夏空に見上げる真昼のシャンデリヤ アナウンサー押阪忍の『美しいことば』
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こんにちは、フリーアナウンサーの元祖!?などと言われている押阪忍です。
ご縁を頂きまして、この欄で、お喋りをさせていただくことになりました。お目に留まれば、シニアアナウンサー(花ウンサー)の『独り言』にお付き合いいただければ幸いです。
猛暑、熱暑、酷暑… 灼熱の夏の太陽が照りつけています。
夏の花といえば「朝顔」が定番ですが、夏休みの宿題で、今でも「朝顔観察日記」をつけている子供達がいれば嬉しいですねぇ…。
・朝顔に釣瓶 とられて もらい水
というのは、加賀千代女 の有名な俳句ですが、同じ千代女に
・散れば咲き 散れば咲きして 百日紅
そういう句があります。百日紅で「さるすべり」と読みます。木肌がすべすべしているので、猿が上ってもすぐに滑り落ちるだろうと、昔の人はユーモラスな名前をつけたようですね。花は紅と白、淡紅色があります。
白髪三千丈ではありませんが、二ヶ月以上は咲き続けます。花は朝咲いて夕方落ちる一日花です。
ノーゼンカズラ
燃える夏空を見上げて咲く花に、「ノーゼンカズラ」があります。炎天に向かって室咲きのように咲くのと、長い茎にぶら下がって咲く二種類があります。橙色の力強い花です。夏の風に心地よくそよいで咲くノーゼンカズラ。
俳人の中村草田男は、
・凌霄は 妻恋ふ真昼の シャンデリヤ
と句作しました。この夏の花を「シャンデリヤ」と詠んだこの俳人の豊かで鋭い感性に もう脱帽、最敬礼です。
<2016年8月>
フリーアナウンサー 押阪 忍
1958年に現テレビ朝日へ第一期生として入社。1965年には民放テレビ初のフリーアナウンサーとなる。以降テレビやラジオで活躍し、皇太子殿下のご成婚祝賀式典なども行う。2016年現在、アナウンサー生活58年。
日本に数多くある美しい言葉。それを若者に伝え、しっかりとした『ことば』を使える若者を育てていきたいと思っています。