目は心の鏡 今の混沌とした世界に優しいまなざしという癒しを By - 吉元 由美 公開:2022-05-22 更新:2022-05-22 エッセイ吉元由美 Share Post LINE はてな コメント 吉元由美の『ひと・もの・こと』 作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。 たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。 優しいまなざしという癒しを 目は心の鏡。目は心の窓。目は口ほどにものを言う。表情は、無意識のうちに心を表す言葉です。 マスクをすることが『日常』になってからというもの、街から『表情』が消えてしまったかのようです。やはり笑顔の口元や、ムッとしてへの字になった口元は、そのまま心を表す表情です。 マスクをしていても唯一見えている目。少し口角を上げると、たとえ口元は見えていなくても目元は柔らかくなります。 努めて口角を上げ目の表情が柔らかくなるように意識すると、不思議と気持ちも穏やかになります。 我が家にはもうすぐ16歳になるトイプードルがいます。昨年から腎不全を患い、その数値はかなり高く、毎日の養生に気を抜けない日が続いています。 筋肉が落ち、よろよろとしながらも散歩に行きたがりますが、100メートルも歩くと歩みがさらに遅くなり、キャリーカートに乗せてしばらく散歩します。 気持ちよさそうに目を細め、風を感じたり日差しを感じている様子に、時々せつなくなるのです。 先日、近くのカフェまで散歩に行きました。お天気も良く、テラス席で本でも読もうかと。テーブルを拭きにきたウェトレスさんがわんこを見て、 「わあ、かわいいですね。何歳ですか?」 と話しかけて来ました。思いきり笑顔になったであろうそのまなざしが、とても優しかった。 そのウェトレスさんが飼っている犬も高齢で、すっかりおとなしくなってしまったとか。愛しさで包み込むようなそのまなざしに癒され、心が震えました。 そして私は大切なことを教えられた気がしたのです。 サングラスをかけると世界は違って見えます。カメラのレンズのフィルターを替えると光景は違った色合いになります。 私たちの目、まなざしも同じように、どのような気持ちで見るかによって、世界は違って映るのではないでしょうか。 批判的な気持ちで見れば、世界はそのように見える。優しさを持って世界を見れば、人に対しても優しい気持ちを抱けるというふうに。 時には批判も必要です。何が起きているのか冷静な目が必要です。それはそれとして、今の混沌とした世界に優しいまなざしという癒しを。 自分の心の平穏のためにも、家族、友人たちのためにも。街ですれ違う知らない人たちのためにも。世界のためにも。 ※記事中の写真はすべてイメージ 作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー [文・構成/吉元由美] 吉元由美 作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。 ⇒ 吉元由美オフィシャルサイト ⇒ 吉元由美Facebookページ ⇒ 単行本「大人の結婚」 快挙を成し遂げた狩野英孝、帰国便の搭乗券をよく見ると… 「さすがJAL」の声ホノルルマラソンから帰国する狩野英孝さんに、JALが用意したサプライズとは…。 ロケで出会う人を「お母さん」と呼ぶのは気になる ウイカが決めている呼び方とは?タレントがロケで街中の人を呼ぶ時の「お母さん」「お父さん」に違和感…。ファーストサマーウイカさんが実践している呼び方とは。 Share Post LINE はてな コメント
吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
優しいまなざしという癒しを
目は心の鏡。目は心の窓。目は口ほどにものを言う。表情は、無意識のうちに心を表す言葉です。
マスクをすることが『日常』になってからというもの、街から『表情』が消えてしまったかのようです。やはり笑顔の口元や、ムッとしてへの字になった口元は、そのまま心を表す表情です。
マスクをしていても唯一見えている目。少し口角を上げると、たとえ口元は見えていなくても目元は柔らかくなります。
努めて口角を上げ目の表情が柔らかくなるように意識すると、不思議と気持ちも穏やかになります。
我が家にはもうすぐ16歳になるトイプードルがいます。昨年から腎不全を患い、その数値はかなり高く、毎日の養生に気を抜けない日が続いています。
筋肉が落ち、よろよろとしながらも散歩に行きたがりますが、100メートルも歩くと歩みがさらに遅くなり、キャリーカートに乗せてしばらく散歩します。
気持ちよさそうに目を細め、風を感じたり日差しを感じている様子に、時々せつなくなるのです。
先日、近くのカフェまで散歩に行きました。お天気も良く、テラス席で本でも読もうかと。テーブルを拭きにきたウェトレスさんがわんこを見て、
「わあ、かわいいですね。何歳ですか?」
と話しかけて来ました。思いきり笑顔になったであろうそのまなざしが、とても優しかった。
そのウェトレスさんが飼っている犬も高齢で、すっかりおとなしくなってしまったとか。愛しさで包み込むようなそのまなざしに癒され、心が震えました。
そして私は大切なことを教えられた気がしたのです。
サングラスをかけると世界は違って見えます。カメラのレンズのフィルターを替えると光景は違った色合いになります。
私たちの目、まなざしも同じように、どのような気持ちで見るかによって、世界は違って映るのではないでしょうか。
批判的な気持ちで見れば、世界はそのように見える。優しさを持って世界を見れば、人に対しても優しい気持ちを抱けるというふうに。
時には批判も必要です。何が起きているのか冷静な目が必要です。それはそれとして、今の混沌とした世界に優しいまなざしという癒しを。
自分の心の平穏のためにも、家族、友人たちのためにも。街ですれ違う知らない人たちのためにも。世界のためにも。
※記事中の写真はすべてイメージ
作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」