【『アトムの童(こ)』第3話感想・考察】松下洸平の繊細な演技に注目!ファンの情熱は人を動かす
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ドラマ好きなイラストレーター、ゆう。(@yamapyou)さんによるドラマコラム。
2022年10月スタートのテレビドラマ『アトムの童(こ)』(TBS系)の見どころや考察を連載していきます。
二人の青年がゲームづくりに奮闘するドラマ、日曜劇場『アトムの童(こ)』(TBS系)。
熱い友情と、ものづくりに対する想いに、視聴者は心の奥底にある熱い何かが揺さぶられる感覚を味わっているのではないだろうか。
今回は隼人演じる松下洸平の繊細な演技にも注目する。
那由他と隼人の大きな成長
那由他(山﨑賢人)と隼人(松下洸平)が『アトム玩具』でゲーム作りを始めて10か月。アトム玩具に突如、倒産の危機が訪れる。
日曜劇場お決まりの『融資問題』だ。
やよい銀行の小山田(皆川猿時)から5千万円の融資を受けていたアトム玩具だったが、突然、融資金の即時返金を迫られる。期限は1か月。
そんなの無理に決まってる…という無理ゲーからの打開。
この枠、鉄板の展開を見せられているのだが、このピンチをどう乗り切るのかが見せ所だ。そんな視聴者をよそに資金を募るため駆け回る海(岸井ゆきの)たち。
その姿を見た那由他と隼人は、二人のゲームのために必死になる海と亡くなった親友・公哉を重ねていた。
自分たちのゲームのために、走り回ってくれた公哉。いまの海は彼と同じ顔をしている。
そうだ、ここで動かなければ何も変わっていない。
隼人の「奇遇だな」と共に二人の想いが同じだとわかった瞬間、胸がぎゅーっとなった。
同じ過ちを繰り返さないために彼らは自らも資金繰りに協力することにした。
那由他と隼人はゲームづくりをただ再開したわけじゃない。確実に成長している。きっと二人の姿を見て、天国の公哉も微笑んでいることだろうと思った。
二人の大きな成長を見ることができて、とても誇らしい気持ちになれた前半戦である。
松下洸平の繊細な演技に注目
ゲームの資金を募るため、投資家とゲームクリエイターをつなぐ大規模プレゼン大会に参加することになったアトム玩具。
しかしそこで、憎き敵『SAGAS』の興津(オダギリジョー)がまた小根の腐った質問を投げかける。
才能のある『ジョン・ドゥ』の二人がどうしてアトム玩具でゲームを作るのかという質問。
かつて公哉が興津にゲームのプレゼンをした時の情熱。それはジョン・ドゥのゲームのファンだからこその熱い想いからきたものだ。
那由他の答えはそれと同じだった。「アトム玩具のファンだから、アトム玩具でゲームを作りたい」。
我々も、この人のファンだから、この作品のファンだから、とここまで情熱を捧げるものはあるだろうか。
人の好きだという気持ちは原動力になる。そしてその力は他人を感動させる。
那由他の想いを目の当たりにした隼人の頬には一筋の涙が見えた。
また、このシーンでは松下洸平の繊細な演技が非常に光っていたように思う。
『#リモラブ 〜普通の恋は邪道〜』(日本テレビ系)のような可愛らしい役ももちろん魅力的なのだが、『スカーレット』(NHK)や『最愛』(TBS系)のように口数は少なく表情で語らなければならない役の方が本領発揮しているように感じる。
今作ではエリートタイプを演じているが、那由他といる時は目が生き生きとしているのがわかるだろう。
そして、彼の存在の安心感も凄い。那由他だけでは少し不安があったとしても、隼人が隣にいるときの安心感は絶大だ。きっとそれは那由他がもっとも感じているはずである。
プレゼン中、熱く語る那由他の奥で、那由他への共感・信頼・尊敬といった様々な感情の入り混じる複雑な表情を魅せていた松下洸平。
繊細でとても美しい、そう思えた瞬間であった。彼の見応えある演技にこれからも注目したい。
結局、大会で資金は得られなかったが、突如舞い込むラストチャンス!
まだまだチーム・アトム玩具の旅は始まったばかりだ。これからの展開に期待である。
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『アトムの童(こ)』/TBS系で毎週日曜・夜9時~放送
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[文・構成/grape編集部]