薬物中毒の妊婦に出会った警察官 逮捕の代わりに信じられない申し出をする
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アメリカには薬物中毒によって人生を狂わされてしまう人たちが大勢います。ニューメキシコ州でホームレスとして暮らすクリスタルさんもその1人。CNNによると、彼女は10代のころからヘロインや覚せい剤の中毒と闘っているといいます。
ある日、パトロールをしていた警察官のライアンさんは、草むらに座っている男女の姿を見つけて声をかけました。そこにいたのは男性の腕に薬物を注射するクリスタルさん。さらにライアンさんはクリスタルさんを見て驚きます。
彼女は妊娠していたのです。
薬物中毒で妊婦のホームレスに出会った警察官は
ライアンさん:
「なぜそんなこと(薬物)をするんだ?赤ちゃんが死んでしまうぞ」
その言葉を聞いて思わず泣き出してしまったクリスタルさん。彼女は当時のことを振り返り、こう語りました。
クリスタルさん:
「よくも私を非難したわね、って思ったわ。あなたにこのつらさは分からない。
自分がどんなにひどい人間で、これがどんなにひどい状況かも理解してるわ」
ライアンさんはクリスタルさんと少し話をしました。そこでクリスタルさんが赤ちゃんを里子に出したがっていることを知ると、彼の心にある考えが浮かんだのです。
ライアンさん:
「私があなたの赤ちゃんの里親になりましょう」
警察官としてではなく『1人の人間としての申し出』
4人の子どもの父親であるライアンさんは、クリスタルさんとの出会いについてこう語っています。
私は神によってこの機会を与えられた。神が私たちをめぐり合わせたのです。ほかに説明のしようがありません。
3週間後、クリスタルさんは女の赤ちゃんを出産。赤ちゃんは薬物による健康上の影響があったため、数週間の入院治療が必要でしたが、その後は元気に成長しているということです。
赤ちゃんは『Hope(希望)』と名付けられました。
ライアンさん:
「これまでにも誰かを助けてあげたいと思う状況が何度もありながら、それができないことにうんざりしていた。(クリスタルさんと出会った)あの瞬間、私は人を助けられる機会をもらえたと気付いたのです」
国立薬物乱用研究所によると、アメリカでは25分に1人のペースで薬物中毒の症状をもった赤ちゃんが誕生しているということです。
自分自身の人生だけでなく、生まれてくる子どもの人生をも狂わせてしまう薬物。その影響の大きさは計り知れません。
無事に生まれたホープちゃんが、ライアンさんの娘としてたっぷりの愛情を受けて、名前のとおり希望に満ちた人生を生きてくれることを願います。
[文・構成/grape編集部]