これは意図的?見終わった後の『濁り』『居心地の悪さ』 『キャスター』第4話
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SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。
2025年4月スタートのテレビドラマ『キャスター』(TBS系)の見どころを連載していきます。以下、ネタバレが含まれます。
かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。
ドラマ『キャスター』を見ていて興味深いと思うのは、一話完結で事件は終わるが、見終えた後に微妙に濁りが残るところだ。
1話では主人公の進藤壮一(阿部寛)が大物政治家から怪しい大金を受け取っていた。
2話ではラスボスになるかと思われた、その大物政治家が罪を追及される前に死亡してしまった。
3話では、対立していた研究者が協力して研究を進めていくのかと思いきや、研究の成果は売却されて後味は苦かった。
今回は、マスコミ批判として現実に頻繁にネットで言われる「自分の身内だとしても同じように無神経にマイクを向けるのか」という内容を描きつつ、結果、報道局長の海馬(岡部たかし)自身は自ら進んで愛娘をスクープのネタ元には出来なかったのだった。
この濁りや居心地の悪さは、意図的なんだろうなと思う。
人が人を選んで、評価して、報じるというのはこういうことなのかもしれない。
視聴率低下に悩むニュース番組に、テコ入れとして呼ばれたのは型破りなキャスター・進藤壮一。
進藤は手段を問わない取材で次々とスクープをものにするが、製作スタッフは振り回されて右往左往する羽目になる。
しかし当初バラバラだった製作チームは、次第に進藤を中心に連携を見せるようになっていく。
岡部たかしが2025年後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』でヒロインの父親役として発表されたとき、朝ドラファンの間には驚きが広がった。
岡部は2024年の前期『虎に翼』でもヒロインの父親を好演しており、まだ記憶に新しい。
朝ドラヒロインの父親という主要な役をこれだけ短い期間で二度演じるのは異例中の異例であり、作り手が求める岡部たかしという俳優の『換えのきかなさ』を如実に表している。
頑張ってるのに大体空振りしてて、ちょっと情けなくて、そんなところが愛おしいおっちゃんを演じるとき、岡部たかし以上の適任はいない。
今作でも、岡部が演じる報道局長の海馬は心配性で器がちょっと小さいけど、スタッフと番組を守るために必死で頑張っている。
印象に残ったのは、3話でプロデューサーの山井(音尾琢真)の対応のまずさに激怒しつつ、山井の頬を指でトントンとなでた仕草である。
従来のドラマの描写なら、そこは頬をペチペチ強めに叩くところなんじゃないかと思うが、激怒つつ、あのピアノでも弾くような撫で方というのは、パワハラへの配慮なのか、優しいのか、とにかく空気が抜けた感じで可愛いのだった。
こういう、少し抜けてはいるけど、人のいい上司の下で能力のある部下達が躍動する様子は、現代的なリーダー像としてとてもいいなと思う。
そんな父の姿を、娘は反発しながらもちゃんと見ている。日曜劇場の面目躍如である。
そしてもう一つ、今週の見所は進藤の娘・横尾すみれを演じる堀越麗禾(ほりこし・れいか)の静かな迫力である。こちらの親子関係は、局長親子とは対照的に冷え切っている。
嫌悪している父親の進藤と相対するすみれのまなざしは、研ぎ澄まされた刃のようだ。
言わずと知れた、堀越麗禾は十三代目市川團十郎の娘。この国でもっとも濃密に芸能を受け継いで生きる血族の一人である。
たとえその来歴を知らずに彼女の演技を見たとしても、報道マンの父を嫌悪する少女の冷ややかな空気には驚かされるだろう。
こういうドラマの場合、通常は「でも最終的に父娘は和解するんでしょ?」という安心感が漂っているものだが、今作では堀越が発散する冷気が尋常でないので、まだ先が読めない。
この先、進藤や総合演出担当・崎久保華(永野芽郁)の過去が描かれるにつれ、堀越演じるすみれの登場も増えるはずだ。
この国を代表する名優・阿部寛が、梨園の血を受け継ぐ堀越の演技を受け、どんな真剣勝負を見せてくれるか、大いに期待したい。
ドラマはエンターテイメントだから、現実のニュース番組はもちろん、今作のようではないと重々分かっている。
ただ、毎日私たちが漠然と見ているニュース番組の背後に、日々奔走し、番組が終わったときにひとまず安堵し、また次に向けて準備に走り出す人々がいるということは間違いのないことだろう。
そんな人々に思いを馳せる日曜の夜である。
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[文・構成/grape編集部]
かな
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