妻が夫に「フライパン買ってきて」 『漢字の読み方』を誤った夫が?「日本語っておもしろい!」
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お盆最終日、亡き妻を思い送り火を焚くと… 最後のコマに「感動して鳥肌が立った」お盆シーズンの風物詩である、送り火。お盆の最終日に、あの世へと戻る先祖の霊を見送るため、玄関先や庭などで焚かれる火のことを指します。漫画家の羊の目。(@odorukodomo8910)さんは、そんな送り火にまつわる創作漫画を描いてXで投稿し、話題を集めました。
- 協力
- @isanago






さまざまな読み方や意味を持つ、漢字。
スマホのメッセージツールなどで相手に要望を伝える際、使う漢字1つで、ズレが生じてしまうこともあるでしょう。
いさなご(@isanago)さんが描き、Xで反響を呼んだのは、こうした『漢字の読み方の違いによるコミュニケーションのズレ』に焦点を当てた4コマ漫画でした。
妻がメッセージツールを通じて、夫へある特徴を持つフライパンを「買ってきて」とお願いしたのですが…。
フライパンの『柄』、読み方を取り違えた夫が買ってきたのは?
妻がお願いしたのは、『柄(え)』、つまり持ち手の部分が木製のフライパン。
ところがメッセージを見た夫は、物の模様や構造を意味する『柄(がら)』と読んでしまったのです…!
『柄』という漢字を使わず、もっと分かりやすい言葉で言い換えるといった方法も取っていたら、夫にも正しく意図が伝わったかもしれませんね。
メッセージツールを通して円滑なコミュニケーションを図るには、相手に気を配った適切な言葉選びが求められそうですね。
フライパンの『柄』に注目した理由とは…作者にインタビュー
この4コマ漫画の誕生背景が気になったgrapeは、いさなごさんを取材。
着想のきっかけや、普段のネタ選びなどについて話を聞いてみました。
――この漫画の、着想のきっかけがあれば教えてください。
毎週土曜日の21時からXで『1h4d(1時間4コマ会)』のお題が発表され、それを見た人がお題に合った4コマ漫画を1時間を目安に描き、『#1h4d』タグを付けてポストするという機会があります。自分は2025年11月22日のお題『フライパン』の時に参加させていただきました。
自分は素早く作業するのが苦手で、1時間でアイディアを出して4コマ漫画に仕上げるというのが難しく、結果2時間以上かかってしまったのですが、それでもあまり納得できる内容にはなりませんでした。
そこで、ほかの方もやっていることですが、『同じお題を使って新たに別の4コマを作り、翌日以降にハッシュタグ『#1h4d』を付けずにポストするということをしました。それが今回取り上げていただいた4コマ漫画です。このやり方だと、みなさんがお題に沿ってポストした漫画に目を通した後で、それを参考にしながらネタも被らず、誰も考えていなかった切り口の4コマを作れます。
持ち手の部分に言及している作品がほとんどなかったので、それについて考えました。「持ち手のことを『柄(え)』って言うよな、ほかに『がら』とか『つか』とも読めて意味が変わってややこしいよな…」という発想になっていきました。
――この漫画を描くうえで、特に意識したことはありますか。
言葉の勘違いを成立させるために、『文字によるコミュニケーション』という設定にしました。今回の場合は『漢字の読みの違い』による勘違いなので、セリフにすると辻褄が合わなくなってしまうからです。
逆のパターンとして、『同じ音で意味が異なる』ことが原因で起こる勘違いがあります。動画なら問題ないのですが、漫画の場合、セリフに漢字を入れるとオチに辿り着くまでにネタバレしてしまいます。
そんな時はキャラクターに喋らせて、カタカナでも不自然にならないようにすることもありますね。
――普段から、こうした『言葉遊び』に対してアンテナを張っているのでしょうか。
自分の漫画は『言葉遊び』にまつわるネタが比較的多い気がします。自分はお喋りが苦手で無口なほうだと思いますが、なぜか言葉自体には結構興味があるんです。
日本語に限らず、「言葉は不完全なものだ」という話を聞きました。完璧に気持ちを表現したり状況を説明したりできないし、言葉の組み合わせによって2つの意味に受け取れてしまうことも起こり得ます。それは不都合なことだけど逆に面白くもあるんです。
日常生活で会話したりテレビを見たりしていると、そこで出てきた気になる言葉について頭の中でグルグル考えてしまうことがよくあります。特にXに漫画をポストするようになってからは、その傾向が強いかもしれません。
おじさんが『おやじギャグ』という言葉遊びをするのは、長く生きてきて言葉のストックが増えてきているからと聞きました。自分もおじさんなので、普段の会話やテレビなどからのインプットが自分の中にストックされた言葉と反応して、何かひらめくことが多くなっているのかもしれません。
――作画をする際に、どのような点を意識されていますか。
自分は分かりやすい絵を描くことより、うまく絵を描くことばかり意識してしまいそうになるので、そこは気をつけています。
今回に限らずですが、分かりやすくするためにキャラの位置や向きをなるべく変えずに構図を単純化したり、吹き出しと絵の配置のバランスを取ったり、輪郭の線が色塗りによって目立たなくなってしまったりしないように工夫していますね。
――最後に、この漫画を目に留めた人たちに対して、一言メッセージをお願いします。
週に1回以上4コマ漫画などをポストしているおじさんです。気が向いたらXのアカウントを覗いてみてください。コメントも気軽に書き込んでいただけると嬉しいです。
ネタがスベっていることも多いですが、温かく見守ってください。よろしくお願いします。
普段何気なく使っているからこそ、日本語特有の面白さや奥ゆかしさなどを意識する機会は、徐々に減っていくものです。
いさなごさんの漫画を読むことで、日本語の魅力を再認識できるかもしれませんよ。
※本記事は投稿者様の許諾を得た上で掲載しております。
[文・構成・取材/grapeマンガ編集部 エラチヒトシ]