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【持続可能な恋ですか? 第3話 感想】『本当の愛情』とは何かを考えさせられる『じぞ恋』

By - grape編集部  公開:  更新:

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Twitterで人気ドラマの感想をつづり注目を集める、まっち棒(@ma_dr__817125)さんのドラマコラム。

2022年4月スタートのテレビドラマ『持続可能な恋ですか?〜父と娘の結婚行進曲〜』(TBS系)の見どころや考察を連載していきます。

大切な時間は奪われたくないものだ。

「自分の時間は自分に使いたい…」と、一人で生きる選択をする人がいる中で、誰かと一緒に住むことを選ぶ人もいる。

限られた時間を、誰の、何のために使いたいのか考えたことはあるだろうか。

杏花(上野樹里)と林太郎(松重豊)による父と娘の婚活奮闘記。第3話では、杏花と晴太(田中圭)、颯(磯村勇斗)の三角関係も動き出す。

颯の気遣いが気になる杏花

晴太がとある女性・高見沢安奈(瀧内公美)と親しげに話しながら晴太の自宅を訪れているところを偶然目撃してしまった杏花は朝の支度もいつも通りにはいかない。

その女性は晴太の元妻なのだが、杏花には冷静に考えてみる余裕はなかった。

そんな杏花を心配に思う林太郎だったが、街中で颯に偶然出会う。

杏花の好きな人が颯だと勘違いした林太郎は、颯の家が漏水で大変だと聞き、颯を自宅に住まわせることをひらめくのだった。

はじめは反対だった杏花も、ズボラ故に手の届かなかったキッチンや冷蔵庫の整理もしてくれるし、朝起きたら美味しい料理がある生活も悪くないと思い始める。

寝ても起きても快適な生活はむしろご褒美でしかない。

しかし杏花は颯のその気遣いが気になっていた。

焦げも食べるし、勧められたからと嫌いな梅干しも食べる。寝坊しても嫌な顔しない。総じて仏のような颯の優しさや笑顔が、杏花にはかえって辛く見えていたのだ。

颯の貴重な時間を奪いながら、自分達だけが得している、そう思ったのだろう。

「いつも笑ってなくても、好き嫌いがあっても、颯のこと嫌いになったりしないから」

そういって、気をつかう必要はないことも、いい奴だってことも真っ直ぐ伝えてくれる杏花を、颯は強く抱きしめる。

つい「惚れてまうやろ…!」と言いたくなるほど、杏花の芯の優しさが見えた場面だった。

両片想い状態なのに、先に進めない杏花と晴太

一方の晴太は、林太郎から杏花に想い人がいることを聞かされ、杏花は晴太に彼女がいると誤解したまま聞き出せずにいた。

ほぼ両片想い状態なのに、暫く恋愛から遠ざかっていた二人には聞く勇気が出ない。

その間にあるのは颯の存在だ。

颯が杏花の家に同居していると知った晴太は負けじと、息子の虹朗(鈴木楽)と共に颯の引っ越しを手伝うことに。

杏花の知らぬところで恋のバトルが勃発していた。

杏花と二人きりになった晴太は、元妻や自分について話す。

「口だけ優しい夫はいらない」と愛想尽かされて出ていかれ、シングルファーザーとなった晴太。

それからというもの、虹朗の幸せを最優先にしてきたのだ。

シングルの婚活は難しいとされる理由もここにある。

大切な子どもが、婚活の場では『お荷物扱い』される現実。自分の人生の時間も体力も、子どもに費やすだけの生活。

それでも自分の幸せを考えたときにその狭間で葛藤し、どんどん時間だけ過ぎていく。

晴太は虹朗の幸せを考えてやれていない自分を責めていた。

そんな晴太に杏花が伝えたのは、虹朗を『幸せそうな子』だと感じたことだった。

お昼を蕎麦にしようとしたとき、虹朗は蕎麦を嫌いと言った。

普通ならわがままな子という印象が先にきてしまうが、杏花は嫌いなものをちゃんと嫌いと言えたことを見ていたのだ。

嫌いと言うことは、好きなものを好きと主張するよりはるか難しいことだ。

確かにその人なりの優しさで、周りを気遣って言わない選択だってある。

しかし、嫌いなものを嫌いと言える環境がちゃんとあるということが、幸せを表す一つの指標にもなる。

相手との信頼関係がある環境では、自分の時間を相手に奪われることになっても、同時に別の大切な何かを相手からもらっている実感が湧いてくるものだ。

時間を奪うことは、信用も目に見えない優しさも奪う行為だ。

しかし、晴太も確かに心がふわっとする瞬間を感じていた。

晴太と虹朗は親子との幸せな時間をしっかり過ごせているのである。

林太郎と明里の恋の行方は…

一方の林太郎は、明里(井川遥)から今から会えないかと言われ、林太郎はそのぎっくり腰のまま急いで明里のもとへ向かう。

「会いたい」という言葉は即効薬だ。

明里は、お見合いで年内結婚を視野に真剣交際に進もうと言われた男性から、家で飼っている猫を手放さない限り、結婚できないと告げられていた。

初めは、林太郎は「そうですか…」しか言わなかった。

お見合いで大事な聞き上手になるための相槌『さしすせそ』。しかし、林太郎は、自分の言葉で、明里に向き合おうとしていく。

日本語学者として、様々な言葉の変化、時代の変化にも敏感に触れてきた。

林太郎なりに、明里の大切な家族と明里の一番の幸せを考えていたのだ。

「大事なのは心に誰が住んでるかということなんじゃないでしょうか。家族も一緒に住まわせてくれる方と結婚することをお勧めします」

明里は誰かに、止めて欲しかった。

簡単に大事な家族を手放せと言われたにもかかわらず、手放すことなんてできないはずなのに、焦って、答えが出せなかったのだ。

思わず涙する明里に、そっと、ストールをかける林太郎。

寒いわけないはずなのに、「寒くなってきたので…」と涙する明里を人目から隠す。

火曜10時枠のドラマではおなじみの、『大切な人の涙を誰にも見せない』イケメンムーブである。

何に対しても堅物な林太郎が自然に見せる大人な優しさに胸がときめいた瞬間だった。

誰かと一緒に住むということとは

沢田親子にますます惚れた第3話。誰に対してもまっすぐ向き合う素敵な杏花と不器用ながらも頑張る林太郎の恋路をこれからも見守っていきたいと思う。

そして『突然始まる同居生活』などは、ただ恋愛模様を盛り上げるものとして王道な展開であるが、『じぞ恋』にはそれに留まることないテーマがある。

誰かと一緒に住むということ。それは同時にお互いの時間を奪うこと。でも嫌なことだけではない。

限られた自分の時間を費やしてもいいと思える相手に芽生えるものが、本当の愛情と呼ぶものなのかもしれない。

持続可能な恋ですか?〜父と娘の結婚行進曲〜/TBS系で毎週火曜・夜10時~放送

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[文・構成/grape編集部]

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