悲しい別れにもギフトがある 人生の『タペストリー』を織っていく
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真夜中の薄暗い部屋と北欧の黄昏 一人旅をする友人とのLINEが生む優しい時間吉元由美の『ひと・もの・こと』 作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。 たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会っ...

「ただの長雨」か「趣ある秋霖」か 雨の名前を知ると景色が変わる日本語の豊かさ吉元由美の『ひと・もの・こと』 作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。 たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会っ...






吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
出会いと別れのタペストリー
人生は出会いと別れが織りなすタペストリーのようだと思うことがあります。
生まれてから今まで、どれだけの人に出会ったか。通り過ぎていくように会うことがなくなった人、別れていった人、別れた人。
もう二度と、偶然にも会うことが叶わない、旅立っていった人。
そんな多くの人たちとの出会いと別れが、この自分を創っている。そう言っても過言ではないと思います。
以前、ある本の企画を出版社に提案したときのこと。ほとんど原稿を仕上げて提案していたのですが、返事が来るまで1ヶ月以上かかりました。
外出しているときに編集者から出版が決まったと連絡をもらいました。
うれしかった。まさに胸の奥から歓喜が湧き上がるとはこのこと。そのとき歓喜と共にあふれんばかりの感謝も湧き上がってきたのです。
電話を切ったあと、家に帰るまで、この人生で出会った人の顔を一人ひとり思い浮かべて(ありがとうございます)と心の中で感謝し続けました。
両親に、育ててもらったことに、見守ってくれたことに。妹たちに、夫に、娘に。
そして幼稚園の先生から始まり、小学生、大学時代の先生、そして出会った友人たち、会社員時代の先輩、上司、作詞家の道をつけてくれた恩師、初めて私の歌詞を採用してくれたプロデューサーに、アーティストに。
一人ひとりの顔を思い浮かべ(ありがとうございます)と、家に着くまで小一時間、感謝し続けました。
こうして出会った人たちを改めて思い出し、この人生に関わってくれたことに感謝したことは、人生のタペストリーを染め直したような感じがしました。
そんな出会いと別れの中には悲しかったことも、悔しかったこともあります。
もう二度と会いたくないという人もいます。でもそんな出会いと別れでさえ、私の一部になっている。
心の澱を手放して、もう気持ちはクリアになったことも人生を創造したことのひとつなのです。
つらくない別れはありません。心がちぎれるような悲しみや痛みを味わいます。
そんなつらさを味わい尽くし、自分がどのような境地に至るのか。
少し大袈裟な表現ですが、ここに生きることの醍醐味があるようにも思うのです。
そしてどんな別れであれ、必ずギフトがある。
言い換えると、別れをギフトとして受け取る。
受け取れるようになるまで時間がかかったとしても、それが、新しい出会いにつながっていく。
出会いは別れの始まり…と言われることがありますが、出会いは新しい自分とのはじまりであり、別れも新しい出会いのはじまり。
どんなタペストリーを織っていこうか。
なんでもない1日も、美しい一本の糸であるように過ごしていきたいと思うのです。
作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
※記事中の写真はすべてイメージ
[文/吉元由美 構成/grape編集部]