【オールドルーキー 第3話感想】演技に違和感?!綾野剛の計算し尽くされた役作り
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grape [グレイプ] entertainment
ドラマ好きなイラストレーター、ゆう。(@yamapyou)さんによるドラマコラム。
2022年6月スタートのテレビドラマ『オールドルーキー』(TBS系)の見どころや考察を連載していきます。
綾野剛の演技といえばどんなイメージがあるだろうか。
『コウノドリ』(TBS系)のような優しいイメージもあれば、『アバランチ』(フジテレビ系)のようなワイルドで力強いイメージもあるだろう。
そんな綾野剛を見てきたからこそ、現在、放送中の『オールドルーキー』(TBS系 日曜夜9時〜)は少し違和感を覚えないだろうか。
私の言う違和感というのは、綾野剛が『普通』なことである。
誰にでも優しくて、仕事に真面目で、情に厚い。感情表現も豊かである。
ドラマの主人公としてあるべき姿をしているはずなのに、なんだか物足りない。
この物足りなさは、きっとこれまで数々の作品で、綾野剛という俳優の異色を放つ演技を見続けていたからではないだろうか。
良い意味で『目立たない』主人公。でも、その目立たなさがいかに大事なのかを第3話で気付かされたのである。
綾野剛はあえてこのような役を作り上げているのかとさえ感じた。
第3話は、アイドルグループの『SixTONES』メンバーとしても活躍する田中樹演じる、マラソンのトップランナー、秀島との絆を描いた回であった。
メインはマラソンランナーの秀島と、彼を入社時からサポートしていた塔子(芳根京子)。
大口を叩いたものの、大会で結果を出せなかった秀島が世間からの批判に耐えられず、方針を変えるため、担当から塔子を外すよう希望した。
一方で新町(綾野剛)が、秀島を担当することになり、彼にとっては正社員への切符がかかった大事な任務となる。
しかし、新町は自分のためではなく、秀島と塔子の関係の修復を試みるのであった。
二人の間に入り、想いを代弁してあげ、すれ違う二人を結ばせようと必死に動いていたのである。
恋愛ドラマならこれはありえない。主人公が完全にアシスト側にまわっている構図になっていたのだ。
でも、新町が取った行動は間違っていない。
なぜなら、その人にとってベストな方法を提案するのが彼のモットーだからだ。『塔子が担当することが秀島にとって最良』だと判断した結果なのである。
もし、新町が個性の強いキャラクターだったらどうなっていただろう。
今回のゲストはマラソンランナーの秀島だったが、ビックマウスといい、発言も強気なキャラクターとは、主張がぶつかっていたのではないだろうか。
塔子も仕事に責任感を持って取り組んでおり、自信もある。新町まで我が強いキャラだときっと反発しあっていただろう。
オールドルーキーは様々なスポーツ選手が登場するが、ゲストが豪華なだけあってやはり皆、個性も強い。
綾野剛が演じる新町はこれらのキャラクターとぶつかり合わないような設計になっているのではないだろうか。
この塩梅がちょうどいい故、このドラマは最高のバランスで成り立っている。
新町は自分の意見をはっきり伝えることもできるが、相手の意見をしっかりと聞くこともできる。そして謙虚だ。話している時の優しい雰囲気は誰からも好かれるに違いない。
主人公だからといってひたすらに存在感を放つのではなく、周囲とのバランスを考えた上でキャラクターを仕上げる。
これこそが綾野剛のなす技なのだと思った。このドラマを見始めて感じていた違和感の答えがようやく見つかった気がする。
俳優の想いや計算され尽くした役作りは底知れない。これからも新たな発見を楽しみにドラマを視聴したいと思う。
秀島のビックマウスに隠れた弱さ、アスリートの苦悩
スポーツ選手の記者会見を思い返してみると、謙虚な人もいれば、それは無理でしょと言わんばかりの大口を叩く人もいる。
自由な発言が求められる記者会見の場では『その人らしさ』がより現れるのだろう。
「あの選手はなぜ、そんな発言をしたのか?」と深く追求することで、その人の本質が見えてくる。
その点に注目した今回の展開は実に興味深いものだった。
マラソンランナーの秀島は自他共に認めるビックマウス。
試合前の記者会見では日本記録更新で優勝すると断言するような男だ。
しかし、このビックマウスには隠れた本心があった。それは『自信のなさ』である。
秀島は自信のなさをビックマウスによって打ち消すタイプなのであった。
人前で宣言すれば、プライドも相まって有言実行をしないといけない気持ちになる。それを利用して自分を奮い立たせるのだ。
やる気の出し方は人それぞれだが、あえて大口を叩くやり方も悪くないように思えた。
最後まで秀島がビックマウスを直さなかったのも、彼が発言に伴った『結果を出す人間』であるという、一つの表現かもしれない。
次回は新町が、サッカー選手として現役復帰のリベンジをする。
ようやくスポーツマネジメントの面白さに気付き始めたところで、この展開。『オールドルーキー』の今後を左右する一大事だ。
[文・構成/grape編集部]