九月の声から感じる秋の気配 アナウンサー押阪忍の『美しいことば』
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こんにちは、フリーアナウンサーの元祖!?などと言われている押阪忍です。
ご縁を頂きまして、この欄で、お喋りをさせていただくことになりました。お目に留まれば、シニアアナウンサー(花ウンサー)の『独り言』にお付き合いいただければ幸いです。
30度以上の真夏日、35度以上の猛暑日が連日のように続き、日本列島が燃えるような七月、八月でしたが、やはり九月の声を聞きますと、朝夕の風が涼しく肌に感じるようになりました。
日の暮れるのもかなり早くなりましたね。夏の花の向日葵や日々草、ハイビスカスやポーチュラカから、萩や芙蓉や桔梗の秋の花へと移ってゆく訳ですね。
桔梗
・秋来ぬと 目にはさやかに見えねども 風の音にぞ おどろかれぬる
古今和歌集で詠まれている藤原敏行の短歌ですが、毎年九月になるとどこかで口ずさんでいる自分が居ます。
おどろくほどの秋の風はまだ感じておりませんが、肌を通り抜けてゆく風には涼やかな初秋の気配を感じますね。
夏の間咲き続けたハイビスカスやノーゼンカズラの残花に目をやりながらも、まもなく色づくであろう紫式部や菊の花芽に目を落として楽しんでいます。
正岡子規の俳句に
・草の中に 野菊咲くなり 一里塚
という句がありますが、そんな野の道の風景を思い浮かべますと、初秋の訪れをさらに感じますね。
♪今はもう秋…誰もいない海…
そんな季節の移ろいも、もうすぐでしょうか…。
リンドウ
<2016年9月>
フリーアナウンサー 押阪 忍
1958年に現テレビ朝日へ第一期生として入社。1965年には民放テレビ初のフリーアナウンサーとなる。以降テレビやラジオで活躍し、皇太子殿下のご成婚祝賀式典なども行う。2016年現在、アナウンサー生活58年。
日本に数多くある美しい言葉。それを若者に伝え、しっかりとした『ことば』を使える若者を育てていきたいと思っています。