「52年も勤めれば、そりゃあ経験豊富ですよ」 ラジオの裏側はこんな感じ!
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grape [グレイプ] entertainment
テレビや雑誌と違い、音だけで情報を伝えるラジオ。耳だけで楽しめるので、何か作業をしながら聞いている人も多いのではないでしょうか。
※写真はイメージ
テレビが登場した当初、ラジオを聴く人は減っていくと予想されていました。
しかし最近では、インターネットで多数の局のラジオが聴ける『radiko.jp』が登場し、ラジオ人気に再び火が付いています。
ラジオを聴いていると、番組を好きになることもあれば、声や話の運び方から、パーソナリティを気に入ることも。
「どうしてこの人は、ラジオに人生を捧げたんだろう」
パーソナリティの人生を掘り下げたら、面白い話が出てきました。
TVのような、映像の補完はイヤだった
パーソナリティ歴52年の高嶋秀武さんは、子どものころからラジオ一筋!
「テレビが登場したから、ラジオはそろそろ終わりだぞ」といわれても動じず、ラジオに情熱を注ぎ続けてきました。
ニッポン放送の人気ラジオ番組『オールナイトニッポン』で、複数回パーソナリティを勤めたこともある高嶋さん。現在は、同じくニッポン放送で『高嶋ひでたけのあさラジ!』という冠番組を持っています。
そんな高嶋さんが、書籍『高嶋ひでたけの読むラジオ』を出版しました。
高嶋さんの、ラジオを愛する気持ちが伝わってくる一冊となっています。
本の中で、高嶋さんは「ラジオを好きになり、アナウンサーという職種があることを知ったのは、父親の影響だった」と語ります。
復員後、米軍基地で働いていた父親の楽しみは、帰宅後のラジオでした。子どものころの高嶋さんは、ラジオから流れてくる実況のモノマネをしたり、人気アナウンサーの声帯模写を披露して遊んでいたそうです。
父親から「好きな仕事をやれ。それが一番だよ」といわれて育った高嶋さんは、迷うことなくラジオ放送局の入社試験を受け、男子だけでも1300人いた受験者の中から、合格しました。
そこから、ラジオパーソナリティとしての人生が始まります。
実況に必要なのは下調べ?
高嶋さんが忘れられないのは、入社1年目に経験した、富士山5合目からの『新年のご来光』を中継した時のことです。
「はたして自然の織りなす荘厳な現象を、自分の貧しい言葉で表現できるのか」と心配した高嶋さんは、図書館に通い、ご来光に関する書籍を夢中になって読みました。
残念ながら新年のご来光中継は、天候が悪くてできませんでした。しかし、前日の大晦日に、日の出の実況はすることができて、結果は大好評!
他人の表現を繰り返し見たり、読んだりすることで、自分の言葉にすることができたのです。
場面に適した言葉を知ることが、言葉で描写する力を高める近道でした。
外見でしゃべり方が変わる
高嶋さんは30代のころ、『大入りダイヤル!まだ宵の口』というラジオ番組のパーソナリティになりました。
当時、高嶋さんの外見はスポーツ刈りの真面目少年。それを見たプロデューサーから、こんなアドバイスをもらいます。
このプロデューサーに厳命され、口ひげを生やし、長髪にGパンをはいてキャラクター付けを行います。そして『ヒゲ武』という愛称をもらうと、とても人気が出ました。
『ヒゲ武』の外見に合ったしゃべり方に、自然となって、リスナーを楽しませるトークができたのです。
これからもしゃべり続けたい
高嶋さんは、これからも、言葉で人を楽しませることを続けていきたいと語ります。
現在はフリーで活躍している高嶋さん。1度も「仕事に行きたくない」と思ったことがないそうです。
しゃべることが生きがいであるからこそ、ラジオ人生を歩むことができたのでしょう。高嶋さんは、まだまだ精力的に、ラジオに取り組んでいきます。
小学館 高嶋秀武 著 『高嶋ひでたけの読むラジオ』
Amazon:『高嶋ひでたけの読むラジオ』
参考文献:『月刊 Hanada』2017年9月号
[文・構成/grape編集部]