未来のサッカー観戦は、テーブルの上で選手が走りだす!?
公開: 更新:
エアコンをつけてるのに寒い… 企業が教える対策に「そうだったのか」冬に暖房を入れる際は、できるだけ効果的・効率的に部屋を暖めたいところですよね。とはいえ、暖房効果をアップさせるには具体的にどうすればいいのか、知らない人もいるでしょう。 本記事では、アイリスオーヤマ株式会社(以下、アイリ...
ラップの芯は捨てないで! 玄関掃除に活用すると… 「便利」「ナイス裏技」玄関掃除で掃除機を使いたくても、衛生面が心配で使いにくいという人も多いかもしれません。そこでおすすめしたいのが、家にあるトイレットペーパーやラップの芯を使う方法です。掃除のプロが紹介する裏技をご紹介します。
ニッポン放送で「タモリのオールナイトニッポン」などのディレクターなどを務め、現在はBayFMでITコメンテーターとしても出演中の土屋夏彦が、最近のIT・科学・経済のニュースを独自の目線で切り取ります。
未来のサッカー観戦は、自宅がスタジアムに変身!?
『2018 FIFAワールドカップ』では、日本は残念ながらベルギーに敗れて惜しくもベスト8には入ることができませんでした。決勝戦ではフランスがクロアチアを4―2で破り、自国開催だった1998年大会以来5大会ぶり2度目の世界一に輝きました。
そんな誰もが熱くなるサッカー観戦ですが、その観戦の仕方を根本的に覆すような新たなテクノロジーが発表されました。
それがワシントン大学のコンスタンチノス・レマタス博士(Mr.Konstantinos Rematas)が考案した『Soccer On Your Tabletop』(テーブルの上でサッカー観戦を)というものです。
発表によれば、そのテクノロジーは「サッカーゲームの2Dビデオ映像を、3DビューアまたはAR(拡張現実)装置を通じて、リアルタイムに選手や競技場をレンダリングすることで、3D映像に再構成してしまうシステム」とのこと。
つまり、通常のサッカー映像を、AR(拡張現実)技術を使ってテーブル上にリアルタイムに立体化して再現することができるというものです。そこにはAI(人工知能)の映像解析技術も導入され、あたかも自宅のリビングのテーブルの上で試合が行われているかのように観戦することができるのだそうです。
こうしたサッカー映像の3D化については、キャノンが昨年末の放送機器の展示会『Inter BEE 2017』で、自分があたかもスタジアムを自由に飛び回り、フィールド内に入り込んで選手と同じ場を疑似体験できる『自由視点映像』技術を披露しています。
撮影はサッカーの競技場を取り囲むように数10台の高解像度4Kカメラをネットワークでつなぎ、ソフトウエアでコントロールしながら、同じタイミングで選手のドリブルやパス、シュートなどの動きを多方向から撮影。
その後、画像処理技術を用いて、撮影映像から高精細な3D空間データを構築。その3D空間で仮想カメラを自由に動かし、さまざまな視点から好みの角度で映像を見られる『自由視点映像』を生成します。
つまりこれまでは、こうした3D映像を作成するためには、サッカー場に多くのカメラを装備し、カメラを同期させ、マルチビュージオメトリ技術(multiview geometry techniques)を使用して選手や競技場を3Dで再構築する必要があったわけです。しかし、その際に多くの同期させたカメラで競技場を物理的に計測する必要があるため、実現性に乏しいものだったそうです。
それをAIによる映像解析で、2D映像に映った選手の体の厚みやポーズの予測をすることを可能にし、見事に3D化することに成功。これをマイクロソフト社の『ホロレンズ(HoloLens)』技術を応用することで、テーブル上にあたかも競技場があって、そこで選手がプレイしているかのような映像を投影するのが今回の『Soccer On Your Tabletop』というわけです。
つまりYouTubeなどに公開されている単なる2Dのサッカー映像を、この技術を駆使して読み込ませるだけで、選手の動きや人物のモデリングまでできてしまい、ユーザーはARゴーグルを通して360度あらゆる角度から3Dになったサッカー映像を自由に観戦することが可能になるというわけです。
すでに『Soccer On Your Tabletop』のソースコードがオープンソースで一般公開中です。ただ、現時点で完全なライブゲームをホロレンズで観られるようにするためには、リアルタイムの再構成方法と効率的なデータ圧縮とストリーミングの両方の実現が必要とのことです。
しかし、近い将来それを実現させてくれる研究者が現れるのも時間の問題!!
最初にリビングのテーブルをサッカースタジアムに変えてくれるのは、一体誰なんだ!?
[文・構成 土屋夏彦]
土屋夏彦
上智大学理工学部電気電子工学科卒業。 1980年ニッポン放送入社。「三宅裕司のヤングパラダイス」「タモリのオールナイトニッポン」などのディレクターを務める傍ら、「十回クイズ」「恐怖のやっちゃん」「究極の選択」などベストセラーも生み出す。2002年ソニーコミュニケーションネットワーク(現ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社)に転職。コンテンツ担当ジェネラルプロデューサーとして衛星放送 「ソネットチャンネル749」(現アジアドラマチックTV★So-net)で韓国ドラマブームを仕掛け、オンライン育成キャラ「Livly Island」では日本初の女性向けオンラインで100万人突破、2010年以降はエグゼクティブプロデューサー・リサーチャーとして新規事業調査を中心に活動。2015年早期退職を機にフリーランス。記事を寄稿する傍ら、BayFMでITコメンテーターとしても出演中、ラジオに22年、ネットに10年以上、ソーシャルメディア作りに携わるメディアクリエイター。