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「マイナス思考だったから続けてこれた」2回目の東京オリンピックを迎える現役アナウンサー

By - grape編集部  公開:  更新:

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フリーアナウンサーの松本秀夫です。

野球実況歴30年、このコーナーでは喜怒哀楽、さまざまな心に響く球界よもやま話をご紹介します。

「ソフトバンク優勝!工藤監督の身体が宙に舞いました」

メットライフドームでソフトバンクがリーグ優勝を決めたのは去る9月16日。

ニッポン放送ではこの日、マツダスタジアムの広島対ヤクルト戦を中継していたのですが、9回にマイクを切り換えてその瞬間をライブでお届けしました。

そしてこの実況を担当したのがニッポン放送と契約を結ぶ宮田統樹アナウンサー、なんと76歳!

正確には調べられませんがプロ野球の優勝シーンを実況したアナとしては史上最高齢ではないでしょうか。

宮田アナのニッポン放送入社は昭和39年。東京オリンピックイヤーにしてNHKの朝ドラ『ひよっこ』の時代。「ツイッギーとかミニスカートとか懐かしかったよ(笑)」とご本人。

アナウンサー歴はなんと52年。定年後のいまも元気な声で実況を続ける宮田アナに『長持ち』の秘訣を聞いてみました。

宮田統樹アナウンサー

「僕はすごくマイナス思考。こうなったら嫌だとか神経質で用心深い。痩せていて体力がないと分かっていたから、人一倍節制しながらやってきた。

若いころは本番前に子どもが泣いたら、”眠れない!”って怒ったり。子どもには悪いことをしたなぁ。結果的に、痩せて体力のなかったことが長くやれている要因なのかな」

実は2年前の夏に胃の一部を摘出する手術を受けましたが、その後順調に回復し、昨シーズンから仕事に復帰。

「今年は体調がよくて行ける気がした」というご本人の言葉どおり、今シーズンも元気にご活躍されたのはやはり節制の賜物でしょうか。

宮田アナの実況の特徴は色の表現をはじめとした巧みかつ多彩な描写力。常に色彩辞典を持ち歩き研究を重ねてきました。

「緑色1つにしても、若草色、萌木色、抹茶色、緑青…とたくさんの表現がある。想像力をかき立てなきゃ」

特に地元、所沢にあるメットライフドーム周辺の景色の描写は圧巻なのですが、「ダメだよ、”スタンドと屋根の間から木々の緑が…”なんて、いつも同じことばかりいってる」と自己採点は辛口です。

ただし後輩たちには寛大。

「同期のアナウンサーと食事をすると、みんな”いまの若い人は鼻濁音や無声化ができていない”なんていうんだけど、僕はただ聞いているだけ。楽しくできればいいんじゃないかと思う」

いまでも毎日欠かさないことがあるそうです。

「読経をね。仏様に線香をあげるついでに10分くらい、口の開けかたに注意して。いいトレーニングになっているかな(笑)」

到底真似のできない芸当とため息が出ます。

ニッポン放送のコラム『アナログ』では毎週日曜、俳句を詠んでいらっしゃるので直近の一句を。

秋晴れに 納豆売りの 声渡り

20年まで喋り続ければ実に2度目の東京オリンピック!ますますのご健勝を祈念しつつ、ギネスブックの更新を期待しましょう。

ナイターに 宮田統樹の 声渡り

…あ、季語なしですね(汗)。

<2017年10月>

スポーツアナウンサー 松本秀夫

松本秀夫 元ニッポン放送アナウンサー。17年4月よりフリーランスに。野球の実況を中心にバラエティー番組、執筆、イベント制作まで活動の幅を拡げている。趣味は釣りと、釣魚でやる一杯。

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