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【考察】伏せられたカードを開くタイミングが絶妙 ラスト5分の展開に拍手『田鎖ブラザーズ』第1話

By - かな  公開:  更新:

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『田鎖ブラザーズ』に出演する岡田将生さんと染谷将太さんが写る場面写真

かな

SNSを中心に、注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。 NHKの朝ドラ、大河ドラマを中心に、幅広く視聴。 『TOKYO MER』『最愛』『19番目のカルテ』『ちょっとだけエスパー』などのレビューを執筆。 …続きを読む

SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。

2026年4月スタートのテレビドラマ『田鎖ブラザーズ』(TBS系)の見どころを連載していきます。以下、ネタバレが含まれます。

かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。

もしもこのドラマが兄弟の物語ではなかったら。1人の刑事の物語であったなら、どんな雰囲気になっただろうかと、初回を見終えてふと思った。

1人の男の物語を想像しようとして、いや、このドラマは兄弟であってこそ立ち上がるものだと思い直す。

性格の違う兄と弟が未解決殺人事件の生き残りで、互いに寄りかかるように過去に対峙しながら警察官として生きている。

互いの存在は強い支えであり、過去に縛りあう関係でもあり、複雑な苦みと湿度がある。

そして同時に、彼ら2人は時効という法の無機質な境界線で区切られてしまった存在でもある。

『田鎖ブラザーズ』(TBS系)は、そのタイトルの通り兄と弟だからこそ成立しうるクライムサスペンスなのだ。

伏せられたカードを開くタイミングが絶妙

1995年。とある夫婦が何者かによって殺害され、幼い兄弟が残された。

兄は田鎖真(岡田将生)、弟は田鎖稔(染谷将太)。

『田鎖ブラザーズ』に出演する岡田将生さんと染谷将太さんが写る場面写真

しかし彼らの両親が殺害された殺人事件は、公訴時効を廃止する改正刑事訴訟法施行の二日前に時効が成立しており、捜査は終了して既に犯人は逮捕されることがなくなっていた。

そのわずか二日の無念を抱えたまま、兄の真は神奈川県警の刑事に、弟の稔は同じく神奈川県警の検視官になる。

2026年、兄弟は警察官として日々の事件に向き合いながらも、密かに両親を殺害した事件の犯人を探し続けていた。

『田鎖ブラザーズ』に出演する岡田将生さんが写る場面写真

物語の冒頭に、まだ幼い田鎖兄弟が自転車に乗って走っていく場面が流れる。その舞台は巨大な工場が集まったコンビナートのある海沿いだ。

このコンビナートの光景はドラマのタイトルバックにも使われており、物語全体を象徴するものだと思われる。

その風景の通り、初回を見ていて良い意味での画面の泥臭さが印象に残った。

警察署のデスクのごちゃごちゃと散らかった様子、中華料理店『もっちゃん』の油でギトギトした感じ、晴子(井川遥)が居るうさんくさい質屋の埃っぽさ。

『田鎖ブラザーズ』に出演する山中崇さんと岡田将生さんと染谷将太さんが写る場面写真

そして事件捜査の様子も、堅実な情報の積み重ねと、ひたすらに地味な確認作業の繰り返しなのである。田鎖兄弟が超人的なひらめきや能力を発揮したりはしない。

それでも、中だるみなく初回の55分を一気に見せたのは脚本と演出の妙だろう。伏せられたカードを開くタイミングが絶妙なのだ。

特にラスト5分の、不運な偶然の連鎖に見えたひき逃げが、実は悪意の必然だったと分かる展開は素晴らしかった。

岡田将生と染谷将太の兄弟役

そして何といっても、兄の真を演じる岡田将生と弟の稔を演じる染谷将太の、この世界観へのなじみ具合である。

『田鎖ブラザーズ』に出演する岡田将生さんと染谷将太さんが写る場面写真

これまで岡田将生といえばスマートな役柄が多く印象に残っているが、今作では仕事は適当、事なかれ主義な上にギャンブルを好む金にだらしない男を演じている。

捜査の進展のたびに増える仕事を面倒くさがる真だが、自身の過去を思い出させるものに触れた瞬間にスイッチが入って、捜査にのめり込み始める。

きっと真の『面倒くさい』は、普段は閉じ込めている共感力や正義感が揺さぶられることへの恐れ、予防線なのだ。

過去の自身の経験から、被害者と自分の間に一線を引くことのできない男が、自分を壊さずに生きていくためのぎりぎりの処世に思えてならない。

『田鎖ブラザーズ』に出演する岡田将生さんが写る場面写真

そして弟の稔は、生真面目だが、他人とのコミュニケーションが苦手で物静かな男である。

生きている人間は苦手だからと、検視官という職業を自虐的に表現する。

『田鎖ブラザーズ』に出演する染谷将太さんが写る場面写真

こういった繊細かつ複雑な青年を演じるにあたって、染谷将太以上の人選はそうそうにないだろう。

兄弟について、真のバディである宮藤(中条あやみ)がポツリと呟いた「兄弟というより夫婦みたいですね」という言葉が気にかかる。

『田鎖ブラザーズ』に出演する岡田将生さんと中条あやみさんが写る場面写真

そう、確かに2人は兄弟というにはあまりにも依存的だ。そして常に互いを傷つけないように、そっと何かを探り合っている。

主人公が兄弟ふたりだからこそ辿りつける複雑なものを、きっとこのドラマは見せてくれるだろう。

『田鎖ブラザーズ』に出演する野田悠月さんと金子拓真さんが写る場面写真
『田鎖ブラザーズ』に出演する岡田将生さんと染谷将太さんが写る場面写真

そして、公訴時効が成立している殺人がストーリーの主軸であるならば、単純な勧善懲悪を目指すドラマにもならないはずだ。

自分を含め、ドラマファンが絶大な信頼をおくプロデューサー・新井順子のタクトが今度はどんな作品を生み出すか、楽しみに見届けたい。


[文/かな 構成/grape編集部]

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TBS

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