【恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜 第5話】周囲の敵意とユキコの強さ・ネタバレあり By - grape編集部 公開:2021-11-09 更新:2023-03-16 ドラマコラム恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜杉咲花杉野遥亮 Share Post LINE はてな コメント ※写真はイメージ ブログ『現実逃避は前向きに。』で注目ドラマの感想をつづる、malcoさんによる新連載。水曜ドラマ『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜』の見どころを紹介していきます。 アルバイトに馴染み始めたユキコ(杉咲花)が森生(杉野遥亮)に告白し、めでたく結ばれた第5話。 2人が付き合い始めて幸せムード溢れる展開になるのかと思いきや、意外にもユキコと様々な人物の、衝突と和解が描かれました。 特に、ハチ子(生見愛瑠)と紺野(大友花恋)の、ユキコへの心ない言葉は衝撃的で、見る人の心をえぐります。 「障害者はズルい。私だって、この白杖があれば許されるんだから」というハチ子と、紺野の「ちょっと甘えてない?こんなことできなくて当たり前、できなくても許されるって思ってないかな?それって、私には障害があることを利用してるように見えるんだけど」。 障害という社会的なハンデを負っている上に、敵意まで向けられる…ユキコと同じ立場にある人にとって、そう珍しくない経験なのかと思うと、胸が痛みます。 周囲に敵意を向けられて尚、前向きに行動するユキコの強さに惹かれた1時間でした。 障害者はズルい? ユキコは視覚障害があるから、出来ないことがあっても許される。 今回、ユキコとトラブルを起こしたハチ子と紺野には、どちらもこの思いが根底にありました。 ハチ子は、人付き合いが苦手で上手く立ち回れない自分と、周囲から優しくされるユキコを比べて、ズルいと感じていました。 しかし、ユキコだって常にみんなから優しくされているわけではありません。 そんな自分の実情や思いを互いに主張し合い、伝え合うことで和解に漕ぎ着けた、ユキコとハチ子。 一方、ユキコのアルバイト先の先輩・紺野は、仕事がスムーズに出来ないユキコに腹を立てていました。 ポテトの注文をレシートを見て受けるという新しい仕事にトライしたユキコでしたが、インクが薄くて読み取るのに時間がかかり、レシートをためてしまいます。 それを紺野は「できなくても許されると思って甘えている」と厳しく責めました。 紺野の怒りに対して、ユキコはレシートの文字を大きくするという方法を提案。紺野はレシートの印字に時間がかかると反対しますが、いざやってみるとレシートの文字が読みやすくなり、他のスタッフのミスも減ったのです。 ここで意外だったのは、紺野が「スタッフのミスが減った」とユキコに言いに来たこと。 紺野の口から謝罪の言葉が出ることは、とうとうありませんでしたが、自分の非はきちんと認め、これからも言いたいことは言って欲しいとユキコに伝え、2人のトラブルはひとまず落着しました。 ユキコには出来ないことがある。それは変えようがありません。 しかし彼女には、欠点の改善方法を考えて行動に移し、乗り越える力がある…そんなユキコの強さが光ったエピソードでした。 言葉は道具 この第5話では、もうひとつ衝撃的な出来事がありました。 それは、森生の過去を聞きたがるユキコに、森生が「話したくないことだってある」と怒ったこと。 あの森生がユキコに向かって口調を荒げるなんて! それほどまでに、出て行った母親のことは、彼の中で蓋をしておきたい記憶だったのでしょう。 イルミネーションが煌めく街で、突然姿を消した母を泣きながら探し回る森生少年は、本当に不憫でした。 ずっと過去から逃げていた森生でしたが、ユキコの友人や獅子王(鈴木伸之)の言葉で、向き合う決心をします。 森生は、ユキコが母親のようにいなくなるのが怖かったのです。 それはユキコが好きで、大切に思っているからこその恐怖。 ユキコが森生の心に踏み入ろうとしたのも、森生を好きだと思う気持ちからでした。 2人はお互いの思いを伝え合って、仲直り。森生の「好きです」に、これまでにない彼の激情を見た気がしました。 思えば、今回のユキコをめぐるトラブルは、どれも自分の思いをきちんと言葉にして伝え合うことで和解しています。 ユキコは言葉を欲しがる傾向があります。 それはユキコの、「ムカついてたけど、はっきりに言ってくれたことは嬉しい」「ストレートに言い合えた方が、お互い後腐れないしね」「前にも言ったよね。私は人の顔色を読むことが難しいから、何でも言葉にして欲しいって」といったセリフにも表れています。 耳からの情報を頼りにしているユキコにとって、言葉がどんなに大切なものか、想像に難くありません。 しかし、言葉を大切にしなければいけないのは、ユキコだけではないでしょう。 ユキコは白杖を「生きていくために必要な道具」だと表現しましたが、言葉もまた、私たちが社会生活を営むために必要な道具だと言えます。 人を傷つける凶器にもなれば、お互いを理解し合うためのツールにもなるのです。 当然のことのようですが、普段私たちがどれだけその事を意識して生活を送っているのか…。 考え直してみる良いきっかけになりそうです。 恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜/日本テレビ系で毎週水曜・夜10時~放送 ドラマコラムの一覧はこちら [文・構成/grape編集部] 快挙を成し遂げた狩野英孝、帰国便の搭乗券をよく見ると… 「さすがJAL」の声ホノルルマラソンから帰国する狩野英孝さんに、JALが用意したサプライズとは…。 「まげが自然」「中井貴一みたい」 大河初出演の鉄拳、劇中写真に驚きの声続出!大河初出演の鉄拳さん。素顔の劇中写真に「中井貴一みたい」「イケメン!」の声が上がっています。 Share Post LINE はてな コメント
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アルバイトに馴染み始めたユキコ(杉咲花)が森生(杉野遥亮)に告白し、めでたく結ばれた第5話。
2人が付き合い始めて幸せムード溢れる展開になるのかと思いきや、意外にもユキコと様々な人物の、衝突と和解が描かれました。
特に、ハチ子(生見愛瑠)と紺野(大友花恋)の、ユキコへの心ない言葉は衝撃的で、見る人の心をえぐります。
「障害者はズルい。私だって、この白杖があれば許されるんだから」というハチ子と、紺野の「ちょっと甘えてない?こんなことできなくて当たり前、できなくても許されるって思ってないかな?それって、私には障害があることを利用してるように見えるんだけど」。
障害という社会的なハンデを負っている上に、敵意まで向けられる…ユキコと同じ立場にある人にとって、そう珍しくない経験なのかと思うと、胸が痛みます。
周囲に敵意を向けられて尚、前向きに行動するユキコの強さに惹かれた1時間でした。
障害者はズルい?
ユキコは視覚障害があるから、出来ないことがあっても許される。
今回、ユキコとトラブルを起こしたハチ子と紺野には、どちらもこの思いが根底にありました。
ハチ子は、人付き合いが苦手で上手く立ち回れない自分と、周囲から優しくされるユキコを比べて、ズルいと感じていました。
しかし、ユキコだって常にみんなから優しくされているわけではありません。
そんな自分の実情や思いを互いに主張し合い、伝え合うことで和解に漕ぎ着けた、ユキコとハチ子。
一方、ユキコのアルバイト先の先輩・紺野は、仕事がスムーズに出来ないユキコに腹を立てていました。
ポテトの注文をレシートを見て受けるという新しい仕事にトライしたユキコでしたが、インクが薄くて読み取るのに時間がかかり、レシートをためてしまいます。
それを紺野は「できなくても許されると思って甘えている」と厳しく責めました。
紺野の怒りに対して、ユキコはレシートの文字を大きくするという方法を提案。紺野はレシートの印字に時間がかかると反対しますが、いざやってみるとレシートの文字が読みやすくなり、他のスタッフのミスも減ったのです。
ここで意外だったのは、紺野が「スタッフのミスが減った」とユキコに言いに来たこと。
紺野の口から謝罪の言葉が出ることは、とうとうありませんでしたが、自分の非はきちんと認め、これからも言いたいことは言って欲しいとユキコに伝え、2人のトラブルはひとまず落着しました。
ユキコには出来ないことがある。それは変えようがありません。
しかし彼女には、欠点の改善方法を考えて行動に移し、乗り越える力がある…そんなユキコの強さが光ったエピソードでした。
言葉は道具
この第5話では、もうひとつ衝撃的な出来事がありました。
それは、森生の過去を聞きたがるユキコに、森生が「話したくないことだってある」と怒ったこと。
あの森生がユキコに向かって口調を荒げるなんて!
それほどまでに、出て行った母親のことは、彼の中で蓋をしておきたい記憶だったのでしょう。
イルミネーションが煌めく街で、突然姿を消した母を泣きながら探し回る森生少年は、本当に不憫でした。
ずっと過去から逃げていた森生でしたが、ユキコの友人や獅子王(鈴木伸之)の言葉で、向き合う決心をします。
森生は、ユキコが母親のようにいなくなるのが怖かったのです。
それはユキコが好きで、大切に思っているからこその恐怖。
ユキコが森生の心に踏み入ろうとしたのも、森生を好きだと思う気持ちからでした。
2人はお互いの思いを伝え合って、仲直り。森生の「好きです」に、これまでにない彼の激情を見た気がしました。
思えば、今回のユキコをめぐるトラブルは、どれも自分の思いをきちんと言葉にして伝え合うことで和解しています。
ユキコは言葉を欲しがる傾向があります。
それはユキコの、「ムカついてたけど、はっきりに言ってくれたことは嬉しい」「ストレートに言い合えた方が、お互い後腐れないしね」「前にも言ったよね。私は人の顔色を読むことが難しいから、何でも言葉にして欲しいって」といったセリフにも表れています。
耳からの情報を頼りにしているユキコにとって、言葉がどんなに大切なものか、想像に難くありません。
しかし、言葉を大切にしなければいけないのは、ユキコだけではないでしょう。
ユキコは白杖を「生きていくために必要な道具」だと表現しましたが、言葉もまた、私たちが社会生活を営むために必要な道具だと言えます。
人を傷つける凶器にもなれば、お互いを理解し合うためのツールにもなるのです。
当然のことのようですが、普段私たちがどれだけその事を意識して生活を送っているのか…。
考え直してみる良いきっかけになりそうです。
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