一緒にごはんを食べるという何でもない日常のありがたさ 幸せは日常の中に
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吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
ごはんを一緒に食べるという幸せ
西島秀俊、内野聖陽主演のドラマ『きのう何食べた?』が好きすぎて、ネットフリックスで繰り返し観てしまいます。
年々、ハラハラする映画が苦手になり、悪い人の出てこない、誰も死なない、何も面倒なことが起こらない映画ばかりを。
中でも『きのう何食べた?』は、時にBGMのように、掃除しているときにもつけていたりします。
シロさんとケンジというゲイのカップルのほろ苦く、あたたかい日常の中で、愛するということ、人を大切にするということ、家族というものについて改めて考えさせられることがある。
そしてもう一つ、シロさんが毎日おいしいごはんを作り、それをケンジが「おいしい!」「幸せ!」とうれしそうに食べる。その料理を作るシーン、食事のシーンが見所です。
大切な人を、大切にする。あたりまえのことのように思えるかもしれませんが、本当にできているかどうか、ふと考えます。
シロさんのごはんを、ケンジはただ「おいしい」だけではなくどんなふうにおいしいか、ということを言葉にする。
例えば、「人参とジャガイモにしっかり味がしみていておいしい」と、具体的に表現します。「どんなふうに」ということを伝えるここが大事なポイントです。
褒めるとき、感謝を伝えるときにひとこと添えることで、より心が伝わります。
「今日は会えてうれしかった」「その色、とてもお似合いで素敵です」というふうに。
「そのワンピース、素敵」と言うだけだと、ワンピースだけを褒めていることになる。「とてもお似合いで素敵」というと、ワンピースと着ている人両方を褒めていることになるのです。
日々、いろいろなことがあります。人間関係、仕事、ふと考えてしまうこと。気持ちが揺れることもあるし、イライラしてしまうこともある。そんなときは、大切な人を大切にするのです。
身近な人に八つ当たりをするのではなく、大切にするのです。または何事も丁寧に、大切に取り組む。
すると、心は落ち着き、清らかな流れができます。その清らかな流れが自分の中に流れるのを感じてみましょう。
幸せは日常の中に。一緒にごはんを食べるという何でもない日常のありがたさ。ごはんを作るのは愛なのです。
食べる人のことを思いながらおいしいものを作る幸せ。ごはんを一緒に食べることの幸せ。
シロさんとケンジは、日々の中にあるささやかだけれど大切な、愛することの幸せを私たちにお裾分けしてくれているようです。
※記事中の写真はすべてイメージ
作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」