知ればもっと楽しめる! 『踊る大捜査線』の「本部・所轄」「キャリアとノンキャリア」の違い
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りょうせい
元警察官。警察歴10年。交番勤務を経て、生活安全課にて従事。第三級陸上特殊無線技士。
行方不明事案、DV・ストーカー、子供や高齢者の安全確保など、年間300件規模の人身関連事件に対応。
聴取・初動捜査・被害者支援だけでなく、地域の防犯広報・企画にも携わる。
現在は警察で得た実務経験を生かし、XやYouTube、StandFMで「日常で使える防犯知識」を中心とした情報発信を行う。
「自分で身を守るために必要な知識」を分かりやすく届けることをミッションとしている。

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人気ドラマ『踊る大捜査線』(フジテレビ系)には、所轄の刑事・青島俊作と、キャリア官僚の室井慎次という、立場の異なる警察官が登場します。
では、実際の警察における『本部』と『所轄』、『キャリア』と『ノンキャリア』には、どのような違いがあるのでしょうか。
最新作の映画『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』も話題の今、元警察官の筆者が解説します。
『本部』と『所轄』は何が違う?
『踊る大捜査線』の舞台となる湾岸警察署は、いわゆる『所轄』です。
各都道府県には警察本部があり、その下に各地域を担当する警察署があります。さらに国の機関として警察庁があり、全国の警察行政を担っています。
『本部』は各警察署を統括する立場にあり、重要な事件では本部員が捜査に加わることもあります。より詳しい組織図は、警視庁のウェブサイトを参照してください。
『踊る大捜査線』でも、湾岸署管内で事件が発生し、捜査本部が設置される場面がありますね。
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筆者も生活安全課で勤務していた頃、あるヤミ金団体の捜査で、捜査本部の応援捜査員として従事したことがありました。
事件の規模によっては、管轄する警察署や本部だけでなく、ほかの警察署から捜査員が集まることもあるのです。
また、緊急性のある行方不明者の捜索のため、自身が所属する本部の上司とともに、行方不明者が向かった先の現地警察署の本部員と合流。緊急で連携を取りながら、解決した経験もありました。
本部の役割は各警察署の統括、管理だけではなく、重大な事件や事案を解決するために共同戦線を張ることがあります。
「事件は会議室で起きてるんじゃない」
本部は各警察署から報告を受け、組織として意思決定をする場面が多くあります。
ただ、その判断には現場からの情報が欠かせません。
実際に現場へ行き、当事者から話を聞いた警察官から上司へ、さらに署の上層部や本部へと綿密に報告が行われます。
一方で、現場の警察官が考える対応と、組織としての判断が一致しないこともあります。
『踊る大捜査線』には、青島の有名なセリフがあります。
「事件は会議室で起きてるんじゃない。現場で起きてるんだ!」
この言葉に込められた感覚はよく分かります。
筆者自身、現役時代はよく言えば自分なりの信念を持って現場で判断していた、悪く言えば尖っていた部分もあり、組織としての意思決定との間にジレンマを感じることもありました。
警察を離れた今では、上層部には「1人の警察官としてどうするか」という感情論ではなく、「組織としてどうするか」を冷静、かつ合理的に考えなければならない難しさがあることも理解できます。
『キャリア』と『ノンキャリア』の違い
『踊る大捜査線』では、青島はノンキャリア、室井はキャリアとして描かれています。
ただし、『本部=キャリア』『所轄=ノンキャリア』ではありません。
本部と所轄は所属する組織の違いですが、キャリアとノンキャリアは採用やその後のキャリアパスの違いです。
都道府県警察に採用された警察官は巡査からスタートし、昇任試験などを経て階級を上げていきます。
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一方、一般にキャリアと呼ばれる警察庁の総合職として採用された警察官は、警部補などからスタートし、都道府県警察本部の上層部や、その都道府県警を統括する警察庁で経験しながら昇任していきます。
筆者自身、所轄で勤務していた頃に、キャリアを意識することはほとんどありませんでした。本部長などのキャリアは、所轄勤務員の筆者にとっては雲の上の存在。
直接接する機会はほとんどなくても、彼らが決定した施策は各警察署へ伝えられ、現場の警察活動にも反映されます。
そのため、筆者にとって「その人たちから降りてくる文章は重い」という感覚がありました。
まとめ
現場で事件に向き合う警察官と、組織全体を見て意思決定する立場。
『踊る大捜査線』で描かれる青島と室井の立場の違いを知ると、作品を見る時の印象も変わるかもしれません。
[文・構成/りょうせい]