「吉田選手は私のヒーロー」勝利したマルーリス選手、涙の理由は…
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素晴らしい実力と度重なる勝利から、『レジェンド』と称される吉田沙保里選手。
そんな吉田選手を、レスリング女子53kg級でアメリカのヘレン・マルーリス選手が破りました。
「この瞬間を、ずっと夢に見てきた…」
勝利の瞬間、マットに崩れ落ちて号泣したマルーリス選手。それには、理由がありました。
吉田沙保里選手に憧れ続けた、ヘレン・マルーリス選手
子どもの頃からレスリングが大好きだったマルーリス選手。彼女は活躍している女子レスリング選手たちの姿を見て、目を輝かせていました。
幼かった彼女が尊敬していた選手のひとりが、吉田沙保里選手でした。いつしか彼女は、「将来、吉田選手と戦いたい」と思うようになったのです。
吉田選手に勝つため、53kgに減量
大人になったマルーリス選手は2011年と2012年、吉田選手と戦いました。しかし、いずれもフォール負け…。再戦を望んだ彼女は、こう考えます。
「吉田選手ともう1度戦うために、2kg減量する!」
2016年、53kg級に出場する吉田選手と戦うため、約55kgあったマルーリス選手は2kg減量することを決意します。
大好きなチョコレートを完全に絶ち、家族や恋人との外食も我慢…。時々『とっておきの贅沢』として、好きではないピーナッツバターを少しだけ食べる生活を始めました。
ハードなレスリングの練習をしながらの減量は、とても過酷な日々だったと話すマルーリス選手。空腹を我慢するため、練習の後はすぐに寝ることにしていたと言います。
しかし、マルーリス選手は決して減量を諦めませんでした。憧れの吉田選手に勝つために…。
吉田選手に勝つため、いろいろな研究を重ねた
戦うには、対戦相手の情報を知ることが大切です。
マルーリス選手は吉田選手過去の試合の映像を見たり、ネットに掲載されたインタビュー記事を読んだりしました。インタビューを読むために、日本語の記事を翻訳したそうです。
「吉田選手のことを研究すればするほど、彼女を好きになりました」
その時のことを振り返り、マルーリス選手はこう話します。勝つための研究を重ねる度に、抱いた憧れはどんどん大きくなったそうです。
そして、ついに迎えた勝利の瞬間…
2016年8月、24歳になったマルーリス選手は再び吉田選手と戦うことになりました。
今日のために、数年間の過酷な減量やハードな練習に耐えてきたマルリース選手…。そして、ついに憧れの吉田選手を倒し、見事優勝の座をつかんだのです。
「優勝するというより、吉田選手を倒すために戦っていたことに気づきました。
憧れであり目標の、吉田選手…。私は、彼女のことが大好きです!」
泣きながら、マルーリス選手は表彰台に立ちました。ずっと夢見てきた吉田選手への勝利に、昂る気持ちを抑えることができなかったのでしょう。
ちなみにマルーリス選手は、元レスリング選手の山本聖子さんの教え子。当時王者と呼ばれていた山本さんを倒したのが、吉田選手でした。師匠に勝った人を教え子が倒したと考えると、さらにドラマティックですね。
「吉田選手に、勝ちたい!」
ずっとそのことだけを考え、練習をこなしてきたマルーリス選手。彼女にとって、この勝利はかけがえのない人生の思い出となったことでしょう。
ひとつの試合にこんなにも素敵なエピソードがあるだなんて、感動的です…。2人の姿を見て、かつてのマルーリス選手のように憧れを抱く少女が現れるかもしれませんね!