太宰治を囲む「強い3人の女性たち」 主演・小栗旬の映画『人間失格』が豪華
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青空文庫でも読むことができる、太宰治の小説『人間失格』。学校の授業で読んだことがある人も多いかもしれません。
改めて、どのような物語だったのかを振り返ってみましょう。
『人間失格』あらすじ
「恥の多い生涯を送って来ました」。そんな告白から大庭葉蔵の手記は始まる。
無邪気さを装いながら苦しい少年時代を過ごした葉蔵は、高等学校進学後、次々と女性と関係を持つ自堕落な生活を送るように。
ある日、内縁の妻・ヨシ子の身に災厄が降りかかる場面を目撃して…。
『第一の手記』の冒頭には、「恥の多い生涯を送って来ました」という印象深い一文が。この一文が、『人間失格』のすべてを表しているかのようです。
物語は、喫茶店のマダムから主人公・大庭葉蔵の手記と3枚の写真を渡された『私』が、葉蔵の奇妙さに惹かれて手記を読むところから始まります。
手記は葉蔵のいびつな幼少期にはじまり、精神病院へ入れられた後、東北の片田舎で貧しい余生を送るまでがつづられていました。
『人間失格』の名言
『人間失格』には、人々の心に刺さる名言が多数あります。その中から、いくつかご紹介いたします。
友人・堀木正雄に釘を刺されて
友人である画学生・堀木正雄に「しかし、お前の女道楽もこのへんでよすんだね。これ以上は、世間が許さないからな」といわれた時、葉蔵は口の先まで出かかった「世間というのは、きみじゃないか」という言葉を飲み込みました。
「世間が許さない」といって相手に釘を刺す人は少なくありませんが、実は「自分が許せないだけ」ということも。
「世間とは個人じゃないか」という葉蔵の言葉に、何度もうなづいてしまいますね!
内縁の妻・ヨシ子の悲劇に際して
堀木正雄と、アパートの屋上で語り合っていた葉蔵。その時、内縁の妻・ヨシ子が男性に襲われていたことを知ってショックを受けた人も多いのではないでしょうか。
「人を信用する天才」であるヨシ子の無垢な心が踏みにじられた後の、葉蔵の自問自答。言葉に込められた悲しみが心に刺さります。
『人間失格』の感想
一読すれば、頭の中から消えなくなる『人間失格』に登場する場面や言葉の数々。
読者からは、このような感想が上がっています。
『人間失格』を読んだ感想
・まるで、自分のことを読んでいるかのようだ。
・「自分は人間失格だ」「恥の多い人生だ」と思う人は多いはず。
・「ひねくれた考え」を肯定してくれているかのよう。読むと共感できて、心が落ち着く。
・何度読んでも涙が出てくる。どうして、こうも万人に当てはまる小説を太宰治は書けたのだろう。
・愛読書の1つ。読めば読むほど、作者・太宰治のことをもっと知りたくなった。
直筆完成原稿『お伽草紙』の発見で話題
2019年4月5日、戦時中に執筆された代表作の1つ『お伽草紙(とぎぞうし)』の直筆完成原稿が見つかったことでも、改めて注目を集めている太宰治。
産経新聞によれば、新たに発見された原稿はペン書きで、200字詰め原稿用紙387枚分だとのこと。
作品集『お伽草紙』は日本の昔話をモチーフにしており、『瘤(こぶ)取り』『浦島さん』『カチカチ山』『舌切雀』の4編で構成されています。1945年に初版が刊行されたのですが、原稿の所在は長らく不明でした。
しかし、個人が所蔵していることを特定した日本近代文学館が調査を続け、直筆完成原稿の発見へとつながったのです!
初版などとの違いを見比べると、別の単語に置き換えられた言葉から戦後の状況が伝わってきます。
貴重な原稿の発見に、太宰治フィーバーが巻き起こりそうですね。
太宰治の作品や人生を知りたくなった人は、ぜひ劇場まで足を運び、映画『人間失格』をご覧ください。
蜷川実花さんが描く太宰治の人生に、心動かされること間違いなしです!
また、「映画版ではなく原作小説に興味がある。けれど、読むのは苦手」という人には、ナレーターが朗読してくれる『オーディオブック』版の『人間失格』がオススメ。
名優・仲代達矢さんの声で、原作小説『人間失格』を聴くことができますよ。
太宰治が自殺前に残した作品『人間失格』 名優・仲代達矢の朗読が胸に迫る
© 2019 『人間失格』製作委員会
[文・構成/grape編集部]