイヤルファミリーが主人公。
弱い主人公が、数々の苦境を乗り越えて強いライバルに勝つのが、ドラマとしては自然の流れだろう。
しかし『ザ・ロイヤルファミリー』は、実際の競馬と同じく、結末の予想がつかない。
大金で買った馬が勝つとはかぎらない、かと言って努力がすべて報われるわけでもない。
タイトルとともに紹介された、椎名社長(沢村一樹)の馬・レインボーキャンプが勝つかもしれない。
耕一がいいと思い、展之(中川大志)が購入したソーパーフェクトは、名前通り完璧な馬だ。
だけど最終回なんだから、やっぱりファミリーが勝って終わってほしい…。
祈りながら見守った有馬記念。ライバルたちに負けない力強い走りを見せ、とうとう最後の直線で先頭に立ったファミリーの姿に思わずガッツポーズをしたのは、栗須だけじゃなく、私もだった。
よし、勝てる。チームみんなの苦労が、これですべて報われる。
しかし、いつも栗須が左手につけている耕造からもらった腕時計。
「あれをなぜか今日ははずして右手に持っている…?」といぶかしんだ次の瞬間、とんでもない展開が待っていた。
まさかあそこで、白い弾丸・ビッグホープが来るとは。
入院中の耕造に封筒を手渡しながら「私はまだ、大人げないもので」と言っていた、椎名社長。
あの時、ホープの種を買うことを持ちかけていたとは。
そして有馬で勝つ約束をしていたとは。
その馬に『ビッグホープ』と名付けたのは、耕造だったとは。
予想外すぎて、鳥肌が立つほどだった。
父親たちは年老いて、一人は亡くなり、残された一人もかつてほどの力はない。
後から追い上げてくる若い息子たちに、そのままでは勝てない。けれど二人が組めば、倍以上の力が出せる。
そして、長い年月で得た経験の分だけ、言い方は悪いけれど「ズルい」こともできてしまう。
ビッグホープで勝つことで、親たちの方がまだまだ息子たちよりも上だ、と示した椎名社長。
「私にも、約束したことがあるんです。社長の馬に、有馬をとらせるという約束が」
いつもクールな彼が叫び、有馬での勝ちをもぎ取った。
最後に彼の目に光る涙が印象的だった。指差す天の上で、耕造が大笑いしている姿が目に浮かぶ。
ビッグホープの勝利は、耕一が耕造から馬の相続を依頼されて、ロイヤルホープの子どもしか欲しくないと言った、あの考えは正しかったという証明でもあった。
ロイヤルホープの子どもたちが1位と2位、日高の馬たちが堂々と勝った…だけど、くやしい。
耕一が吠え、展之が叫ぶ。ファミリーは文字通り地団駄を踏んでくやしがっている。
息子たちの前に壁となって立ちはだかった父親たちは、見事に彼らの闘争心に火をつけ、ファミリーと耕一は引退撤回することになる。
そして物語は2030年に。
「ファミリーが一生暮らせるだけの賞金を稼いでもらわなくては」といつも言っていた耕一。
それはつまり、自分にはそんな大金は作れないと最初から諦めていたから…しかし、2030年の彼は、正式に馬主の資格を持っている。
飾られている何冊もの著書や賞状を見ると、開発した勉強支援のアプリがたくさんの賞をとり、大成功しているようだ。
活気のあるオフィスで、美しいシャツをさらりと着こなして平良(津田健次郎)のインタビューに応える姿は、自信に満ちている。
ヨレヨレのトレーナーを着た、友だちのいない競馬オタクの大学生だったのに。
東京から耕一が来るのを、馬といっしょに待つ栗須と加奈子(松本若菜)。
第一話のラストに出てきた緑の中に佇むあの後ろ姿は、彼らだった。
第一話で、馬について何も知らなかった栗須は、馬の引退後について加奈子から聞かされてショックを受けていた。
そんな彼が最終話では、馬が幸せに暮らすための養老牧場を立ち上げている。
応援してきた馬たちがうれしそうにしている姿に、こちらも幸せになる。優しく涙もろい彼らしい選択…けれど、それでめでたしめでたしで終わるのだろうか。
2026年の有馬記念、1位で駆け抜けるファミリーを見届けて歓喜の抱擁をする栗須と耕一。
栗須の左手には、あの腕時計が今度はちゃんと光っている。
耕一が、正式な馬主となった報告をしにやってきたら…彼はまた、「承知しました」と微笑むマネージャーに戻り、あの苦しみと喜びの日々を泣き虫のまま突き進むのではないだろうか。
本当のレースを見ているように興奮して叫び、「ファンファーレ」を聴きながら泣き、自分もロイヤルチームのひとりになったかのような3ヶ月。
ドラマが終わっても、みんなが走り続けている姿が目に浮かぶ。すばらしいドラマに、感謝。
[文/渡辺裕子 構成/grape編集部]
渡辺裕子
SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。
⇒ 渡辺裕子さんのコラムはこちら