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【考察】ディーン・フジオカの浮世離れした魅力を満喫する『ちょっとだけエスパー』第3話

By - かな  公開:  更新:

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『ちょっとだけエスパー』に出演する大泉洋さんと高畑淳子さんなど4人が写る場面写真

SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。

2025年10月スタートのテレビドラマ『ちょっとだけエスパー』(テレビ朝日系)の見どころを連載していきます。以下、ネタバレが含まれます。

かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。

もしも謎のカプセルを飲んで、自分に『ちょっとだけ』特殊能力が現れるなら、どんな能力がいいかと考えてみた。

自分としては昔から雑なので、数ミリ単位で何かがずれているのに気づく人に憧れていた。

料理が何でできているか言い当てられるとかも、ちょっとカッコいい。

しかし『ちょっとだけエスパー』(テレビ朝日系)の文太(大泉洋)みたいに、人の心がわかるのは少々つらいなあと思ってしまう。

年齢を重ねたら重ねただけ、人間なんて見てわかる表情や言葉だけで意思疎通するくらいがちょうどいいなと思う。

でも桜介(ディーン・フジオカ)の、触れたら花を咲かせるというのは、わが身として考えても結構いい感じだ。

デメリットなしに人を笑顔にできる。

ニヤリと笑って「花でも咲かせとく?」。うん、これは言ってみたい。

ディーン・フジオカは無二の個性をもった俳優

横領で会社をクビになり、家族も家も失って自暴自棄の文太は、ノナマーレという名の奇妙な会社に就職することになった。

社長である兆(岡田将生)が告げた採用の条件は、謎の薬を飲んでエスパーになり、世界を救うために活動すること。

ただし能力は秘密にすること。そして、決して人を愛さないこと。

不審に思いながらも社宅と称する家に住み始めた文太は、そこで彼の妻を名乗る四季(宮﨑あおい)や同じ仲間のエスパーたちと出会い、会社から指示される謎のミッションに挑むことになる。

『ちょっとだけエスパー』に出演する大泉洋さんと高畑淳子さんなど4人が写る場面写真

さて、3話である。話が進むにつれて、徐々に登場人物たちの描写も深く味わい深いものになってきた。

社長の兆は、ヒーローたちの上司として冷静沈着で物静かな人物かと思っていたら、案外普通というか、文太や桜介のマイペースぶりに半ギレしたりイライラする様子に思わず笑ってしまった。

『ちょっとだけエスパー』に出演する岡田将生さんが写る場面写真

兆と文太のやりとりでは大泉洋の十八番、福山雅治のものまねが発現して思わず吹きだしてしまうのだが、よく考えたらあの一瞬で『大泉洋の福山雅治きた!』と分かるほどものまねを練り上げた大泉の執念も相当だなと思う。

今回は半蔵(宇野祥平)の切ない経歴も、円寂(高畑淳子)の慈愛も興味深い。

だがしかし今回の白眉はやはり、ディーン・フジオカが演じる桜介だろう。

『ちょっとだけエスパー』に出演する大泉洋さんとディーン・フジオカさんが写る場面写真

ディーン・フジオカは、この国の映像作品において無二の個性をもった俳優である。

その個性とは浮世離れした高潔さだと思っている。

ディーン・フジオカの出世作となった『あさが来た』(NHK)の五代友厚をはじめ、記憶に残る彼の名演の多くは浮遊感のある、良い意味で人間味の薄い役なのである。

個人的には『モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―』(フジテレビ系)で欧米文学の大作というハードルの高さをものともせず、復讐を遂行する主人公を演じきったのに心酔した。

その魅力の源泉は、彼の中にある、妥協や日和見主義とは無縁の誇り高さ、しなやかな知性なのだろう。

時折バラエティのトーク番組に出演するディーン・フジオカは、トーク番組の『お約束』な流れには乗らない。

決して無口だったりシャイなわけではないが、トークの流れを断ち切ってでも考え込み、ありがちな答えではなく、彼自身が納得する言葉を探す。

その様子はどんな役を演じても陳腐にならず、一時の流行にすり減ったり消費されつくすことのないディーン・フジオカの個性をよく表していると思う。

今作で彼が演じる桜介は、どちらかといえば知性的ではなく単純で横暴な男だ。

妻子を守りたいあまりに短絡的に殺人を犯し、妻から見捨てられてしまう。

『ちょっとだけエスパー』に出演するディーン・フジオカさんが写る場面写真

そんな哀しい男は、触れるだけで花を咲かせる。

今回、なぜ各々にその特殊能力が出るのか文太が考え込む一幕があるが、桜介は誰も傷つけず、何も奪わずに人を幸せにしたいと無意識に願ったのではないか。

「後悔したのは、これまでのクソみたいな人生。幸せな普通の生活を夢見たこと」

桜介が回想で呟いた言葉、悪事に関わることでしか生きられなかった過去、人ひとりを殺さねば守れなかった家族。

ただ花を咲かせて人を喜ばせるという、おめでたくも浮世離れした能力の男にリアリティを持たせられるのは、やはりディーン・フジオカしかいないと思う。

『ちょっとだけエスパー』に出演する大泉洋さんとディーン・フジオカさんと宇野祥平さんが写る場面写真

3話のラスト、気になった兆の言葉がある。「神社の縁日は、来年も開催される」というセリフだ。

つまり今回の最終目的は人命救助ではなく、縁日が今後も続くことだったと推察されるのだ。

『世界のかたち』を見つめる兆の発令するミッションはどこから来て、何に繋がっていくのか。私たちはまだ大樹の枝のごくごく先端しか見ていない。

『ちょっとだけエスパー』に出演する大泉洋さんとディーン・フジオカさんと宇野祥平さんが写る場面写真

大泉洋は、なぜ福山雅治のモノマネを入れたのか

同年10月12日、初回放送に先駆けて、主要キャスト陣が集合して制作発表が行われました。

3話にあった、福山雅治さんのモノマネについても、制作発表の中で明かしていました。

撮影の裏側のエピソードも楽しめるトーク全文は、こちらからご覧ください!


[文/かな 構成/grape編集部]

かな

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協力
テレビ朝日

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