『最期』を考えるということは、今、この瞬間を考えることでもある
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吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
「そのときに何を望むだろう」〜最期を考えるということ
高齢の父を見ていると、『最期』ということをどうしても考えてしまいます。父のではなく、自分の最期。(私はそのときに何を望むだろう)と、思いがめぐります。
あと数年で『前期高齢者』という『レッテル』がつきます。制度の効率化のためとは言え、果たしてこのような区分けが必要なのかと思います。
もしかしたら中には、このレッテルに気持ちが負けてしまう人がいるかもしれません。歳を重ねていくことが、ところ天式に押し出されていくような……そんな感じがしますが、いえいえ、ところ天のようになりたくはありません。
『神様と約束した時間』をこれからどう過ごそうか。歳を重ねることに抗うのではなく、日々に彩りを与えていきたいと思うのです。
余命を言い渡されている人、介護を受けている人たちの「旅する」という希望を叶えたい。そんな思いを持った医師たちが『ドクタートラベル』という仕組みを作り、会社として運営しているのをYouTubeで知りました。
ただ医師が付き添うだけでなく、旅のプランを組み立て、旅先の病院と連携し、移動手段などの手配も行います。入念に下見をし、車椅子でどのように移動するかなどをチェックします。
医師、看護師、介護士が付き添い、何かあっても対応できる体制を整えての旅です。病院の天井だけを見つめて人生を終えてほしくない。そんな医師たちの思いが結実した仕組みです。
思い出の海を見たい。家族で温泉に行きたい。妻と出会った街を歩いてみたい。思い出のある懐かしい場所をもう一度訪れたい。そう思うのは人情であり、それまで叶うことのなかった願いです。
最後に見たかった光景を目に焼き付け、心にしっかりと刻みこみ、その方たちは数日後に旅立っていくそうです。
(私はそのときに何を望むだろう)
余命6ヶ月を宣告された二人が死ぬまでにやりたいことを叶えていくという映画『最高の人生の見つけ方』(モーガン・フリーマンとジャック・ニコルソン主演)を思い出します。
そこには旅や冒険ばかりでなく、家族との絆を取り戻したいという願いもあります。人生に彩りを与えるために、「何ができるか」ではなく、「何をやりたいか」というリストを作るのもいいかもしれません。
「一生のうちに、クジラと青い氷河とオーロラは見てほしい」
ある写真家のSNSにこんなことが書いてありました。30年前のハワイで、すぐ目の前にクジラが現れたことがありました。
大いなるものに出会ってしまった……。その瞬間、自然や動物たちに対する私の価値観は大きく変わったのです。
オーロラを見たい。コロナ禍があり、少し諦めかけていたのですが、これからは『諦める言い訳』を探すのではなく、『諦めない理由』を明らかにして、選んでいく。
ということで、来年、極寒のアラスカにオーロラを見に行こうかと計画を始めたところです。最期を考えるということは、今、この瞬間を考えることでもあるのですね。
いのちを紡ぐ言葉たち かけがえのないこの世界で
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※記事中の写真はすべてイメージ
作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」