【『アトムの童(こ)』第5話感想・考察】アトム玩具の希望と絶望、オダギリジョーの怪演が光ったシーン
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ドラマ好きなイラストレーター、ゆう。(@yamapyou)さんによるドラマコラム。
2022年10月スタートのテレビドラマ『アトムの童(こ)』(TBS系)の見どころや考察を連載していきます。
ゲームの発売に向け、準備を進めていたアトム玩具だったが、なぜか配信サイトで審査が通らない問題が発生していた。
そこに現れたのは大手ゲーム会社の社長・興津(オダギリジョー)。審査が通らなかったのは、「ゲームが大量に作られることは日本の質を落としかねない」と審査を厳しくしていたからだった。
那由他(山﨑賢人)たちは、仕方なく配信サイトを諦め、自社サイトで配信を開始した。
しかし、配信日を被せてきたり、有名ゲーム実況者に根回しをしていたり、興津の嫌がらせがとにかくすごい。
『日曜劇場』あるあるだが、どう足掻いても敵わない大きな権力に立ち向かう姿は何度見ても応援したくなる。
何をやってもSAGASには敵わない…視聴者も途方にくれるような絶望的状態でも諦めない主人公は魅力的だ。
公哉の墓参りで、興津とばったり出会うシーン。鋭い目つきで興津を睨む山﨑賢人の目が忘れられない。
彼の目の奥には絶対に負けないという闘志がメラメラと燃えていた。
ここから潮目が一気に変わり、ゲームではなくノベルティとして作った『ゲッチャリロボ』がおもちゃメーカーならではと注目され、爆発的にダウンロード数は伸びた。
『祝10万ダウンロード』からスタートした貼り紙が、テンポよく塗り代わり最後には『祝100万ダウンロード』にまで変わる部分にワクワクした人も多いはず。
アトム玩具のメンバーがみんな笑っていて、楽しそうで、このまま順調にいってくれと願わんばかりだった。
悪役顔に拍車がかかるオダギリジョー
今回特に光っていたのは、紛れもなくオダギリジョーの演技だろう。
アトム玩具を大きな権力でねじ伏せる、その余裕を見せた表情はお見事だった。
オダギリジョーと言えば、近年は『時効警察』(テレビ朝日系)や『大豆田とわ子と三人の元夫』(フジテレビ系)など、優しい雰囲気がありながらもどこか謎のある役が多かった印象である。
しかし今作ではなかなかダークに染まっている。感情ではなく論理的に発言する様子や冷酷な目つきは、まさに黒幕の貫禄だ。
目に闇をまとい、言葉はオブラートに包まれていても冷酷で高圧的に感じる雰囲気は並の俳優では出せないだろう。
話題となったのは最後のシーン。
銀行との結託により、那由他たちの知らない間にアトム玩具はSAGASに買収されてしまっていた。
アトム玩具にも差し押さえの役員たちが押しかけ、すべてのものを奪われ、追い出されることに那由他が怒りの感情をあらわにするところで終了した。
そして最後に映し出されたのは、獣のように吠える、オダギリジョーだった。
まるで虎が威嚇するように、「俺は強いんだぞ」と言わんばかりの威勢である。
今回で痛感させられた、SAGASという壁の大きさ。
吠え方といい、画面いっぱいに威嚇の表情を見せられ、映像が静止するという演出に降参だった。最後のワンショットは完全に脳に刻まれてしまった。
改めて悪役をもこなすオダギリジョーという俳優の素晴らしさを実感した回であった。
今まで一生懸命築いてきたものを一瞬にしてSAGASに奪われてしまった那由他たち。これからどのような再スタートを切るのか。次回はなんと、1年後。
第二部は新しいキャストも交え、次回予告では山﨑努らが登場し、視聴者を沸かせた。
何度倒れても立ち上がる、これでこそ日曜劇場!泥臭く、這い上がる主人公たちの姿に勇気をもらえるはずだ。
私たちは那由他とアトム玩具のメンバーの巻き返しが楽しみである。
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『アトムの童(こ)』/TBS系で毎週日曜・夜9時~放送
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[文・構成/grape編集部]