【考察】鈴木亮平という無二の存在が可能にした日曜劇場の名作『リブート』最終回
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かな
SNSを中心に、注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。
NHKの朝ドラ、大河ドラマを中心に、幅広く視聴。
『TOKYO MER』『最愛』『19番目のカルテ』『ちょっとだけエスパー』などのレビューを執筆。

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SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。
2026年1月スタートのテレビドラマ『リブート』(TBS系)の見どころを連載していきます。以下、ネタバレが含まれます。
かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。
これはもう、続編はないと思う。
ただただ、このドラマを生き抜いた登場人物たちに、平穏に生きてもらいたい。
『リブート』(TBS系)の見事な終幕に、心の底からそう思えた。
ドラマの開始から、あまりにも生死ぎりぎりのストーリーの連続で、中盤あたりでは早瀬家の4人が再び生きて揃うことはなさそうだとすら思ったが、夏海(山口紗弥加・戸田恵梨香)のリブート判明後、8話後半からのダイナミックな展開と伏線の回収は素晴らしかった。
脚本家・黒岩勉が見せてくれた極上の物語の旅に心から拍手を贈りたい。
『リブート』最終話に感じた『幸福』
物語は、商店街の片隅にある洋菓子店から始まった。
行方不明になっていた妻が白骨遺体で見つかり、殺害の罪を負わされた早瀬陸(松山ケンイチ・鈴木亮平)は、冤罪を晴らすために刑事の儀堂歩になり替わって真実を追う。
妻・夏海の死が裏社会の資金源に深く関わっていたことで、早瀬は幾度も殺されそうになりながらも、必ず家族の元に帰るという執念とともに危機を切り抜けていく。
個人的に最終回の中で、地味ながら『リブート』らしいな、好きだなと思う場面がある。
それは、実兄を逮捕し妻に去られた真北正親(伊藤英明)が、自分の出世に複雑な表情で「何でしょうね、幸せって」と呟いた言葉に、早瀬が「スイーツを食べているときは幸せになれますよ」と応じる場面だ。
にべもないことだが、人が生きる上で菓子は最低限必要なものではない。
しかし、何が自分にとって幸福なのか見失う時にも、舌先にとろける菓子の甘さは確実に幸福感をもたらしてくれる。
巨大な権力と暴力に翻弄され絶望の日々を生きる主人公の天職をパティシエに設定したとき、この物語は絶望と幸福の鮮やかな対比を得て、より強靱な説得力を持った。
1人で同時に二役を演じること、技術の必要な職業をごく自然に演じること。
俳優・鈴木亮平がこつこつと積み上げてきた努力と技術と、それに対する制作陣の信頼がドラマを成立させ、さらに物語の質を底上げする。
そして我々視聴者は、鈴木亮平が演じるならきっと面白くなると信じて、チャンネルあるいは配信の画面を選んで見入る。
『リブート』は、鈴木亮平という俳優に対するいくつもの信頼が結びついた、本当に幸福なドラマだったと思うのだ。
そして今回、最終話が20分延長版になったことで、人々のその後が端折られることなく存分に描かれていた。
最後に準備された大きなサプライズは冬橋航(永瀬廉)のリブート。
リブート後の冬橋を演じたのは、なんと北村匠海だった。
初回は松山ケンイチが登場、最終話は北村匠海。最後までとんでもない配役をさらっと仕掛けてくるドラマである。
北村匠海の冬橋と夏海との幾つかの会話の中、とりわけハヤセ洋菓子店の前での「逃げてんじゃねえよ」の一言はまさに永瀬廉そのもので、単なるモノマネとも違う、迫真の佇まいに思わずゾワッとしたのだった。
そして9話で冬橋がマチ(上野鈴華)の名前を聞いて最終的に合六に背いたように、家族の元に戻らないつもりだった夏海もまた、マチの存在を思い起こして家族と向き合うことを決める。
マチを死なせて「マチちゃん、ごめんね」と1人で泣いた夏海の涙が、ここに繋がったことに胸が熱くなった。
そして陸と拓海(矢崎滉・大西利空)、良子(原田美枝子)の3人は、店で夏海のためのハヤセショートを仕上げて待っていた。
冬橋がきっと夏海を連れて帰ってきてくれると、早瀬家の3人は信じて店で待っていたのだろう。
それは早瀬家と冬橋の『あれから』の日々を少しだけ想像させてくれて、心温かな一幕だった。
そう、続編は望まない。でも登場人物の面々の『あれから』を想像してみたくなる。
早瀬家はもちろんのこと、綾香(与田祐希)は無事に手術を受けて元気になっただろうか。姉の愛をまっすぐに受け止められる人生を送っているだろうか。
霧矢(藤澤涼架)は減刑が叶っただろうか。願わくば、服役のあと冬橋いやマチムラと合流して、『しぇるたー』で騒がしくも穏やかな日々を送っていてほしい。
海江田(酒向芳)は、足立(蒔田彩珠)は、と次々考えてしまう。
それだけ個々の登場人物が立体的で、魅力的だったドラマだった。
2か月半の間、極上の日曜の夜を過ごさせてくれたこのドラマに心からの感謝と拍手を贈る。
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[文/かな 構成/grape編集部]