『思い込み』は視野が狭くなっているのかも 新しいフェーズの歩み方も進化しながらいきたいもの
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吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
『思い込み』と『うっかり』は老化の始まりか
4歳になる姪の息子くんが、誰も教えていないのに指を使って足し算をしていました。親も気づかなかったそうで、どうしてそんな知恵が湧いたのか、子どもの成長していく過程は驚くことばかりです。
いろいろなことができるようになり、理解できるようになるのを成長と言うなら、できなくなっていくのは何と呼ぶのか。
これからそんな年代に入っていくのですが、これを衰退と言うのは悲しいので、私は「新しいフェーズ(段階)に入る」と表現します。
新たな段階ですから、注意深く自分を観察しつつ、驚きながらもできるだけキープできるように努めようと思っています。……が、自分でも意味がわからないことをしてしまうと、さすがに考えてしまいます。
先日、ご近所の洋食レストランでランチのお弁当を買ったときのこと。『チキン』のお弁当(のはず)なのですが、いつもと違って固いのです。
焼き過ぎなのか、チキンの種類が今回は違うのか。固いと思いつつ、あまり深く考えずに、おいしくいただきました。
二日後、お財布を整理したとき、お弁当のレシートを見てみると、そこに『ポークジンジャー』と印刷されています。え?ポーク?あれはポークだったの?? 固かったのは、ポークだったからか……。
新しいフェーズに入ったのか。ソースがかかっていたので間違えて買ったのは仕方がないとしても、食べたときに気づかなかったのはかなりまずい気がします。
最初からこれは『チキン』だと思い込み、思い込みの間違いに気づかなかった。こうだと思い込んだら疑うことなく突き進む。
命に関わるようなことや、問題を引き起こすことにつながるかもしれません。
うっすらとした不安を覚えながら、この件で私は新しい自分に出会った気がしました。
よくある『うっかり』かもしれません。しかしこの『うっかり』に甘えてはなりません。
思い込みは視野が狭くなっているのかもしれません。頑固さという言葉にも置き換えられるかもしれない。
思考の柔軟性を意識して、余裕を大切にして。焦らず、落ち着いて……。
子どもが成長していくように、新しいフェーズの歩み方も進化しながらいきたいものです。
例えそれが老化や減退ということであっても、精神的には成長していきたい。チキンだと思ってポークを食べていた一件は、思いの外大きな決意に発展したのでした。
※記事中の写真はすべてイメージ
作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」